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2006年 11月 19日

『本田先生と弟子たち作品展』オープニング

日本アラビア書道書道協会のお披露目と、『本田先生と弟子たち作品展』のオープニングセレモニーが2006.11.18(土)に行われた。

 
☆いや~っ、すごかった!なにがすごいかといったら、一つは集まられた方々だ。

 本田孝一氏を中心にファイサル・ハサン・トゥラード駐日サウジアラビア王国大使、ムハンマド・ハサン・アルジール、アラブ イスラーム学院長、アラブの専門家であり、イラク元大使片倉邦雄氏・片倉もとこ教授、それにシリア大使、エジプト大使館関係者、もと外務省の方、世界を舞台に闊歩される写真家小松義夫氏、など一部目に入っただけでもそうそうたるメンバーが参集されていた。

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 テープカットは、作品の並ぶ廊下部分の入り口で行われた。3人の主賓がハサミをいれ拍手がわく。本田教授が来賓に説明しながらぐるりと会場を廻る。そのあとを参会者が入場し、それぞれに作品を見ていくという流れだった。
 次に前触れもなく突然スピーチとなる。学院長・トゥラード駐日サウジアラビア王国大使がこの協会の発足と作品展を祝うスピーチを述べる。そして、本田教授のスピーチでは、日本アラビア書道協会の発足、その会長として本田教授が就任し、また山岡氏が事務局長となることを宣言して、来場者の拍手を持ってしめくくられた。
『本田先生と弟子たち作品展』オープニング_c0067690_13145422.jpg

 
☆もう一つすごいな・・と正直うめいたのは、本田作品の力だ。

 狭い会議室にたくさんの作品を置くということでどうなるかと思ったのだが、その会議室の半分強をすべて本田作品で埋めていた。これだけたくさんの大型作品をまとめてみることはもう当分ないだろう。
 いや、これだけの作品をまとめて展示したことがはたしてこれまであったのだろうか?おそらくこの規模でみせるのは国内では初めてではないだろうか。このまま終わらせてしまうのはもったいない、巡回展示できたらすごいのにと声がでるくらいであった。 

    ≪本田孝一氏の出品作品≫
開巻章
文字の星雲(1)
赤の砂漠
青の砂漠
砂漠の雷(1)
砂漠の雷(2)
上昇する文字の岩山
神の顔(4)
朝の星雲
緑の宇宙
鉄の章
 ・・・すべて作品集『アラビア書道の宇宙』に掲載されている作品である。

 一つの精神によって生かされた文字が宇宙の摂理に沿うかのようにもっとも安定したところに収まっていき、シンとした精神世界を表現していく。
 そして、色を語らずにはいられない。それぞれの一文は少しずつ色が変化するうねりの中に配された色によってさらに深く胸の中に入っていく。それは初見の人の心までとらえてしまう。そして、アラブ人の心もとらえてしまう。芸術とはこういうものなのだと感じさせられる。
 その昔、日本人は色の重ねにおいてうつろいゆく季節感をあらわし、対比する色を使ってきりっとした心を表してきた。そんなことをふと思い出す。
 ただし、それは色彩へのこだわりという点で思い出したのであって、このような色使いがあったというわけではない。一つの文字の枠の中にも濃淡、色から色へのグラデーションがあり、重ねもある。色は重ねるとにごるものだが、これらの作品ではそれぞれの色が生きている。文字の背景としての存在で、決して文字を邪魔することはない。それでいて、書のテーマを色の効果でより高めていっている。
 かんたんにやっているようだが、これが一般人にはきわめてむずかしい。色を主張し背景が主張しすぎると、書が生きなくなってしまう。色彩表現と確かな書の技術とを調和させつつ、氏の精神世界を表現していくところにこの芸術の真髄があるのではないだろうか。

 セレモニーは厳粛に行われたが、作品展のほうはかなり興奮気味に見ている方が多い。
 もともと会議室であり、照明器具などないところを工夫して展示してある。これだけの迫力であるのだから、美術館でゆとりをもって、展示し、近くからも遠くからもじっくり鑑賞できたらもっとすごいだろう。

☆さて、”弟子たち”のほうはまず、今回のみ出品者もいて更に作品数が増えている。オリジナリティーに富んだ作品が並び、絵付け陶磁器も登場していた。
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 廊下の両サイドからびっしりと作品が並ぶ。来場者はここから熱心に見始める。
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 美しい言葉・いろいろな書体・装飾・額装までふくめて見どころがいっぱいであった。これはまた、自分もやってみようかという身近な目標や励みにもなり、見学者の視線も熱かった。

  なお、この作品展は12月2日までとのこと。詳細は前出

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by miriyun | 2006-11-19 15:21 | アラビア書道 | Comments(2)
Commented by yokocan21 at 2006-11-21 20:48 x
アラビア書道、とっても綺麗ですよね。私、トルコのものしか知らないんですけれど、機械があれば色々と見てみたいです。
イスラムって、とても宇宙的な感じがするんですよね。このmiriyunさんの文章を読ませて頂いて、益々そう思ってしまいました。宇宙と繋がる精神世界...。
日本にまたもう一つ、イスラム芸術に触れられる場が出来たってこと、いいことですよね!
Commented by miriyun at 2006-11-23 09:14
yokocanさん、トルコはイスラム芸術の華たるタイルや細密画そしてカリグラフィーが高度に発達したところなので、いつかじっくりと文字めぐりをしたいものだと思っています。美しい文字のあるモスク情報などありましたら教えてくださいね。


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