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2008年 01月 19日
ブドウ文様は東にすすみながら、次第に唐草文様を形成していく。 ![]() ↑ インド ファティープルシクリの宮殿 后の部屋 インドでは赤砂岩での建築が基本である。西からきた花嫁のためにブドウ文様ややしの木などの文様がここにはある。丁寧に作られているが、植物の生命力を感じさせるまでは至っていない。 ![]() ![]() ↑パルミラのバアル(ベル)神殿 ☆ブドウ唐草のレリーフとしてこれは傑作だ。葉と実はもちろん、ツルまで詳細にあらわしている。デザイン的にも美しいし、いきいきとしている。 だが、なにぶん野ざらしであるため痛みが激しい。消えてしまいそうな姿であるからこそ、いつかここで紹介したいと思っていて、ようやくアップすることができた。 2000年弱の年月、強い直射日光にさらされ、寒暖の差の激しさと砂嵐、雨・雪にさらされてきて、損傷がこれだけというのもよく考えたらすごいことで、よほど頑丈な大理石にレリーフしたとのだと考えられる。屋外に当時のままにありながら保存する方法があればいいのだが・・・。 ◆いよいよ日本へ ![]() ↑正倉院御物 紫地鳳唐草丸文錦(日本美術全集 正倉院 より引用) 中央は鳳凰、周りにブドウ唐草が円形にめぐらされている。東西の文様が唐において融合された代表的な例。その文様が日本にも貴重なしかも瑞祥を表す文様として伝わり、唐で完成した文様を日本で織ったのではないかといわれている。 大仏開眼供養にも、縁起物のこの布は使われたという。 ![]() ![]() ↑薬師寺金堂 薬師如来須弥座の葡萄唐草文 (『世界文様事典』 創元社刊 ブドウ文様の1パーツをもとに作成。もようを見やすくするため周囲を彩色した。) 実際の色は、背景も模様も同じ黒。余程文様を意識しないとこの唐草文様の完成された姿に気付きにくい。実がついた唐草文は葉だけよりも文様化しにくいものであるが、これは洗練された姿になっている。仏教では通常釈迦の背景に菩提樹、足元にハス、台座などにはスイカズラが多用され、葡萄は一般的に使われることがなかった。しかしなぜか薬師寺だけは台座に使っている。 その後はしばらくこの模様の進展はなくなる。9世紀には手本としていた唐から法律・文字・紙・仏教・建築方法などすべて学びつくしていた。そして唐はこのころ衰え国は乱れていた。航海の危険を冒してまで唐に行く必要性がなくなり遣唐使が廃止となったのだ。 それによって日本独特の文化の発展となったのは喜ばしい。しかしシルクロードから西の文物に接する機会はしばらくなくなる。 やはり日本にとって天平の時代こそが文化的に特別に高揚し、優れた感覚で次々と新しいものを取り入れ、作成していった時期だったのだ。 そして、エジプトから見てきたブドウ文様の流れも奈良の薬師寺の葡萄唐草の優美な姿を見て終了としたい。
by miriyun
| 2008-01-19 19:28
| 文様の伝播
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Comments(6)
ブドウは世界中の誰が食べても美味しいと感じる果物ですよね。 だからその時代ごとに大切に模様の中に残されてきたのかなと思います。
実はその時代の流行の形なのでしょうか、あ~~食べて飲んで思い切りブドウに溺れたくなりました。
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文様はおもしろく、奥深く、興味深いです。もしも次の世というのもがあれば、現世では不器用でできない手工芸家というものになりたい、または模様など深いものを思いっきり若い頃から勉強してみたい、なんて、夢想するくらいです。
天平、そうですよね、同感です。勢いのある時代のものって、伝わり方は違う気がします。爛熟系が苦手な私、天平はかな〜り惹かれるテイストです。
ぺいとんさん、今はたくさんの品種改良されたブドウがたくさんありますが、形はともかく味はしっかり日の光をあび、水はけがよいけど水がありというところだったら実が大きくても小さくてもおいしいです。
きっとそういうぶどうが愛されてきたということなんでしょうね。
Orientさん、私も思うんです。若いうちは道を見つけられずにいたのですが、いまのこの精神で18歳に戻ったら絶対に違う道を歩んでやるって。やはり来世で期待でしょうか。あっ、でも精神も元に戻ってまたたあいもないことばかりしていたり・・・。
なにしろ、アートの世界、魅力あります。一時何も専門的なことは知らないのに真剣に正倉院御物の修復に携わりたいなどとも思ったりしました。 今はなんといってもアラビア書道の世界でもっと作品化したいです。
下から記事を読んで来て、葡萄って絵になる果物なんだなと気が付きました。実も葉も、デザインになり易いというか…
ひとつの房に沢山の実がなって、豊穣のイメージとも繋がる感じがしますよね。以前テレビで見たんですが、ぶどうには大豆と同じく、女性ホルモンに似た働きをする何かがあって、ぶどうの産地には長寿が多いそうですよ。 スペインには、大晦日の夜の12時、その鐘が12個なる間に12粒の葡萄を食べると、翌年の運が良くなると言って食べる習慣があります。種も皮もあるから、結構大変なんですよ。初めてそれをやった時は、同居してたアメリカ人の女性が、「皮も種も丸ごと食べるんだ」というのを聞いて、えぇ~っと思いましたが、その後分かった事は、皆が皆そうする訳ではなく、但しその場で皮を剥いたり種を出したりしてたら間に合わないので、前以って用意して置いたりするみたいです。最近では皮と種を取った葡萄の実を丁度12粒詰めた缶詰なども、シーズンになると売られてます(笑)。
pequeさん、そうですね。特に葡萄の葉が思ったより強調されているようです。キリスト教社会では葡萄は宗教との関係から多用されるのですが、シルクロードを通る葡萄文様はやはり豊穣のイメージが喜ばれるためだといえます。
スペインの習慣おもしろいです。また12月に葡萄があるということが日本と異なりますね。 |
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