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2007年 04月 28日

その後のスフィンクス…ライオン紀行(7)

 エジプトのファラオの頭部を持つスフィンクスののち、どのようなスフィンクスがあったのだろう。
 
 スフィンクスは時代と共にその意味合いが変わってくる。 
より権威を高めおそれさせるために翼もついて有翼スフィンクスが出現してくる。

◆メソポタミアはアッシリアの本拠地ニムルドがもっとも栄えたのはBC9~8世紀だ。そのころ、エジプトからの工芸美術の流れは地中海沿岸に伝えられ高められたいた。アッシリアの王はたびたび地中海沿岸まで攻め入り、そこからフェニキアやダマスカスなどの町から戦利品として美術品を手に入れた。

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             ↑象牙のスフィンクス(大英博物館 アッシリア文明展カタログより引用)
  これは、植物の間を有翼スフィンクスが悠然と歩く姿だ。冠と頭部はエジプト風。付け髭はないが前垂れをかけてエジプトの影響が大きい。これは縦横とも約7㎝ほどの象牙からできており、彫りは細かい。大英博物館の解説によると、フェニキア人の手による物だろうとされている。
その後のスフィンクス…ライオン紀行(7)_c0067690_11413059.jpg

       ↑ダマスカス博物館のスフィンクスレリーフ(博物館で購入した絵葉書より引用)
 これは時代は下り、BC1世紀のスフィンクスだが、上のニムルドで発見されたスフィンクスと類似点が多い。
 ① ダマスカスのは完全な上エジプト・下エジプトの二重冠をしているが、ニムルドのも博物館によるとエジプトの二重冠の一種であるらしい。また、前垂れを付けている点も類似している。
 ② 翼の位置、後になった翼もわずかに見える点、また、翼の形、筋肉の様子もわかる脚もよく似ている。
 ③ しなやかな肢体である。前も後も右足を前に出した側対歩の姿勢なので悠然とした伸びやかな雰囲気が出ている。 

 時代がかなり異なる中でこれだけの類似点がある。エジプトの文明の影響の大きさ、そしてそれがフェニキア人のところから大シリアへ広がっていた様子が美術品から想像できる。

◆また、ヒッタイト人の活躍するトルコでは別の文明の中でやはりスフィンクスが登場してくる。
その後のスフィンクス…ライオン紀行(7)_c0067690_1141220.jpg

                   ↑トルコのスフィンクス(アンカラ博物館)              
 エジプトの影響は少しは有るだろうが、形は全く異なる。
 ① とくに有翼ライオンの頭の上に王の頭部がついている。実にユニークなスフィンクスがあるものだ。
 ② 右前脚と左後脚が前に出ている斜対歩の姿になっている。脚に筋肉の様子はあらわされていない。

☆スフィンクスを見比べることをしてみたがそれだけでも文化の流れのちがいが見えてくる。そんなところを楽しんでいこう。


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by miriyun | 2007-04-28 12:21 | 文様の伝播 | Comments(2)
Commented by ぺいとん at 2007-04-29 10:24
miriyunさんのところへお邪魔するようになってから細かいところをじ~っと見るようになりました。 
「おお!」「わお!」「うわ~!」と驚愕の連続ですがこのスフィンクスのおみ足、どれも個性的で特徴がありますね。 
7cm四方に納められたスフィンクスの隆起する筋肉!この時代はムキムキっとした人がモテていたのかな、と想像してしまいました。
Commented by miriyun at 2007-04-30 01:08
スフィンクス一つにしても、一緒になって楽しんでくださる方がいらっしゃると、次への意欲になります。ぺいとんさんにはここのところ励まされどおしです。
 どうぞごこれからもイスラーム芸術の世界を楽しんでいただけますように!


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