2007年 09月 22日
サウジアラビアのアブドッラー国王は6箇所の経済都市建設によって経済の多角化を目指している。 構想はダイナミックなもので2010年までに(エッ!?すぐじゃない?あと3年しかない)、世界で10番目に競争力のある経済を目指そうとしている。 ’10年までに世界10番ということでその名を―― 10×10(テン・バイ・テン)プロジェクトという。 (サウジアラビア大使館第77回建国記念日資料より引用) 産油国の何十年も前からの懸念と若年層の失業などの問題を抱えたサウジアラビアがアブドッラー国王の下で、6箇所の大規模経済都市建設が進められている具体的なプロジェクトである。 中でも2008年に第1区画の完成を予定しているのが、 『キング・アブドッラー・エコノミック・シティ』 建設である。世界最大級とうたいあげる総合経済特区である。 ↑その計画のイメージ画。 紅海の中ほどに面したラービグにつくられつつある。 インド洋とスエズ運河、地中海を結ぶ好立地に巨大タンカーのための港湾施設を建設するとともに、物流の拠点とする。また、最新の機械による近代的工場(IT,医療、軽工業他)によるサウジアラビアの工業都市として、さらに金融地区も世界の金融の重要拠点になるようにとの計画である。 上の図の左端の印象的なつくりのビル群を見てみよう。 うう~ん! このキング・アブドッラー・エコノミック・シティは2005年の正式スタート以来、ドバイのように猛然とプロジェクトが進行している。 *投資額、270億アメリカ・ドル、それって小さい国の国家予算をはるかに超えている。 そのお金は民間投資なのだが、それをおもに出しているのが、U.A.E.(・・・ここのところ世界経済の投資や合併とか言う話にはこの国が顔を出している)、 なお、都市づくり予定図を見て、ドバイのイメージに似ていると思ったのだが、調べてみてわかった。この図をおこしたのはプロジェクトそのものを引き受けたUAEのエマール社だったのだ。 *また、日本が関係しているのはPETROラービグ・プロジェクトといい、投資額100億アメリカ・ドルで、住友化学・サウジアラムコ合弁事業で石油精製・石油化学製品製造施設の建設を行なう。日本も大いにかかわっている大プロジェクトなのである。 (*在サウジ大経済班のPDFを参考とした。) これらによって、キング・アブドッラー・エコノミック・シティは新規雇用数100万人、居住人口200万人を予定しているというからすごい。ニュータウンどころではない。大都市を突然紅海沿岸に出現させてしまおうという計画で、しかも実現は迫ってきている。 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ ある心配が頭をよぎっている。 サウジの大繁栄の横で出稼ぎに行くイエメンの話を以前にした. ラービグがこのような一大物流拠点になるということは、歴史上ずっとインド航路とエジプト・地中海への物流の要であったイエメンのアデン港の先行きはどうなるのだろう。 アフリカとのつながりがあり、小さな商売については続くだろうが大型船はラービグに行ってしまうかもしれない・・・。 一方の繁栄の陰には暗い影がさすところも出てきてしまう。それも知っていなければならないだろう。 いつもありがとうございます、ポチッと応援をよろしくく
by miriyun
| 2007-09-22 12:01
| サウジアラビア
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Comments(4)
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yokocan21 at 2007-09-23 02:58
へぇ~、と頷きながら読ませていただきました。
なるほど、中東の産油国って石油以外にはこれといった産業がない(ですよね?)ので、〝石油後〟のプロジェクトが目白押しなんでしょうか。 ドバイに続け~の勢いですね。 それにしても、完成予想図はまるで未来都市。映画やアニメの世界でしかなかったものが、もうすぐ現実として登場してくるんですね!わぁ、すごいなぁ。ますます中東地域から目が離せなくなってきますね。 ところで、栄えるものあれば滅ぶものあり...。日本、大丈夫なのかんぁ、とフト思っちゃいましたぁ。 ぺトラの夕暮れ、miriyunさんにかかるとこうも素敵に写ってしまうものなんですね!何気ない景色が、とっても幻想的に見えます。いつまでも眺めていたい、そんな光景ですね♪やんわり気分。
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orientlibrary at 2007-09-23 10:16
今の王族の「運用」ってすごいようですね。あるにまかせて湯水のように使うより、もうぜんぜん賢いと思いますが、どのように展開していくか、誰にもわからないような感じもします。神のみぞ知るのかもしれませんね、
2番目の写真、カリグラフィーかと思いました。いつかカリグラフィー都市、登場するかも、、、 そうなってくるとまたすごいなあ。、 アメリカって、あれだけ繁栄した大国ながら、歴史に残るような建築物、建造物はまったくありませんよね。宇宙や娯楽、情報など、ソフトに資金をつぎ込むのが、アメリカのアメリカたるゆえんなのかとも思います。
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miriyun at 2007-09-24 12:11
yokocanさん、おっしゃるとおり、未来を考えると日本のことが心配になります。技術と仕事に対する情熱は底力ですが、もっと国家戦略は欲しいものです。小さな利害で争ってばかりの政党は小さい幹事が否めないようで・・・。
ペトラの夕景楽しんでくださってありがとうございます。何よりも自然の美は心を癒します。
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miriyun at 2007-09-24 12:16
この写真、カリグラフィーと見られたとは・・、ほんとに柔らかな曲線がそう見えますね。Oriさま、柔軟な思考をお持ちで、さすがです!
建造物については歴史的に残る?・・・そういえば、残るようなものはないですね~、かの国には実際歴史コンプレックスがあるのではないでしょうか。中東の深~い歴史に接する時何を思うのでしょうか? |
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