写真でイスラーム  

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2007年 08月 07日

第600話 アヤ・ソフィア

 600話・・・になりました。
 歴史の話が増えちゃっていますが、黙って飽きずに見てくださる方、ときどき声をかけていってくださる方、ありがとうございます。その一言が私の活力の元です。励まされています。

 たびたびコメントしてくださる方、心から感謝です。お人柄を知ったり、新しいことをおそわったりとと交流させていただいてとても楽しいです。

☆ 今日は、ビザンチンの最高傑作といわれる大建築アヤ・ソフィアの遠景写真とその激動の歴史をみてやってくださいませ。
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第600話 アヤ・ソフィア_c0067690_19235155.jpg

        ↑( 聖堂は中心部の建物のみ、4本の塔はモスクとなってから加えられた。)

1、アヤソフィア建造から現在まで
 537年、ビザンティン(東ローマ)帝国ユスティニアヌス帝の命で6年の歳月をかけてビザンツ様式の大聖堂を完成した。これをアヤソフィア(ギリシア語でハギア・ソフィア)という。
 アンテミオスとイシドロスが設計を担ったが、工事が進むにしたがって変形・亀裂・傾きなどが生じて困難を極めたが、補強をしながらも完成させた。ドームはもちろん真円として設計されたが、建設中のゆがみ是正により南北方向が2mほど長い長楕円形になっている。
 また、557年の地震とでアーチとドームが半壊し、その後も989年、1346年にも大規模崩落を起こしている。そのたびに再建はしたが、ドーム開口部は減り、段階的に縮小されていった。

 1204年、第4次十字軍が、ビザンチン帝国を攻め落とし虐殺と略奪の限りを尽くし、ラテン王国を樹立した。その当時、キリスト教におけるイエスやキリスト教に関する聖意物を西方教会の法王のところよりも数多く所有していたが、すべて略奪され、祭壇さえ砕かれ持ち去られた。
 キリスト教徒の村を攻めたことを激怒したローマ法王も、東方教会のビザンチウムを攻め落としたことは、これで東西のキリスト教が統一ができたと喜んだ節がある。
 
 t約半世紀を経て、またビザンツ帝国は再興したのだが、アヤソフィアを造った時のような光彩を放つことはできなかった。

 1453年、オスマン朝のメフメット2世はビザンチンを陥落させた。
メフメット2世はここへやってくると大地にひざまづき祈った。そして、キリスト教司祭にこれまでどおりの権利を与えて、信教の自由を認めた。
 アヤソフィアの略奪を禁止し、聖遺物や偶像を取り除かせ、ここをジャーミィとして木製の塔(ミナーレ)やミフラーブを加えたが、その改造は最低限としている。
 アヤソフィアにとって幸運だったのは、イスラームの他宗教への寛容さとメフメット2世が明確にアヤソフィアの地位と役割を定めたことだ。これが時代とともに状況の変化があっても、常にトルコ人が大切に修復しながら保存してくることにつながった。
 20世紀にはアタチュルクによって博物館として公開することになって、今に至っている。

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2.偉大なる建造物
 アヤソフィアは、数ある天井のあるローマ建築としては珍しく残った大建造物である。そもそもの構造上の問題、地震、破壊と略奪・そして異教徒の手に落ちて・・・と激動の歴史の中で、再建・修復を、ビザンチン帝国もオスマン朝もよくぞ続けたり、と手を打って褒めたい気持ちになる。 
 そして、この大建造物を越える建造物をスルタンは望みながらなかなかつくることができない。アヤソフィア以上のモスクを命じられながら失敗して処罰された建築家もいた。

 そういう中でミマール・スィナンは、このアヤソフィアを脇に見て育っただけでなく、自らもその修復にかかわった。そして、生涯に何百もの建築物、とくにスレイマニエ・ジャーミィやセリミエ・ジャーミィをつくっていた。また、彼の弟子がスルタンアフメットジャーミィを完成させたことで、ようやくその偉大な建築物の呪縛からときはなたれたのではないだろうか。
 
 アヤソフィアはこうしてトルコ最大の建築家を育てるのにも一役かったのである。

                            ◆一日一回ポチッと応援よろしく!

by miriyun | 2007-08-07 19:30 | トルコ | Comments(6)
Commented by Azuki at 2007-08-07 23:03 x
おめでとうございます♪☆600話☆
これからも素敵な写真と情報を発信していってください^^

私はいつもこういう建物を見るとなんともいえない気持ちになります。
こうして、修復して大切にしていたから今の時代に残り、私たちが見ることが出来るってすばらしいです。緑と海と共にどっしり佇む姿、ため息がでます。
Commented by ぺいとん at 2007-08-07 23:15 x
600話おめでとうございます!  
たくさんのお話や写真にうっとりしたりため息が出たり妄想を掻き立てられたり(?)、そして悲しいときには力をいただいたりして来ました。 
本当にありがとうございます。 

先人が大切にしてきたものを未来へ残すことも「知恵」の一つなのでしょうね♪
Commented by miriyun at 2007-08-08 05:29
Azukiさん、励ましの一報をありがとうございます。
 1470年もの歳月があっても尚、立派に建っているのはやはりすごいことです。そしてローマの建築はオリエント・ギリシアのいいところを吸収して、さらに実用化していった中でこういった巨大な建築ができるようになったものなんでしょう。
 人類の英知はすごいものですね。(そういえば、ハギア・ソフィアは聖なる英知tという意味でした!
Commented by miriyun at 2007-08-08 05:36
ぺいとんさん、いつも応援ありがとうございます。
  
 すばらしいものは残していくのが知恵!そのとおりですね。
 
 日本でいえば、法隆寺・・1300年、これは木造としては驚異的です。残していこうという気力を持って立ち向かわないと残せなくなってしまうでしょう。
Commented by orientlibrary at 2007-08-08 09:18
600話、おめでとうございます。
最近週1ペースの私、、頭が下がる思いです。
知的好奇心、伝えたい気持ち、、、その強さですね!

昨晩、NHKBSで地中海文明の再放送を見ました。スペインのイスラム時代〜カトリック時代への変遷のあたりをやっていましたが、キリスト教徒に都合のよいような歴史の塗り替えが堂々とされていることに 驚きました。歴史は作られるもの、、という側面を強く感じました。
でも、ああいうしっかりしたドキュメンタリーを作るのもまた欧米の国であることが多く、その点はいつもすごいなあ、と思っています。
Commented by miriyun at 2007-08-08 21:59
資料としての写真を何とかして生かしてあげなければという思いで何とか続けています。
 内容的にはOri様のようには深められませんが、思いは忘れずにやっていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。
 BSでいい番組が時々あるんですね~。TV環境が旧式のままなので、いいなあ~とおもっています。確かにドキュメンタリーはその国の政治とは別でとてもいい切り口を持っていたりして感心することがあります。


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