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2008年 01月 18日

ブドウ今昔

ブドウは約2000年前の地中海沿岸地域で盛んに生産されたものであり、その姿はモザイクばかりでなくレリーフにも登場する。
 一方、そのブドウの栽培は現代においても変わらず豊かに実る。レリーフ画ある同じ場所で時を隔てても変わらず芳醇な香りをただよわすブドウから、古代の姿やローマの豊かさを感じてみよう。

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  ↑ バールベック
 レバノン山脈とアンチ・レバノン山脈の間のベカー高原のほぼ中央にバールベックの遺構がある。標高1000m。フェニキア人が最初に豊穣神を祀った。紀元前1世紀から200年をかけてローマが大神殿群を建てた。
 その中にはローマ由来の卵型・花形の文様が多いがよく見ればブドウを菱形の中にデザインしたものが見つかる。
 ブドウは近くの高原のブドウ。

 なお現在、豊穣の地ベカー高原はワインの産地として知れ渡っている。

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   ↑カルタゴに残るローマ彫刻。
 カルタゴは豊穣そのものがテーマのような彫刻である。女性がたくさんの果物を持っている像であるが、他の丸い果実が何であるのか判別しにくいが、ブドウこそは誰もがわかる形で表すことができる。その豊穣の印であるブドウを全面に押し出しその上にブドウの葉もくっきりと刻んでいる。
 チュニジアの北部は穀倉地帯であると共にブドウの大産地でもある。

ブドウ今昔_c0067690_11195887.jpg

   ↑シリア、ボスラーの遺跡。
 巨大なアーチが崩れもせず残っている。さて、そのアーチには特に文様は刻んでいなかったのだが最も高い位置・頂点にだけこのブドウ文様が刻まれていた。頼もしく思えるほど太いツルがこのアーチ天井から湧き出でて交差する。そのあとつる草は左右対称にのびていく。その間に実るブドウ・・・象徴としての文様だろうから粒は数個であるが、おそらくこの地もブドウがあふれていたのではないだろうか。
 右はボスラーの住民からいただいた、この地の太陽と水の恵みをうけたブドウである。

☆シルクロードも中東も、また北アフリカも日差しの強いところは本当にブドウがおいしい。皮が気にならない。甘みが強く香りが豊かである。気候の違いが日本とは異なるものに感じさせるのかもしれない。
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by miriyun | 2008-01-18 23:50 | 文様の伝播 | Comments(2)
Commented by Azuki at 2008-01-20 19:06 x
よく葡萄を皮ごと食べる姿が描かれますが、彼も同じようにそのまま食べたのでびっくりした覚えがあります。イランの葡萄も皮ごと食べれるくらい美味しいそうです。日本の葡萄は皮が厚いと言ってました。皮の違い、気候の違いなどで変わってくるのでしょうか~(・v・)
Commented by miriyun at 2008-01-20 21:43
葡萄の皮…やはりそうですか?皮の厚さが気になっていたんです。日本では皮が気になって食べレナインですが、中近東・中央アジアでは普通に尾食べてしまっているんです。皮の厚みが違うと感じていたのはまちがいではなかったのですね。


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