2007年 01月 05日
ヘンナはミソハギ科の低木で、インド~アフリカまでの乾燥地に自生するし畑で栽培もする。 また、家の中や垣根代わりにしていれば、使いたいときにちょっとつまんで持ってきて使うことのできる。葉に含まれる色素と花の芳香が好まれる。 ヘンナはアラビア語ではヒンナ(ァ) ヘンナは古代エジプト文明のときから使われている。ヘブライ語ではコフェルにあたる。そして、キプロス島のキプロスはコフェルを由来とする。 ★前出のトルコの店に山積みだったものがヘンナの葉を細かく砕いて粉末にしたものだ。天然色素であり、手足の爪や甲、手のひら、腕、髪の毛、髭を染める。また、染料であるから布や糸を染めることにも使われる。 1、日本 日本は低温多雨のため、温室でないとヘンナを栽培できない。 日本ではツリフネソウ科のホウセンカが「爪紅(つまくれない)」「指甲花」とよばれ、爪を染めたりするのに使われていたという。もちろん、これとヘンナは異なるし、日本のミソハギという花が大きい植物とも異なる。 つまり染めるということについて何らかの植物は使っていたが、いわゆるヘンナはなかったということだ。 2、カタール ↑カタールの伝統文化としてのヘンナアート 搾り出し袋に入れたヘンナを様々な文様にして搾り出す。いくつものパターンが頭の中に入っているのだろう。求めに応じていろいろな模様がえがかれる。なお、もとは緑のこの粉も水で練って黒っぽい色になる。 ・これまで見てきたのは、すべてこの搾り出し袋でのアートだったが、モロッコでは注射器型が主流らしい。確かに、銀粘土細工を注射器でやっているのを見ていると、ヘンナで細かな模様を描き出すには、それもありかなとは思う。だが風情には欠けるかも・・・。 3.インド インドは大量にヘンナを使う国だ。漫画家の流水りんこ氏が著書「インドな日々」で、結婚式前のヘンナ描きが手足合わせて3時間に及んだと書いている。インドのヘンナは細かな模様が細かくびっしりと描かれるのだ。 しかも両手・両足に施してしまうとトイレにも行かずに乾くまで待たなければならない。 ちなみにこのヘンナというものは肌の上にのせれば当然人肌でじわじわと水分が蒸発していく。そして完全に乾いて土くれ状態になると自然に滑落していく。そうしたら出来上がり!なのだが、わずかな模様で30分、りんこ氏のように盛大に花嫁飾りをすると3時間は動けないという。つまり、あわせて6時間の苦行になる。 4.U.A.E. ヘンナをしてくれる人の腕のよしあしはやはりあるもので、慣れていない人がやると何の模様かわからなくなるし、たとえ泥のようになったヘンナを絞り袋でおいていっても、うまい人の場合はそのおいた状態がすでにきりっとしている。 ↑ ヘンナの達人。迷いなくサッサッとやりながら、しっかりした文様を描き出す。 ↑ 足にも花の文様。描き終ったばかりのヘンナがのった状態 ↑ 一週間経過すると、さすがに色が薄れてくる。(入浴好きの日本人はとくに消えやすい) なお、色合いは100パーセントヘンナであるか、混ぜものがあるか?温度、体温などに影響され、赤茶・栗色・黒などだいぶ差がある。また、汗をかくような掌のようなところのほうがより発色がよいといわれている。 応援クリックお願いします。
by miriyun
| 2007-01-05 12:45
| イスラーム全般
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Comments(10)
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yokocan21
at 2007-01-05 22:08
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明けましておめでとうございます!
ヘンナって、こういう植物なんですね。初めて見ました。 トルコの女性にとっては、とっても縁の深いものですね。結婚式前夜の『クナ・ゲジェシ』という、手の甲にヘンナを染めつける儀式や、毛染め剤として使ったり。 昨年は、miriyunさんに出会えて、イスラムの文化をより幅広く・奥深く知ることが出来て、とっても楽しかったです。これからも、色んな角度からイスラム文化を紹介してくださいね! 今年もどうぞよろしくお願いします。そして、miriyunさんにとって、この1年も素敵なことがたーくさんありますように☆
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horaice at 2007-01-05 23:01
このキレイな御御足はどなたのもの?
羨ましいほどスラッされてますね:-)って ヘンナからずれてしまいましたが・・; ヘンナといえば、ヘンナの白髪染めを見たことがあります。でも miriyunさんの記事からすると 洗っているうちに 取れてしまうということですよね。ほんといろんなことご存知ですね。私も刺青代わりに 描いて貰いたいナ☆と思いました。
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ek-japani at 2007-01-06 01:20
どうもどうも。お久しぶり&明けましてムバーラクです。
お書きの通り、たしかに印パでもヘンナは「メヘンディー مہندی」の名で親しまれてますね。 >完全に乾いて土くれ状態になると自然に滑落していく。そうしたら出来上がり! 以前耳にしたのですが、インドとかでは肌の上に塗った後ライムの絞り汁を垂らしてペーストの湿った状態を2~3時間はキープするのだとか。なんでも、自然乾燥ですぐ落としてしまった場合よりも模様が断然くっきり鮮明に出てくるらしいです。 (まぁ自分が男なので、わりと縁遠いモノですからそれ以上何とも・・・。中途半端な話ですいません。) そういえば冒頭の「حناء」の文字アート、ちらりズム?というか何と言うか、ヘンナの葉っぱとかが垣間見えてるのが何か良いですね~。 そんなわけでとりとめもないコメントでしたが、ではでは~。
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miriyun at 2007-01-06 04:04
yokokanさん、クナ・ゲジェシって言うんですね~。
こちらこそ、このようにトルコやディヤルバクルのことを教えていただきながら、楽しく過ごしてまいりました。 これからもトルコ語のことなどうかがいたいと思います。どうぞ今年もよろしくお願いします。
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miriyun at 2007-01-06 04:18
horaiceさん、この足はですね~、自分の足なんて見せられないので、このときの旅に同行した身内のものです。スラットと言っていただいたりして本人が聞いたら喜びそうです。
手足は一般的には二週間で落ちてしまうといわれています。髪の毛は皮膚ほどに入れ替わってしまわないのでもう少し持つかと思います。
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miriyun at 2007-01-06 04:26
ek-japaniさん、あけましておめでとうございます。
いつもいつも、インドのこととなるとjapaniさんをあてにしてしまいます。 今回もメヘンディー情報をありがとうございました。写真がないのでお分かりのように、本や記事では読んでいてもインドのヘンナをやっているのを直接見てはいないんです。 それからライムやレモン・香辛料を混ぜるなど聞いたことがありましたが、なぜそうするのかわかりませんでした。でもペーストを湿った状態を伸ばすというのはすごく納得しました。なるほど~!! アラビア文字をアートとしてお褒めいただいて嬉しいです。 今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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peque-es at 2007-01-06 13:06
足首のヘンナ、お洒落ですね~! すごくモダンな感じがしますが、考えてみると最近の流行も、旧いものを元に考え出されたのかもしれませんね?
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miriyun at 2007-01-07 01:01
ぺけさん、コメントありがとうございます。
手の甲がもっとも目立つのですが、足元も意外にいいなと私も思ったものです。
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orientlibrary at 2007-01-08 10:55
ヘナ、好きです! 日本でも何回かやってもらったことがあります(イベントが時々あるので)。手頃な値段のヘナサロンが日本にあれば、行きたいです。けっこう流行るのでは? 私の場合は1週間から10日持ちましたが、色が落ちていくというのもまた自然な感じでいいと思います。
植物としてのヘナから各国の描きかた、手のひらと甲の違いまで、多角的に見せてもらって、今回も勉強になりました〜♪ 事柄ひとつとっても、いろんな深め方ができるものだなあと思い、いろんなことに関心を持つようになります。
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miriyun at 2007-01-08 16:05
Orientさん、ヘンナ好きな方がここにも~。なぜか広~意地域で使われるこの草木。不思議ではないですか?どうして、どうやって、何故と思うことが満載です。わからないことがあるということが興味のものといってもいいかもしれませんね。
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