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2007年 07月 05日

パルミラのライオン像…ライオン紀行(14)

パルミラはシルクロードを旅してくるものにとって中継地である。そして、紀元前後、そこには華やかに栄えたオアシス都市でもある。そこにも大きな写実的なライオン像がある。アラート神殿のライオンである。
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 大きさといい、造形といい見事で、獲物を押さえ込んで座っているだけだが、ライオンが持つ威厳と生命力が伝わってくる。

パルミラのライオン像…ライオン紀行(14)_c0067690_7195573.jpg

 シリア考古学博物館の壁にもそのライオン像のレプリカがあるので、形は確認できる。ただし、細部の彫りが甘いためか、迫力や伝わってくるものが本物とは違って感じてしまうのは自分だけだろうか。
どこが異なるのか。たとえば、レプリカのほうの口元を見てみよう。舌がだらっと口の中にあるだけだ。ところが上の本物のほうの舌はやや盛り上がりがあり、生きているものの緊張感がある。そういったものがライオン像の端々で異なるのだ。

 ローマとペルシアの複合体としての様式を持つレリーフが多い中、ローマのしなやかな肢体、ペルシアの権威をあらわさす象徴・・・そういった2つの異なる文化がここで混ざり合っている。ライオン像はどうか。ペルシアの大仰な石の細工。しかしその顔はペルシアの目ではなくどちらかというとローマに似ている。
 そんなところを感じさせられるアラート神殿のライオン。けっこう好きなんだ~。

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by miriyun | 2007-07-05 06:20 | 文様の伝播 | Comments(2)
Commented by ぺいとん at 2007-07-06 23:11 x
近々歯医者に行かなくてはならないのでやはり歯に注目。 
本物のほうが尖っているような気がするのですが…
今日A.クリスティの「さあ、あなたの暮らしぶりを話して」を読み終わり、シリアを舞台にした話にドンぴしゃりのパルミラのライオンを彼女も見たのかな?と思いが広がりました。
Commented by miriyun at 2007-07-07 09:59
ぺいとんさん、歯も本物は鋭い・・・そうですよね。やはりそう見えますよね。それに獲物の草食動物の目にしても本物は生きているものの強さを秘めています。
 考古学者マローワンを夫としていたアガサ・クリスティはきっとこれを見ただろうと私も思います。かなり中東を歩いているし、作品の舞台にもしていますね。


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