写真でイスラーム  

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2008年 07月 06日

パピルス(3)…パピルス紙の製法

 エジプト王国では、ナイル川の岸辺に生えたパピルスをどうやって筆記の媒体としたのであろうか。
 1、パピルスのつくり
 パピルス紙のつくりは透かしてみればすぐにわかる。
パピルス(3)…パピルス紙の製法_c0067690_12102388.jpg

 このように繊維は縦方向と横方向に並んでいるのがわかる。しかし、織物のように編んでいるわけではない。編んだときのようなうねりは見当たらないのだ。

 前回は、たまたま我が家のやせたパピルスでやってみて見事に失敗してしまったが、今度はきちんとしたつくり方を説明してみよう。
 
◆ はじめてパピルスに興味を持ったのは高校時代だった。1時間以上かけて県立図書館まで行って調べた。何しろインターネットなんてなかったから調べるということは歩くことと思っていた。それはやはりパピルスに興味を持った著者が地道に自分でやってみてこうだったということを記録してあった貴重な本だった。残念ながらなんとう言う本だったのか覚えていないが、図書館で唯一のパピルス研究をしてある本だった。
 調べることが大変だったもの程よく覚えているものだ。その頃調べたことを土台に現地で聞いたことを加えて述べてみる。

 2、☆詳細☆パピルス紙の製法

① パピルスの茎は25~40cm位に切りそろえる。この切った長さでほぼ紙の大きさが決まる。

  
パピルス(3)…パピルス紙の製法_c0067690_12185480.jpg

② 三角形をした茎の緑色の外皮は使えないのでそぎ落とす。

③ 中の白い部分を糸や細いナイフでうすく切片にしていく。幅は広いのから細いのまでできてしまう。

④ そして、その切片を3日間水に浸す。
パピルス(3)…パピルス紙の製法_c0067690_1219242.jpg


・・・実はこの水につけることがやはり肝心のところだった。実はパピルスには一切接着剤は使われていない。ヨーロッパがパピルスを輸入し、品不足で仕方なく一回繊維をばらして再生紙にしたときは接着剤にオあたるものを使ったというが、本場エジプトでは使わない。

 それは長いこと謎だった。ところがこの水に浸すことに答えがあった。真っ白な繊維が黒ずんでくる頃には川の水の中の細菌によって粘性の物質ができてきてこれが繊維同士をくっつけることになるのだ。

⑤ この3日間(Wikipediaでは2日間と表現していた)さらしておいた切片を布の上にずらりと横に並べていく。その次に縦に並べていく。
パピルス(3)…パピルス紙の製法_c0067690_12351771.jpg

 ↑この写真は、簡単に説明するために少し横に並べてからすぐに縦を並べているが、本来は横をすべて並べてからおこなう。

これを布で挟んで水分を取ることを繰り返す。そして木槌で叩いて繊維をつぶしてなだらかにしていく。

⑥ 圧縮機にかけて、強力に圧迫する。表面を石で磨いてつるつるになるまでみがき、葦ペンで文字を書くことができ、筆では絵を書きやすいところまで加工する。

☆ これだけの作業が必要で大量生産もできないので、パピルスは古代から中世まで高価なものであった。

 それにしても、よくこの植物からこのような紙を作ろうという発想が成り立ったものだ。こんなところからもエジプトの文明力を見直してしまう。

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by miriyun | 2008-07-06 12:53 | エジプト | Comments(4)
Commented by さらさ at 2008-07-07 12:31
エジプトでパピルスを作っているところを見たことがありますが、細かい工程まではわからず私もどうやって繊維をくっつけているのか?と思っていました。水中の雑菌による粘性とは!驚き、またそれを発見したエジプト人の知恵にも脱帽です。
miriyunさんはご自宅の庭でパピルスを育てていらっしゃるのですか?
それを使ってパピルスを作ってみるというのも、さすがです。高校時代からあくなき探求心で物事にあたってこられたのですね。
先日のご挨拶も拝見しました。そのような姿勢で続けられているブログだからこそ多くのアクセスがあるのですよね。私もいろいろなことを教えてもらっています。これからも頑張ってくださいね。更新を楽しみにしています。
Commented by miriyun at 2008-07-08 06:14
さらささん、エジプトの文明は一つとして容易ではないものなのに、発明されさりげなく日常的に使われている・・・それが文明というものなのでしょうね。勢いがあるというときは人間の考える力も活性化してくるように感じています。
 パピルスはたまたま買ってきた観賞用なのですが、夏は勢いよく育っていたのに冬になったとたんに室内の日の当たるところにおいていたのに茎がパタンと折れてしまい、植物を育てる難しさを感じました。
 その倒れた茎をせっかくだから使って・・・と考えたのですが細くて弱ってもいたので、うすく割いている時点で切片というより紐のようになってしまい、できないなと予想はついていたのです。それでも娘と一緒に高校時代からやりたかったことを一生懸命やるのってとても楽しめました。
 コメントありがとうございました。
Commented by asiax at 2008-07-15 20:46
miriyun さんは若い頃から勉強家だったのですね。
こうして写真があるということは今も現地では作られているのですね。
Commented by miriyun at 2008-07-16 01:08
asiaxさん、いや~っ、勉強家ではなかったけれど、わからないことを何としても調べたいという気持ちはあリました。
 エジプトではこのクサそのものは減ってしまいましたが、パピルス生産はたくさんつくられて輸出もされていますね。


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