写真でイスラーム  

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2007年 09月 12日

「ロバと夾竹桃」考

 ペトラの遺跡の中で、岩山全体が墳墓群になっているところがある。

 強烈な日差しにさらされた墳墓にカメラを合わせる。手前の植物はシルエットのように黒ずんでしまうが、その植物はその中でもしっかりピンク色の花を主張して咲いていた。
 
「ロバと夾竹桃」考_c0067690_19504818.jpg

 このピンクの花は夾竹桃。インド原産で乾燥に強いこの花は酷暑の中を5月から9月まで咲いている。(この写真は8月撮影。)

 ◆夾竹桃(キョウチクトウ)とは―― 
  夾竹桃というのは葉の形が竹に似ている細い葉であり、花は桃に似ているということからこのように書かれているという。雨がしばらく降らなくても枯れることがない丈夫な木であり、排気ガスにさらされても強いので街路樹にも多い。
 これは、インドから中国を経て日本へ渡ってきた典型的な植物であり、日本でもよく見る珍しくもない花だ。

 だが・・・、

 ぺトラのように酷暑・乾燥の厳しい環境の中でその姿を見ると別の感慨がわいてくる。サボテン種ではない普通の木が普通の花弁を持った花をつけている。しかも何ヶ月も咲かせ続ける。・・・・これはなかなか驚異だ。

 夏の中東を好んで歩いているが、花を見ることは向いていない時期である。(大きなトゲのついた、近づくと痛い思いをするような植物なら花をつけているが・・・。)

 また、ペトラにはたくさんのロバとラクダが働いている。
 ラクダは大きなウチワサボテンのトゲだってムシャムシャ食べてしまう動物だ。
 それにこの木があるところは午前中は日陰になっているので、ロバがこの夾竹桃の木につながれているのだ。
 そこに花のついた木が程よい高さであったなら、3日と待たずに柔らかな葉と花芽は食べられて枝ばかりの木になり、ついには枯れてしまうかもしれない。

 それなのに、そんなに多くはない木のすべてに花も葉もふさふさとある

 ◇なぜだろう?  どうして? いつもの???で頭に渦が巻く。

  じつは、このキョウチクトウ(夾竹桃)は自己防衛機能とでもいうべきか、毒をもっている。それもアガサ・クリスティの小説によく出てくるジギタリスと類似点もある。強心作用や利尿作用もあるが、毒性が強い ので素人に扱える代物ではないというくらいの毒なのだ。

 昔から、家畜が食べてしまうことがあり、そうしたときに中毒症状があらわれ、量が多ければ死んでしまう。

 キョウチクトウの別名がある。インドでは「馬殺し」、イタリアでは「ロバ殺し」という物騒な呼び名である。また、牛も死んでしまうとされているので草食動物にはとても危険なものなのだ。

「ロバと夾竹桃」考_c0067690_19514372.jpg

 このペトラのロバはこのようなところにつながれて大丈夫なのだろうか?それとももう危険だと学習したのかもしれない。なにしろ、ロバたちは私の見る限りでは、目の前にあるキョウチクトウの一枚の葉も食べていなかった。

 これが、キョウチクトウが花芽や葉を食べられないでずっと花を咲かすことができる理由だった。

 ラクダ殺しという言葉は聞かないので、体が大きいので死ぬことはないのか?ただ単に嫌いなのか?・・・これについてはわからないが、私はラクダは人間が思っているよりずっとかしこいと思っているので、これは危険だとわかっているかもしれないと想像している(何の証拠もないが・・・)

 なお、人間にはどうかというと、牛や馬よりずっと体の小さな私たちはもっと注意しなければならないようだ。
 木に親しむ日本人はキャンプに行って箸がなければその辺の木を切ってきて箸にして使う。そういうのを自分でもワイルドで頼もしいと思っていたのだが、広島でそうやってキョウチクトウの箸を使ってなくなった人がいるそうだ。(Wikipediaを参考とした)

また、古くはアレクサンダー大王の配下から、近代では戦時中の日本軍の兵士まで、戦時下での移動のなかで、この夾竹桃の毒による被害を受けている。

 花咲く遺跡の写真を見ながらこわいお話になってしまった。皆さん、どうぞご注意を!

                                       
                                                    
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by miriyun | 2007-09-12 19:48 | ヨルダン | Comments(8)
Commented by Azuki at 2007-09-12 20:18
ここ行ってみたいです~~~~@。@
何ヶ月も花が咲くなんてすごいですね。美しいものには毒がある。これから注意しようと思います。教えていただいてよかったです。やりかねないので、ほんと気をつけないと;;;
Commented by orientlibrary at 2007-09-12 22:39
え〜〜〜。私は5月で満開だったので、いいときに来たと思って喜んでいたんですが、ずっと咲いているんですか。すごいですね!
そしてほんとに、どうして動物は食べないんでしょう。学習というより。遺伝子にインプットされてるのかな。
ペトラ、いろんな角度から見ることができますね!
Commented by yokocan21 at 2007-09-13 07:38
おぉっ、このお花、夾竹桃っていうんですね。トルコでもよく見かけますけど、なんと毒があるんですか。街路樹として植えられていたりもしますので、要注意ですね。
でも動物って、本能的に食べていいもの・いけないもの、の区別が付くって、すごいですよね。
ぺトラの遺跡から、夾竹桃→ろば→らくだ、と話がどんどん広がっていって、楽しいかったです!
Commented by miriyun at 2007-09-13 18:53
Azukiさん、花そのものは珍しくはないのですが、毒は想像以上の危険さで、自分でも驚きました。
 
Commented by miriyun at 2007-09-13 18:55
Orientさん、遺伝子にインプット、そうかもしれません。自然界では教わりもしないのにどうして海がめは生まれたと単に海に向かって進むの?とか不思議に思うことがたくさんありますよね。
 
Commented by miriyun at 2007-09-13 18:56
yokocanさん、トルコにも多いんですか。確かに丈夫なので街路樹にされることが多いそうです。虫もつきにくいほどの毒というところでしょう。
 楽しんでくださってありがとうございます。
Commented by peque-es at 2007-09-14 11:50
キョウチクトウ、スペインにも多いです。確か adelfa といいます。何となくアラブ圏から来た言葉のようなイメージがあるんだけど、違ってるかな?
猛暑の年に、あっちでもこっちでもキョウチクトウが満開だった事があり、暑さや乾燥に強いというの、頷けます。お箸として使っただけで、人も死ぬほどの毒性があるっていうのは、ちょっとビックリしました。
Commented by miriyun at 2007-09-14 21:48
pequeさん、キョウチクトウはインドからと東西へずいぶんと広がっていったものですね。やはり乾燥に強いのは確かだということがわかりました。adelfa,アラビア経由である可能性は、歴史と位置から十分可能性がありますね。
 インドではなんというか、ペルシアではとか知りたいものです。


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