2007年 08月 16日
ローマの遺産は、イスタンブルにはっきりと残っている。その位置をまとめてみよう。 現在のヨーロッパ側のテオドシウスの城壁に囲まれた中に、ローマ・ビザンティン帝国の人々の生活があった。しかも帝国の首都である。 ローマの市民は水を豊富に使ったゆとりある生活と、娯楽の楽しみを求める。娯楽はヒッポドロームがあり、そこでは戦車競技のほか、各種競技も見せた。 では、『水』はどうなのか。増えていく人口をに対応するだけの水を引く・・・・これこそはローマの実用文化と技術の最たるものであった。 1、ローマの技・・・水道橋 コンスタンティヌス大帝が水源から水を引き、丘と丘の間には水道橋をつくらせた。完成は378年、ヴァレンス帝のときだったので、ヴァレンス水道橋(ボズドーアン・ケメリ)と呼びならわされている。 この水道橋はきれいな水をビザンティンの宮殿はもちろんトプカプまで送り続けたという。石で二段に作られ上の部分に水道管が通っている。高さは26m。近郊のベオグラードの森といわれるところから地下宮殿に水が引かれていた。近くからひいたのでもともとチュニジアのような長さはないのだが、水道に使わなくなってからは、都市計画の邪魔になり一部壊された。現在、残っているのは800mほどだが、オスマン朝でもずっとこの水を利用し続けた。つまり千数百年にわたって水道橋は使用できたということだ。 2、街の地下には何がある? そして、この都に生活に十分な水が送られるのだが、現在でもイスタンブルは夏には水不足が起こることがある。当時も季節による水量の変化には困ったはずだ。 そこで、人口増大が激しいこの街では貯水池を作るわけにもいかず、地下に貯水することになった。したがって、この街を支える水は地下に存在したのだ。地下にはいくつもの貯水池が作られている。 そのうちの一つだけが公開されていて、それを地下宮殿(イェレバタン・サラユ)と呼んでいる。なぜ、宮殿なのか、元宮殿や神殿にあったと思われるコリント式の柱頭が多いがさまざまなところから集めた大理石の柱が高さをそろえて使っている。地下空間を半永久的にもたせようとしたのか、立派なアーチ天井を支えているのだ。 中には高さが足りない柱をのせるのにメデューサの顔も使われていたという。長年使われないでいた間に土がたまってしまっていたのを、かき出して、今は整備されている。水そのものは冷たくきれいで魚が泳いでいた。 そして、いろいろなデザインの柱や彫像まで再利用される中でひときわ気になる姿なのがこの涙の柱と呼ばれている柱だ。どういう由来でなんという宗教にかかわるものかわからない。 もともとローマ以前の歴史深いものをローマが使っているのだが、中にはこんな珍しいものもひょっこり混じっている。 本当に、この街の歴史の幾重にも重なっているのを実感させてくれる。 なお、イスタンブルのホテルを捜しているうちに、地下に別の地下貯水池が通っているホテルがあることに気づいた。残念ながら今は工事中で見せられないらしいが、このように実は街のあちらこちらに実は貯水池につながるところがあるはずなのだ。 近代になって、それまで知られていなかった貯水池について調査団が調べたところ、貯水池の上に立っている家の人々は家の中から地下に通じるようになっていてそこから水も使うし、魚も取って食べていたという。 やはり,☆イスタンブル・・・ただものでない! ◆ポチッと応援してくださると嬉しいです。
by miriyun
| 2007-08-16 15:01
| トルコ
|
Comments(2)
この現代、都市ガスが引かれていない場所もたくさんウチの辺りにはあるというのに水道橋が本当に使われていたのだと思うと信じられないくらいです。
ダムなどない時代に地下に貯水池という発想も素晴らしいですよね。 そしてその装飾にもいろいろな思いが込められていたのだろうと思うと感無量です。 この宮殿にはきっと今でも主がどこかにいそうですね!
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Commented
by
miriyun at 2007-08-20 17:55
ぺいとんさん、ローマ・ビザンティンの建築技術とすごいですね~。生活向上のためには何を作ることもいとわない精神、それに財力と皇帝の権力の強さが加わるとすごい力を発揮するものです。
その建築力野中でも上水道・下水道・風呂などがこの後のヨーロッパでついに再現できなかったくらいにすごいです。 貯水池、とっても涼しいです。 |
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