写真でイスラーム  

mphot.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2006年 12月 16日

レバノン杉の森は文化遺産!?

 レバノン山脈には3500mを越す山もある。その山脈中には、カディーシャ渓谷というところがあり、そこにはわずか1200本にまで減ってしまったレバノン杉がかろうじて残っており、今は厳重に保護されている。
レバノン杉の森は文化遺産!?_c0067690_3103226.jpg

  かっては、トルコ西部からレバノン・シリアなど中近東の山岳部に自生していたが、人類が有史以来使い続けて、本来レバノン杉があった山並みも一面木が見当たらない山になってしまっている。

 それほど使われたレバノン杉とは何だろうか。
レバノン杉(Cedrus libani)はマツ科ヒマラヤスギ属の針葉樹であり、標高1900mを越すような土地でないと自生しない。杉といいながら松科であり、まっすぐに伸び、材質は緻密で水分で腐りにくく頑丈である、また虫がつきにくい芳香があるという特質を持つ。

レバノン杉の森は文化遺産!?_c0067690_338296.jpg

レバノンはこの貴重な木を自分たちのシンボルとし、国旗にもこの木を中心に置くほどである。
レバノン杉の森は文化遺産!?_c0067690_3543279.gif


 最も古い記述は『ギルガメシュ叙事詩』にあり、この木材が欲しいがためにギルガメシュはこの地に攻め込んだ。また、ギリシアのパルテノン神殿ではこれを屋根材としている。
 ピラミッド建設に際しても大量につかわれ、その痕跡はクフ王のピラミッド脇から2隻発見されている太陽の船がほとんどレバノン杉で作られていたことにもあらわれている。また、ツタンカーメンの人型棺もこの木でできている。
 さらにはソロモン王の宮殿に使った。また、フェニキア人はこの木材から船を作り、地中海を行き来し、この時期の地中海貿易を牛耳った。 マアルーラに4世紀に建造された聖サルキス教会の梁もこの木材を使用している。このように歴史上枚挙に暇がないほどである。

 おそらく、中近東の巨大建築は、調べてみればどこかしらでこの木材に負っているに違いない。そしてその伐採はずっと続き、前回述べたようにヒジャーズ鉄道の枕木にまで名前がでてきて、そこで、壊滅状態になったのである。 

 
レバノン杉の森は文化遺産!?_c0067690_3392727.jpg
 
↑巨大なレバノン杉があった跡が残っている。
     高さ40m、幹周り10mにもなるという木なのだ。

☆そして、この残されたレバノン杉の残る町・・・カディーシャ渓谷と神の杉の森は世界遺産に登録されている。
 ただの森であるなら自然遺産に入るものだが、このレバノン杉については異なる。古代からの遺跡に必ず使われてきた貴重な木であり、遺跡・文明に使われてきたそれぞれの文明の証拠ともなるべきものであるため文化遺産としての登録になったという。 

                                                                               
                                       
                                                    
                                               一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります   
   


by miriyun | 2006-12-16 01:47 | レバノン | Comments(4)
Commented by yokocan21 at 2006-12-17 08:23
レバノン杉って、絶滅の危機に瀕しているんですね。
そして、レバノン杉のある森が、文化遺産として登録されているってことが興味深いです。お話を読ませて頂いて、ウーン納得!です。
一番上の写真の、向こうの山、はげ山になってますけど、昔はあの辺りも一面、レバノン杉の森だったんでしょうね。なんだか、むなしい光景ですけど、これからの杉を守る運動に期待したいですね。
Commented by miriyun at 2006-12-17 12:30
レバノン杉って思った以上に中近東の歴史に関与している木で驚かされました。植林をして増やすにしてもわずかずつしか大きくならないこの木がたくさんになるのはいつのことでしょう。失ったものを取り戻すのはほんとうに時間のかかるものです。
Commented by ascendant at 2009-08-04 10:11
森が無くなった時、文明も滅びる。人類はそれを繰り返している。
アマゾンの熱帯雨林が消えた時、中央アフリカの森林が消失した時、
人類も滅亡するのでしょう。
Commented by miriyun at 2009-08-04 23:30
ascendant さん、ようこそ。
森の存続と文明の興隆には、何らかの因果関係が存在しそうです。
地球がどんどん痛めつけられている現在、
私たちができることと今からでもやらなくてはいけないことを考えなくてはならないでしょう


<< レバノン杉2…木の力      3B政策とヒジャーズ鉄道…ヒジ... >>