2008年 05月 01日
カマリア窓について、よく見るとつくりも一言で言い表せないほどある。 ☆ カメラを持って町をあるいていると、見えているわけではないのに撮るべき何かがあると感ずることがある。一人旅ならばその直感したものが何なのか見極めてから撮るが、他の人と一緒ならそうはいかない。一瞬で写真を撮り足早に去るのみである。そういう時は何が気になっているのかわからぬまま、焦点の定まらぬ写真を撮ってくる。 それでも、あとでその直感したものが何であるか調べるのがおもしろい。 ◆これは5階建ての建物の3~5階である。例によってカマリア窓がたくさんあり、周辺は石で作られている。外から見ていると別に目立つほどの美しさはない。 だが、こうして写真をじっくりと眺めると、なんと階によって技法もしくは材料が異なるのがわかる。 ・3階は一般的な石膏を彫り込んでそこにガラスをはめている。 ・4階はガラスが古典的な色合いを示し、細部は見えないが、石膏とは異なる。銅線をつかっているかもしれない。 ・5階は建材の色も素材も異なるのであとから増築したのだろう。そして大きなカマリア窓になっているが、注目すべきは色であり、この色は明るいが伝統的な厚みと均一でない盛り上がり のあるガラスではない。大量生産型のガラスになっている。 これにアラバスターの窓でもあれば、古今のカマリア集合になる。 ◆ しかし、自分がこの前を通りかけた折に気になったのは上の技法のちがいではなかった。文様の方なのだ。 もうご覧になって気付かれたと思うが、建物がある。特に左から2番目の建物はメッカを表している。 そして左端のはなにか? ↓ ↓ これは文字であった。イエメンではあまり書体などにこだわらず直感的な表現を用いる。 意味は、シャハーダの一部、「アッラーの他に神はなし」と言う文字を石膏を刻み色ガラスをつけている。 そうは読めないと思う方も多いだろう。 実はこれ、家の中から見るようになっているのだから、外から見ると反転しているのであった。キブラがこちらの方角なのだろう。 こういう文様を自由に注文してつくってもらえるのが石膏のカマリア窓の長所だ。 ここを夜に見たら、階層ごとのカマリア窓の色の違いや文様をいっきょに楽しめるのだろう。夜歩いてみたいものだ。 応援クリックお願いします。
by miriyun
| 2008-05-01 00:02
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Comments(8)
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hyblaheraia at 2008-05-01 07:20
溜息が出ます。ただ見ているだけでも美しいのに、その技法や素材の違い、模様の意味を読み取ると、さらに一層輝いて見えます。
素人的にこの写真をぱっと見て、歪みがきれい、と思いました。最近の建物は直線だけでできているので、真っ直ぐでないものに心惹かれます。
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kiwidinok at 2008-05-01 08:50
前回、どのようにしてガラスをはめ込むかという疑問が残りましたが、今回の「伝統的な厚みと均一でない盛り上がり」という言葉から、溶かしたガラスをそこに流し込むとうこともあり得るのかと想像しました(ぺいとんさんのクッキーのように)。でも、それで完全に固定されたままになるのか?強度は大丈夫か?という疑問が残ります。
一般にステンドグラス窓に使われるレッド・ケイムと呼ばれる銅線を使った工法では、銅線の両側が溝になっていて、その部分にガラスをはめ込んで固定しているわけですが、はめ込んだガラスと溝との間にできる隙間に、ガラスを固定させ、水が入るのを防ぐと同時に、強度を加えるべく「パテ」を埋め込む作業が絶対に必要となります。 職業柄、どうしてもそういうところに目が行ってしまうんですね。 文字と組み合わせるというのは私もよくやるんですよ。イエメンでもそうやって楽しむ人が居るんだと、更に親近感が沸いてきました。
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ぺいとん
at 2008-05-01 09:03
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Azuki
at 2008-05-02 04:03
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ここを逃さず撮ったmiriyunさんてやっぱり素敵です。
夜にはいろいろな色の光が優しく輝くのでしょうね・・・いいなぁ メッカの隣はカァバ神殿に、そして右端は花のような太陽に見えましたが、いろんな風に見えますね^^あとその上も、最上階も、どれも違うのですね~ 聞いてまわりたくなってしまいます。ほんと団体行動だと難しいですよね;;;
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miriyun at 2008-05-03 13:42
hyblaheraiaさん、海外の生活と文化を知っている方は、日本的な感性もいつの間にか高まってくるように思います。直線的でないもの、ゆがみも、開いている空間もそこに意味を見出すことの多いのが日本的な感性が使われているような気がします。これからもいろんな国の文化についてお楽しみください。
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miriyun at 2008-05-03 13:50
kiwidinokさん、さすがにステンドグラスのこと教えていただけて嬉しいです。ガラスは均一でないといってもそこまで手作りではないと思います。でもたくさんの種類があることはたしかでそこからうみだされるもの、そしてずっと実用品としてずっとインテリアになっている点がいいですよね~・、
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miriyun at 2008-05-03 13:57
ぺいとんさん、アラビア文字で信仰告白とモスクがあると、つぎもなに?と見ていきたくなりますよね。そういうことにきづいたり、想像したりしていくのはいいものです。
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miriyun at 2008-05-03 14:00
Azukiさん、夜のサナア、昼のサナア、光あふれる街はいずれも見ごたえがあるだろうとおもっています。
一人で半なので、何人かで散策したいですね~。 |
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