写真でイスラーム  

mphot.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2024年 11月 25日

ナヒヤーン家とナバティ詩の話

1.ザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーン
( زايد بن سلطان آل نهيان‎, Zāyid bin Sultān Āl Nuhayyān)

ナヒヤーン家とナバティ詩の話_c0067690_23352856.jpg
UAEの街歩きをすると、この肖像を目にすることがある。

ナヒヤーン家とナバティ詩の話_c0067690_23372190.jpg
↑バージュアルアラブ
このホテル建築の基本色は白に金と青(瑠璃色)だ。

ナヒヤーン家とナバティ詩の話_c0067690_11090941.jpg
このホテルの中に掲げられているUAEの首長たちの肖像もまた金と青のモザイクに飾られている。
中でもひときわ精悍な顔だちなのがシェイク・ザーイドだ。


 シェイク・ザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーンは、オアシスの町、アル=アインでアブダビ首長家であるナヒヤーン家の一員として生まれた。1966年にアブダビの首長となると莫大な収益を国家の近代化に投じるとともに、折から石油で豊かになった休戦海岸諸国がイギリス保護国から脱しようとする動きで首長間の盟主となり、1971年の独立とアラブ首長国連邦の発足を主導して連邦大統領に就任する。

イギリス支配から脱しさせ、30年間にもわたってUAEの連邦大統領職を務め、盟主として近代化をさせ、世界の重要な国に押し上げていったリーダーである。強力に近代化させながら、自分たちのルーツや精神も大事にしていった人物でもある。その名は偉大なものであり、グランドモスクはシェイク・ザーイド・モスクであり、主幹線道路には12車線のシェイク・ザーイド・ロードやシェイク・ザーイド・ブリッジがある。

 ナヒヤーン家の発展と世襲は確実なものになり、2004年にザーイド大統領が没するとすぐにザーイドの首長世子ハリーファが後継大統領に選出され、そのハリーファが2022年5月13日に没するとやはり首長世子のムハンマドが翌14日に後継大統領に選出された。
 

2.詩作するUAEの首長たち・・・ナバティ詩  
政治的に偉大な人物の名を出したが、ここでちょっと、文化的な方へ移りマイナーな話をする。  

① 詩というと、もちろん、今佳境を迎えている大河ドラマ「光る君へ」でも短歌を詠みあう平安貴族たちの優美な姿が見られる。
短歌のやり取りには普段の素養がものをいう。

② オスマントルコのスルタン、スレイマン大帝は古今の詩歌をそらんじていたし、大帝自身もムヒッビーと名乗る詩人で詩集も現存している。

③ 長いこと、イギリスの自治領といわれた時代を過ごしてきた砂漠の民はいかに詩を吟じたのであろうか。

 実は、ナバティ詩と呼ばれるペルシア湾沿いのアラブ諸国の固有の詩がある。

 ナバティ詩(Nabati Poetry)は、「ベドウィンの詩」である。イブン・ハルドゥーンによって1377年に発表された中世の歴史の彼の歴史序説Nabatiフォームの例で表されている長い伝統を持つ詩である。

 ナバティという言葉は、アラビア北西部で生まれ、ペトラの街にその中心を置いた文明であるナバティーン語に由来すると考えられている。ナバティは昔から聴覚での伝承の伝統であり、研究者は20,000の詩を覚えることができるベドウィンに出会ったという(琵琶法師が平家物語などをすべて暗唱して語ったのを思い出す)。しかし多くの詩はカリグラフィーで永遠に伝えられ、印象的なビジュアルが命を吹き込み、ナバティ(Nabati)と呼ばれる伝統的な詩歌はUAEの遺産の主要な要素となっている。

 この地域の日常生活における文化的要素であるナバティの詩は、平和を求めたり、部族紛争を解決したりするためにも使用され、20世紀以前のコミュニケーションの重要な要素だった。しかし石油の発見に続く地域の発展とともに消滅への道をたどっていた。


◆首長たちによるナバティ詩

・20世紀に世界のこの地域で重要性を獲得した最初の古典アラビア語UAE詩人の中にはシャルジャーの元支配者であるSheikh Saqr Al Qasimi(1925–1993)もいた。
・アラブ首長国連邦(UAE)の副大統領であり、ドバイの首相兼統治者であるシェイク・モハメドは、多作なナバティの詩人である。
・アラブ首長国連邦(UAE)の元大統領であったシェイク・ザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーンもまたナバティの詩人である。

 シェイク・ザーイドが書いた詩の中に「カンズ・アル・ジール」(意味:時の宝)という言葉がある。
カンズ・アル・ジールという言葉は、シェイク・ザーイドが亡くなった後にも、時を越えて生かされ、輝いていた。(次回に続く)

                                                                                                                                                                            
                                       
                                                    
                                               一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります   
   


# by miriyun | 2024-11-25 11:42 | U.A.E. | Comments(0)
2024年 11月 21日

アルバイシンで見つけた花 

1.アルバイシン散策    
アルバイシンで見つけた花 _c0067690_00464099.jpg
アルハンブラ宮殿のある山の麓にはアルバイシンと呼ばれる地域がある。

そこを散策していたら、なんとも印象的な花を見つけた。

アルバイシンで見つけた花 _c0067690_00115959.jpg
白い花弁に何とも美しいピンク色の雄しべを無数に立ち上げる。


2.レンガの壁を這い上がる    

アルバイシンで見つけた花 _c0067690_00510924.jpg
その姿は、石畳みと煉瓦の壁ばかりが続くアルバイシンの坂の多い町の中で、群を向いて美しかった。
 
アルバイシンで見つけた花 _c0067690_00120732.jpg
壁の上部に向けてけなげに這い上がっていこうとする。

アルバイシンで見つけた花 _c0067690_00122266.jpg
空間だらけの花弁に黄緑の雌しべが中央に伸び、その周辺に雄しべたちが立ち上がる。
こんなに雄しべが長くて美しい花を見たことがない。

花の名は帰国後、初めて知ることになる。
その名はケイパー
アルバイシンで見つけた花 _c0067690_00124829.jpg

花の咲く枝に連なるたくさんの蕾。
この蕾を開花前に収穫する。
アルバイシンで見つけた花 _c0067690_00124599.jpg

それを天日で干してから、塩漬け(時に酢漬け)する。

アルバイシンで見つけた花 _c0067690_00130026.jpg
日本では、スモークサーモンに必ず添えられる薬味として使われることが多い。

南欧諸国では、煮込み料理などにもこれをどっさりと使い、そこの郷土料理らしさをあらわしている。
そのケイパー(ケッパーともいう)の正体は、「つぼみ」だった。
岩やレンガの壁や塔に沿って這い上がり、美しい花を咲かせるケイパー。花の美しさを見る前に食べられてしまうのも哀れだ。
無事花期を過ぎると、極小のキュウリのような緑の実を成らす。するとこれまた漬け込んで南欧料理でピクルスのように普通に使わているという。


日本では薬味というと、 ネギ、サンショウ、三つ葉、生姜、ミョウガ、わさび、ニンニク、シソ、セリなどがある。近年ではバジル、コリアンダー、ルッコラ、ミント、パセリなども薬味の範囲に入るのかもしれない。葉や茎、根、実などに風味があり使われるが、花は実に地味で大きな花や華麗な花はないといっていいだろう。
 それに比べてケイパーの美しさは群を抜いていた。
普通にガーデニングの素材として庭に植えたい花だと思った。


                                                                                                                                                                                                           
                                       
                                                    
                                               一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります   
   


# by miriyun | 2024-11-21 00:59 | 動植物 | Comments(0)
2024年 11月 14日

山並み

 


山並み_c0067690_16320684.jpg
朝の美ヶ原

たおやかな線を描く山並み。

そして、朝ならではの色。
ピンクとヴァイオレットを雲の白で薄めてグラデーションにして私たちの目に届けてくれる。

                                                                                                                                                                                                           
                                       
                                                    
                                               一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります   
   


# by miriyun | 2024-11-14 00:27 | 日本 | Comments(0)
2024年 11月 07日

ANAの機内安全ビデオ(修正版)

1.忘れられない機内安全ビデオ   

◆前投稿がリンクに失敗していたので修正しました! 

 久しぶりにANAに乗った。ANAということで、実は楽しみにしていたことがある。もう5年も前,コロナ流行直前の旅行で、これはすごいと思った機内安全ビデオだ。
 飛行機に搭乗して最初にCAさんが実演、またはビデオで酸素吸入器の当て方や救命具のつけ方、緊急時の着陸の姿勢などを教えてくださるアレである。
飛行機に乗るたびに見ているので、大事だよねと思いつつ、だんだんおざなりに見ていた機内安全ビデオ。

 それが、この時ばかりは姿勢を正して食い入るように見てしまった。
傑作じゃないですか。日本人にはすごくわかる。外国の方は驚く?面白がる?
みなさん、見ましたか?
ANAの機内安全ビデオ(修正版)_c0067690_07075526.jpg
いずれにしてもインパクト大で、2024年の今でも覚えているのだからすごい。
ANAの機内安全ビデオ(修正版)_c0067690_07075303.jpg
避難誘導(歌舞伎版)

コロナ禍を経て、ようやく観光でも気楽に海外に行かれるようになったので、またあの機内安全ビデオを見られるかもとちょっとウキウキした。


ANAの機内安全ビデオ(修正版)_c0067690_21410292.jpg
避難誘導(現在放映中 アニメ版)

 そして、乗ってみたらなんと普通の安全ビデオになっていて、残念!となってしまった(もちろん極めて丁寧に作られた安全ビデオでありがたいとおもってる)。

 一応調べてみたら、なんと2021年11月、コロナ禍の最中に放映は終了していた。

なんとまあ、残念!もう二度と見られないのか?もったいない。コロナがなければもっと大勢の世界中の人が驚き、喜びつつ見ただろうに!


 

2.ANAの機内安全ビデオ 『歌舞伎』  
「歌舞伎」は、松竹の全面協力のもと、歌舞伎俳優の尾上松也氏が監修し、2018年12月から2021年11月まで3年間放映されたということになる。
だから、コロナ禍が始まる前、2019年にANAの国際便に搭乗した人は見ているはずだが、その後、旅行する人が激減してしまった。


         ↑  ↑

消えてしまった傑作。
六方の動き・黒子の活躍・キセル禁煙・風呂敷包みの手荷物
・緊急避難に高下駄(ハイヒール)は禁止。幕引き。
枚挙にいとまがないほど、歌舞伎の味を生かしたこのビデオ。本当によくできている。

 柔軟な発想をした発案者とそれにゴーサインを出したANAを賞賛したい。
 日本ならではのオリジナリティーが素敵じゃないですか。

 またいつか歌舞伎版第2弾とか相撲バージョンとか、
    スラムダンクバージョンとか画期的なビデオづくりをしてくれないかなあと思う。

≪追記≫
やはりあった。
ピカチュウ版とかカメ版とかあったのでお子様には喜ばれただろうと・・・。
でも完成度からいうと、やはり「歌舞伎」版がダントツであるような気がする。


                                                                                                                                                                                                           
                                       
                                                    
                                               一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります   
   


# by miriyun | 2024-11-07 18:36 | 日本 | Comments(2)
2024年 11月 02日

高原をオレンジに染め

1. 牛たちに夕陽が   
灰色雲を抜けた太陽が下ってきて高原を変えていく。くらい鬱とした雰囲気だったのが、あっという間に牛たちのパーティのように明るく弾んだ空気感になる。
高原をオレンジに染め_c0067690_16022967.jpg

 

2. 色を増す山々   

高原をオレンジに染め_c0067690_16023729.jpg
高原をオレンジに染め_c0067690_16252411.jpg
樹々も山もオレンジ色に染まっていく。

高原をオレンジに染め_c0067690_16030885.jpg
右上には目指す王ヶ頭の頂上。
そこを目指す間、山はずっとオレンジ色のベールに包まれていた。

                                                                                                                                                                                                           
                                       
                                                    
                                               一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります   
   


# by miriyun | 2024-11-02 23:15 | 日本 | Comments(0)