写真でイスラーム  

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2008年 05月 17日

ジャンビーアのつくり

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 ジャンビーアはイエメン人にとっての魂のようなものだ。

 現在では人の多いところでの真剣の所持は禁止されているという。したがって私たちが見ることのできるジャンビーアは刃を切れなくしてある。
 さて、このジャンビーアは何でできているのだろう。よく物によっては何百万円という話も聞くがいったい材料は何なのか。
1、銀細工のイエメン
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 銀細工と羊の皮で多くのジャンビーアができている。ここイエメンは以前はユダヤ人街があり、銀細工が盛んであった。
 注)パレスチナ問題以来ユダヤ教徒のイスラエルととアラブ人の対立ということで世界は動いたが、本来イスラーム世界では異なる宗教に寛大であり、ユダヤ教徒もキリスト教徒も一緒に住むことが認められていた。ユダヤ教徒がイスラエル建国という時に出国してしまったが、銀細工はその後もこの国の技術として残り、ジャンビア以外でも装飾品も銀のアンティークが名高い。

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また、一人の人物が異なるジャンビーアを持っていることに気付いた。左はだいぶ使い込んでいる。右は緑の皮紐がとてもきれいなので補修したばかりかもしれない。重みのありそうな銀の柄がいい渋みを出している。彼なりの使いわけをしているようだ。服装も全体に右のほうがおしゃれしている。また、刺繍入りのジャンビーアベルトも異なるベルトを使っている。いや、よく見ると上から下までジャンビーアを含めてすべて着替えているではないか・・・。

2、羊の皮の細工
 本体は羊の皮でできている。上の写真でもあるようにイエメン人好みの緑色の鞘はひもを巻いたようになっている。
 ひも状のものでまいていることはわかってもそのひもはあの幅広のまま巻いているのかと思っていた。しかし、ちょうどよくNHK番組で職人が紐を作る様子が出てきたのがなんともいいタイミングだった。

◆では、TVの画像から2点
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羊の皮を美しいサナア・グリーンに染め、それをまるで機械で切るかのように正確に細く細く鋏で切っていく。見ないでも同じ細\かさでさくさく切っていく。
 職人技がここにもある! 
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 その細い皮ひもを三つ編みにした紐をジャンビーアの鞘に編みこんでいく。表に渡して裏だで編みこみまた表に回す。したがって裏にはこの緑色の紐は渡されていないし、厚みが出過ぎることもない。
(←画像2点はNHK探検世界ロマンより引用)




3、先祖伝来のジャンビーア 
 先祖伝来のジャンビーアには希少価値があるものや、材料に凝っていたり技術が優れていたりして、際限がない価値観がある物も存在する。家柄や裕福度もある程度そこに現れてしまう。

 持ち手の部分は銀のほかにサイのツノなど今では手に入らないものが使われていたりする。 また、金細工が鞘に施されたり宝石を埋め込むものもあり、そういったものは町のスークなどには飾られていない。それぞれの家の奥にしまわれ、肝心な行事のときに身に付ける。ジャンビーアは価値に関わらず、自分の心に等しいと考え、簡単に手放すことはないという。

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by miriyun | 2008-05-17 22:15 | Comments(2)
Commented by horaice at 2008-05-17 23:11
この短剣、ジャンビーアという名前だったんですね。
イエメンに行った友達が、短剣を作ってもらったと言っていたのは、このことだったのか、と今知りました(笑)
イスラム世界、その宗教のこと、まだまだ 日本では知られていない部分が多いと感じました。
どこでも完璧に理解するのは、難しいですが、ヘンな偏見を持ちたくはないですよね。

写真のおじさん、カッコイイ。頭に巻いた布の垂れ感がいいかんじですね!
Commented by miriyun at 2008-05-18 09:30
horaiceさん、この券を使って何かというと踊るのですが、それがまた格好いいですし、そして楽しそうなんです。
 そういうものがあるのっていいですよね。


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