2008年 07月 20日
ウルバンというハンガリー人がいた。かれは自分の大砲についての斬新なアイディアを持って、最初ビザンチン帝国を訪れた。規格外の大きな大砲の話で現実味がなかったので追い返した。 するとウルバンはトルコのスルタンメフメット2世のもとに出かけていって自説をとうとうとしゃべった。スルタンの家臣たちは乗り気がない話であったが、スルタンだけが興味を示した。これが1542年のことであった。 スルタンはこの人物の到来をきっかけに、巨大な大砲をもって鉄壁を誇る三重のテオドシウスの城壁を攻める決心をしたようだ。 ![]() この大砲はエディルネ(当時のオスマン朝の首都)で製造され、長さは8mを超え、16,8tもあるため、砲身だけでも2つに分離して運び、布陣する時に2つをソケットをはめ込みねじで連結するというものであった。 ![]() ポーツマス王立兵器庫保管の青銅のウルバン砲 ←(Wikipedia 日本語版よりpublic domain画像を引用) 実物をこのように見ることができて嬉しい。 しかし、イギリスにはなぜか世界中のものが集まっている。大英帝国時代の遺産であるのか、その収集方法はともかく、その徹底した収集ぶりには驚かされる。 小さい大砲は逆茂木を立ててそこに立てかけて打つことも可能であったがウルバン砲は台座をしっかりと組んでつくっておかなければならなかった。 その砲台と共に動かすのに30頭の牛が左右に分かれてすすんでようやく動く。(この重さを牛で運んだ経験は、後に船の丘越えに生かされている。) 砲身が巨大であれば、石弾も巨大であり重さも500kgに達した。これを1600m飛ばすことができたという。 1543年4月12日に、この大砲はつかわれはじめた。大きすぎるため、熱もこもりさめてから使わなければ砲身が破壊される。発射の反動で土台からずれることもあって、一日に7発しか発射できなかったとういう。20km先まで届く轟音がこの日から続くことになった。 こわされれば、直す・・当然であるが城の攻防は、自分たちの命がかかっている。砲撃がやむとビザンチン側は必死の修復作業で寝る時間を削ってでも翌朝までに修復をしなければならなかった。 この修復作業がよくおこなわれたことと、三重の城壁はやはり強固であり、ウルバンの巨砲ありといえど落とすことはたやすいことではなかったのである。 応援クリックお願いします。 ![]()
by miriyun
| 2008-07-20 10:02
| トルコ
|
Comments(6)
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鍵コメントの I 様、ようこそおいでいただきました。
メールアドレスが入りませんでしたか?とくに禁止にはしていないのですが、どうしたのでしょう。 今からFaxでアドレスを入れますのでそちらにメールをください。そうしましたら、この件に関するお返事と「写真にイスラーム」にまだ掲載していない画像などの資料もお見せできると思います。 では、よろしくお願いいたします。
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