写真でイスラーム  

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2007年 11月 03日

風をうけ、ファルーカはゆく

風をうけ、ファルーカはゆく_c0067690_103331100.jpg

   めざすはイシス神殿
      行くは、ファルーカ・・・5000年前からナイルの運搬を担ってきた帆かけ舟 
         青い船板に赤の国旗がなびく。
 写真をお楽しみいただけたらうれしいです。応援よろしく!

お時間のない方・写真だけ楽しみたい方はここまで

*国旗がへんだ~と思った方は、もうちょっと続きも読んでくださいませ・・・
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 ☆国旗については、エジプトの現代史がここの画像に関係している。☆

1958年にシリアとエジプトがアラブ連合共和国を結成した時に、赤・白・黒の三色旗で緑の星を2つおいた画像の下部の国旗が使われた。2つの星はエジプトとシリアを意味する。
エジプト・シリアの地域は汎アラブ主義により一体化したいという願いがあり、当時人気のあったナセルが大統領をつとめ。首都もカイロとした。しかし、シリア人の登用が少ないため瓦解するにいたった。

 また、1971年、リビアのカダフィ大佐主導で、シリア・エジプト・リビアの汎アラブ主義国がアラブ共和国連邦を結成し国旗を統合した。
 この連邦は、赤・白・黒の水平三色旗の中央に金の鷹が置かれた旗を国旗に制定した。鷹はアラビア語で「アラブ共和国連邦」と書かれた巻物を持つ。この連邦は政治統合を見ないまま1977年に解消した。
 写真画像では金の鷹が判別できないが、薄い色であるため、長く使って強烈な太陽により色あせた可能性もある。

 写真はこの2つの過去の旗を掲げた珍しい光景だ。よほどファルーカの持ち主が汎アラブ主義が気に入っているのかもしれない

 なぜ、汎アラブ主義があるのかは、経済的な事情や国策的な事情があるが、心情的には中世の歴史までさかのぼってみていきたい。シリアに生まれ暮らしたサラーフッディーン(サラディン)がエジプトに本拠地を置くファティマ朝の政権を引き継ぐような形で新たなアイユーブ朝を開いた。そしてシリアのザンギー朝までを統一したことによって、この地域は一体化したことがあるからだ。
 その後、いずれもオスマン朝の支配下に入ってしまうが、同じアラブという意識はあり、また、イギリス・フランスの支配下において尚更その思いが高まっていたと見るべきだろう。

 これらの過去の旗は、いまはどうなっているのか。

アラブ連合共和国の三色旗に緑の星が現在のシリアの旗になっている。
また、アラブ共和国連邦の三色旗にクライシュ族の金の鷹の旗は三色旗にサラディンの鷲に変わってエジプトの旗になっている。もちろん鷲の下には「エジプトアラブ共和国」と書かれている。 

                         写真と歴史のコラボお楽しみいただけたでしょうか?応援よろしく!

by miriyun | 2007-11-03 10:42 | 写真館 | Comments(12)
Commented by ジョー at 2007-11-03 19:20 x
国内だけでも、いろんな考え方や視点が飛び交う中で、国と国、それもただ、その時に一番勢力が強いグループの考えで統一しようとする試み。
それは可能なのでしょうか。
歴史を振り返ってみても、どの王朝も長続きしていないことからも、流動性のある私達人間が同じところに固まって存在することは不可能なのではないのかと感じます。
船の上で気持ち良さそうにしている船頭さんは、どんな願いから2つの国旗を掲げているのでしょうか。
私はアラブ諸国のことは、ほぼ無知なので、想像もできませんが...。
潮風にしかあたっていないから、たまには川で揺られてみたいなと無い物ねだりをしながら...。
よい週末を!
Commented by miriyun at 2007-11-03 22:16
ジョーさん、この時は経済の中心地として、カイロとつながることはシリアの商人には喜ばれたようです。また、1956年のスエズ国有化宣言によってナセル大統領がアラブ世界では支持を受けていたことが背景にあり、これをスタートさせることができたのです。
 同じく汎ヨーロッパ主義は、EUの経済統合・通貨統合まではいきました。でも政治統合ができるのかは壮大な実験になるでしょう。
 エジプトもアラブの大国として二度のラブコールがあったわけですが、やはり難しかったですね~!しかし、本気でやろうとしていた時代の存在から何かを学んでいくのでしょうね。
 川に揺られるのは気持ちいいですよ~。おススメです!
Commented by ぺいとん at 2007-11-03 22:22 x
国旗のお話面白いですね。 
地図帳で現在の国旗を確かめてみました。
エジプトの鷹さん、『サラディンの鷹』というのですね。へ~~~~、です! 
シリアはこの70年間に6回も国旗を変えているそうですし、リビアにいたってはカダフィ大佐が一夜にしてまっ緑に変えたとか・・・  
miriyunさんからお話し伺わなかったら私の地図帳の国旗のページは一生陽の目を見なかったかもしれません。  
地図帳共々お礼を申し上げます♪

Commented at 2007-11-03 22:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Azuki at 2007-11-03 22:58 x
旗ってほんとに少ない色形で語りますね。歴史が苦手なのでうまく飲み込めずにいますが(汗)、旗にも今後注目したいと思います。エジプトもアラブなんですね・・・;;;;
Commented by Anny at 2007-11-03 23:00 x
そうなんだ・・・
実は前からエジプトとシリアの旗が似てるのがなんとなく気になってたんだけど、おかげさまですっきり~。ありがとうございます。
Commented by miriyun at 2007-11-04 06:58
鍵コメさま、お気に入り見させていただきました。
落ち着いた色調の風情ある写真と、淡々と東南アジアを語られていますね。素敵な語り口でした。教えていただきありがとうございました。
Commented by miriyun at 2007-11-04 07:20
Azukiさん、名前が似ているのがたくさん出てきてややこしいですよね。私もこうやって書かない限りは、頭の中で漠然としているだけで明確にならないので時々こうして整理しながら書かせてもらっています。
Commented by miriyun at 2007-11-04 07:24
Annyさん、ワォ!お役にたちましたか。それはとっても嬉しいです。
 世界はまだまだ知らないことだらけ、だから面白い・・・そういう思いでいつもいろんなことを書かせてもらっています。
Commented by ahirunoko724 at 2007-11-05 04:43
ファルーカ、とても気持ちよさそうな風が吹いていそうですね。あぁ、私もナイル川の傍に戻りたくなってきました。憧れのナイル川クルーズにでも行こうかな、という気分です。
Commented by miriyun at 2007-11-06 07:14
ahirunokoさん、ファルーカはいいですね!これまでの船経験、あまり多いわけではないですが、ことに心地よかったです。何しろ酷暑のエジプトで川だけは涼しいですね。
Commented by miriyun at 2007-11-08 02:26
ahirunokoさん、うまいヤドモスクのアザーンは好きなんですが、そのうたいあげるように何人もが行なうのをこの眼で見たいものです。


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