2005年 11月 16日
帰国後、日本のテレビ放送の中で、障害のある女性がすごく生き生きと前向きに挑戦して生きている姿が放映された。 そのとき、突然、夫が思い出して私に話したことを書こう。 夫が子どものころ、友達の家に遊びに行くとその友達のお姉さんが遊んでいるところにきて、一生懸命話しかけてくるというのだ。聾唖者であったそのお姉さんが、不自由ながら、ことばとジェスチャーで一生懸命話したがるのであった。でも、その人の親はできるだけ人にあわせないようにしていた。友達も自分の友人に姉をできるだけ部屋から出そうとするのだった。 夫はそのお姉さんのことが子供心にもかわいそうだったという。後に、若くして亡くなったということもあって、なおさら心に残ったそうだ。障害がなければ、弟の友達に必死に話しかけることもなく、青春を謳歌していただろうに・・・よほど寂しい生活だったのだろうというのであった。 シリアでCBRプロジェクトを見させていただいてきて帰国したばかりで、まだ自分の経験してきたものについて話もしてないうちにその話を聞いた。家庭内にだけで暮らしいろいろなチャンスを与えられていない立場について、しみじみと考えさせられたのだった。ずっと以前の日本のことのようだが、そんなに前のことでもない。日本も長い間こういう状態だったのだ。 1981年に、国連決議により、国際障害者年(International Year for Disabled persons)が定められ、障害がある人のことが考えられ、社会が変革し、教育の場面でも扱われるようになったことによって、障害のある人たちが、街中に出かけ、仕事をし、交流することができるようになった。でもそれは長い歴史の中でつい最近のことなのだ。 国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」は、障害者であるが故に社会から疎外されがちな人々が、みんなと同じように社会の一員として生活し、幸福になることを願って作られた。 ![]() ![]() ![]() 日本で国際障害者年が刺激剤となって動いたように、シリアという国のひとすみがJICAによって動いていく。そんな動き始めの貴重な場面を見させてもらってきたことを忘れてはならない。 #
by miriyun
| 2005-11-16 23:23
| シリア
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2005年 11月 15日
相変わらず時系列と関連なく、イスラームの人々のもとへ、そして日本の中へ、心が癒しを求めると砂漠へと行きつ戻りつしながら書いている。 ************************* シリアの青年たちの活動している場所はほかにもあった。 別の村の集会所に行くと、やはりCBRの中間発表に向けてダンスや歌の練習に励む子どもたちとボランティアの先生たちがいた。説明もなく突然見させてもらったのだが、突然の来訪者に臆することもなく両手を精一杯伸ばして生き生きした目で活動する様子が印象的だった。 ![]() また、廊下を行き来する人たち、JICAのプロジェクトチームの人たちはもちろんのこと、健常者も障害者・ボランティアの先生・村人もだれもが活気にあふれた歩き方をしているのをみて、これはすごいと思った。 日本の人が来て何かやってくれているという雰囲気でなく、自分たちが参加してやっているという活気が肌に感じられるのだ。 これが、専門家(今はボスと呼ばれているとこの間、聞いた)のいわれたことだったのだと思い当たる。 JICAは、今変わろうとしている。2003年10月に緒方貞子氏が理事長に就任し、早速内に秘めていた援助哲学ともいうべき「人間の安全保障の視点」「現場重視」などにもとづくJICA改革プランを打ち出し、実行に移している。そのなかで「People」「Community」という視点をもって開発援助を行うべきで、住民の意見を十分に聞いて海外プロジェクトを一緒に作っていく。かつ自立をめざし、地元の人によって継続運営できる組織・人づくりをしなくてはならないと言っている。(出典:2004年8月 国際開発ジャーナル) CBRプロジェクトも上記の考え方によって住民のコミュニティーを揺り動かし、自立した活動になるような方向を目指している。無償のボランティアによって始めたために、有償であるよりずっと純粋な活動になり、活動するほうも受け入れるほうも理解しやすい形で進んでいる。 なにより、障害のあるこどもたちの目が輝いていたことがその成果を現していた。ただし、今頑張っている女性は結婚してもそのボランティアを続けられるのだろうか、また、今現在収入があるのだろうかという点が気になる。また、今後の障害者の生活と村人の変化、障害児教育が学校教育に組み込まれる可能性が出てくるのか、継続して経過を見守っていきたいと考えたのである。 blogランキングへ #
by miriyun
| 2005-11-15 18:18
| シリア
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2005年 11月 14日
砂漠に於ける太陽の蜃気楼のほかに、海岸部と塩湖でそれぞれ蜃気楼を見た。 ★スースからチュニスにかけての東海岸の蜃気楼↓ ![]() ★ショット・エル・ジェリド湖の蜃気楼↓ ![]() 前出の先生方によると、この海岸と塩湖の蜃気楼は下位蜃気楼という。下位蜃気楼とは、上冷下暖の空気層ができ、光が密度の大きい上へ進行方向を変えていくことで人の目は元の物体の下方に偽りの像をみてしまったり、倒立した像をみたりする。浮島現象・浮景現象・逃げ水現象などがある。地面または水面の温度が高ければ出現するので一年を通して出現するという。 蜃気楼を表すとされるミラージュは、自分の姿を映すという意味なので下位蜃気楼をさすものということだ。 日本では琵琶湖・富山県の魚津のほか、各地で見られ、何人かの熱心な研究者によって日々の観測がなされていて続々と素晴らしい写真がHPに載せられている。 私の場合は予備知識のないまま、とてもこのような自然現象を撮るような装備もせずにたまたま興味があるから撮ってみたのだが、今度そういう機会があったならせめて三脚は使いたいと思っている。 砂漠・湖・海岸いずれもチュニジアで運よく遭遇したのだが、この国が蜃気楼が出やすい土地なのだろうか?それともモロッコやリビアなどサハラ砂漠近辺ではみな多いものなのだろうか・・・ そういえば、チュニジア人のガイドは「シンキロウ」という日本語を知っていた。 人気blogランキングへ #
by miriyun
| 2005-11-14 22:22
| 自然(砂漠・ラクダ・蜃気楼)
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2005年 11月 13日
そもそも上位蜃気楼とは何なのか? 物理が苦手な私は前述の2つのHPをはじめ、多くのHPを読みまくった。 まず、光はより密度の高い(*気温が低いほうが密度が大きい)方へ曲がる――ということが基本だとわかったが、この「光の屈折」の原理から知らない自分はかなりてこずった。最近ようやくおぼろげにわかってきたが、これって理系の人には常識なのかもしれない。 トホホッ! 魚津埋没林博物館と琵琶湖の蜃気楼情報の先生に説明していただいたことをまとめると次のようになる。 ★上位蜃気楼とは―― 地面や水面付近が冷たく、上空が暖かい空気があるという状態=上暖下冷の時に生ずる蜃気楼である。 このような気温逆転層がある場合、物体の光がまっすぐではなく、より密度の大きいほう、つまり温度の低いほうへ進路を変える。そうすると光は上に向かって弧を描いて見ている人に届く。元の物体の上に変化した像が見えたり、浮き上がったり、いくつか重なったり縮んだりしてみえる。この蜃気楼はファタ モルガーナ(fata morgana)という現象といえる。 次にこのときの連続して撮った太陽像を並べてみる。 ![]() ↑ クリックすれば大きくなります ②や③については太陽の形が変形した原因は気温逆転層ができていたことで、その空気の境目あたりで鏡餅のようなたんこぶのような像変化をしていて、これが上位蜃気楼なのだとの解説をいただいた。 じっさい、この日の昼間の気温は厳密な測り方ではないが50度。そして、夜間は20度近くまで下がっていた。当然地表近くは低い温度になっている。そこへ朝とはいえ強烈な太陽の光が入りだす。確かに空気の複雑な層が出来る条件があった。 ![]() また、④や⑤の太陽は卵型であるだけでなく、大きくした写真で見ると四角張ったりしているところもあり、④の太陽の中ほどの位置に微妙な空気層があるらしい。 なお、緑色の円は太陽の形がどれだけ真円とちがいがあるかを見やすくするために入れてある。また、通常でも太陽は地平線近くでは微妙に扁平になるようだが、それについては素敵なHPこよみのページをみつけた。そこでは、大気がある場合とない場合の太陽のひしゃげ方シミュレーションがあり、とてもわかりやすく、一目見れば納得してしまう。これが自分の写真でいうと⑤⑥にあたるのではないかと、とても興味深かった。 なにしろ、知らないことばかりの中で、はるか遠くの人、専門知識を持つ人、海外の人などインターネット時代ならではの恩恵を受けて、以前には決してたどり着けないであろう人と知識とにめぐり合うことができる――素晴らしき哉!! 人気blogランキングへ #
by miriyun
| 2005-11-13 16:35
| 自然(砂漠・ラクダ・蜃気楼)
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2005年 11月 12日
サハラの夜明け 旅にでると自然の美しさを見たいばかりに早起きになる。必ず日の出前におきだしてカメラ片手にくりだす。 夜明け前でもかなり明るい。砂漠の太陽がぎらつく前のやさしい表情の砂丘を登り、朝日の一瞬を待つ。ひとたび光を放つと太陽がが地平線からできるまではほんのわずかなもので1~2分ほどしかない。その中で夢中で撮ってきた写真に奇妙な形があった。 ![]() 太陽がややつぶれた形になるのはよくあることだがそれだけではない。なにやら 鏡餅のように大きい太陽に小さい太陽が乗った形ではないか。これが何かわからずしばらくそのままにしていたが、元来の好奇心がうずうずしてたまらない。 いろいろ調べた結果、天文・科学関係のサイトの方から助言を受けて、魚津埋没林博物館にいきあたった。学芸員の方がとても親切で丁寧な説明をしてくださり、さらに琵琶湖の蜃気楼情報を紹介していただいた。日本第一といっていい蜃気楼研究をされている方から、それぞれ助言をいただいてようやく謎が解けたわけだ。(お二方に感謝!) これは太陽の上位蜃気楼ということがわかったのである。 人気blogランキングへ #
by miriyun
| 2005-11-12 13:18
| 自然(砂漠・ラクダ・蜃気楼)
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