2006年 07月 21日
レバノンの人々の顔が見えない。なぜか攻めた側からみた情報ばかりで、そこに住み、突然、空爆されて逃げている人々の顔が見えない、叫びが聞こえてこない。 インターネット経由では幹線道路で爆撃され子どもも大人もふっとんでしまった悲惨な映像が入ってきている。ベイルートの町は内戦とイスラエルの攻撃にさらされた1980年代にあっという間に戻りつつある。ほんとうにこの一週間でである。 『レバノン空爆、10万人が国外待避』 『イスラエル、空爆を予告、待避するようにビラをまく』 この言葉だけ見ていると、中にはビラで予告されたのに逃げないあんたが悪い―と 思ってしまう人もいるだろう。車がある人・お金がある人はとっくに逃げてしまっただろう。でも車は誰でも調達できるわけでない。親族みんなで逃げられるわけではない。しかも国際空港へのたび重なる空爆、燃料タンクの破壊・幹線道路への直接的空爆で逃げようもない。 私たちが、もしあす空爆しますよとビラを配られたら どこまで逃げられるだろう。道路は爆撃・海上封鎖されたら逃げられるわけがない。年寄りや幼子や妊産婦・病人を抱えていたら、その場に残るしかないときもある。 逃げられずにおびえている人たちの顔が見えてこない。見えないと新聞の見出しに何が書いてあるかだけで判断してしまう。それがおそろしい。見えないのに人数だけ伝わってきても何も感じないようになってしまっている。 だから、レバノンに住んでいる人たちの写真をアップしていこうと思う。 屈託のない顔で生鮮品スークの人たちは、外国人を歓迎してくれた。 八百屋のおじいさん、今も元気だろうか。 孫と一緒に逃げることができるだろうか。 空爆が始まってから、食糧と水とガソリンは買えないような値段になったり、姿を消したりしているという。 もう一度あって本のお礼を言いたかった本屋さん、もうベイルートは,ビルががれきだらけだ。このおじさんは無事に逃げただろうか。どこに何という本が積んであるかすべてわかっていたが、逃げるには本は持っていかれなかっただろう。 トリポリの親子、子どもが大勢いるアラブの人たち、せめて子どもは平和な時代を生きてほしいと願っていただろうに。小さい子はわからないが、少し大きな子は空爆におびえきっているという。 ――・・・・・・・・・・・・・ ここに最新兵器なんかでやられたらひとたまりもない人たちがいる。 車さえ調達できない人たちがいる。 私たち同様ふつうに仕事をし家族を養い、ふつうに生きていきたい人たちがいる。
by miriyun
| 2006-07-21 11:43
| レバノン
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Comments(14)
マスコミのニュースって、時々本当に絶望的ですよね。
真実はどこにあるのだろう? 世界の全ての姿を完全に公平に伝えることは不可能だと思うけど、せめて自分の目で見て、自分の肌で感じて、自分の頭で考えたことを書いて欲しい… ある時、アフリカのある地域の飢えについて、何故か一斉にマスコミが喋り始めた。それまでは何もなかったかのように、何も知らなかった私たちなのに、ある日突然マスコミが取り上げて、目を覆うような写真が次々と掲載される。こんなひどい事になるにはかなりの時間がかかったろうと思うのに、それまでマスコミは何も言わなかった…そういう例は幾らもある気がします。 こういう草の根の写真、実際にその人たちに触れてきた miriyun さんの記事は説得力があります。
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orientlibrary at 2006-07-22 23:44
とてもいい写真です。そしてmiriさんの思いが伝わります。
マスメディアの長所も利用しつつ、受けとる側も、たとえばmiriさんのブログを見たり、積極的に情報を取りにいったり(たとえば最近はネットもいろいろありますし旅行するのもいいし海外からの人と話をするのもいいし、、)、または自分で発信したり、そんなことをしていくことが大事なのではないかと思うこのごろです。 本やさん、おぼえています。本を持って避難したのでしょうか。考えさせられます。
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miriyun at 2006-07-23 13:01
ぺけさん、マスメディアの力ってこんなものではないはずなのに、なぜ被害を受けているレバノンの写真を新聞に載せられないのでしょう。物理的な問題ではないと思っています。やる力・記者・カメラマンを派遣する力も技能もありながらあえて入れていないというように感じてしまいます。
残念です。
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miriyun at 2006-07-23 13:09
Orientさん、思いが伝わるといってくださってありがとう。こういうとき、すごく励まされます。
この状況をアメリカは好機としか思っていないようですね。これでも前はこの国ってすごい。学ぶべきところがいっぱいと思っていたんですが・・・何にも変わりはしないけれど、地道にやって生きたいと思います。
素朴な疑問があります。なぜアメリカはあれほどイスラエル寄りなんでしょうか。キリスト教圏だというだけでは説明がつかない気がするんですが。
前の記事はレバノンの現状がよくわかります。 ところでこれも雑な知識なのですが、レバノンは軍備を怠っていたのでPLOにも入り込まれ国が周辺国の草刈場のようにになってしまったーーーなどというのは的外れな説明なんでしょうか。 それにしてもあの写真の優しそうな人たちが空爆にさらされているのですから、その辺の取材、写真は絶対必要ですね。 miriyunさんのブログはよくわかり、ありがたいです。
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ぺいtpん
at 2006-07-23 16:57
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世界情勢にもうといし、しっかり勉強もしていないので分からないことだらけです。 幸せな笑顔を奪う権利なんて、誰にもないし、他人を裁けるほど全て正しい人もいないはずです。人間って何千年の昔からちっとも精神が成長していないのでしょうか・・・。
わたしが教えられたレバノンは多くの宗教,民族が互いに尊敬しあい暮らしている愛すべ美しいき国だったのに、こんなになってしまって。 これら笑顔のすばらしい人々にまた、会えますように。 悲しみの声のこだますることが、これ以上続きませんように。 この戦火のもと生きなければならない人々を世界中の人が知りえますように。 どこか知らない遠くの出来事ではなく、平和に酔う私の背中の出来事として,教えていただいたことに感謝いたします。
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miriyun at 2006-07-24 07:48
ransyuさん、たしかにそうです。キリスト教ではないのです。イスラエルはベツレヘムのキリスト教教会でも意に介せず攻撃するくらいです。
この小さな枠で説明できるか自信がないので、まとめてアップしますね。本文をご覧ください。
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miriyun at 2006-07-24 07:55
ぺいとんさん、たくさん感想をありがとうございます。何よりも、遠くに住む人であっても身近に感じとっていただければとおもっていました。そうすることで、戦争がひとびとにもたらすものがどんなことか、それはいつか自分たちのみにも起こりかねないことと、一人でも多くの人に気づいていただければと思うのです。
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suusuu
at 2006-07-26 21:28
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知人の家のすぐそばが爆撃されました。
ママと慕っている友人の安否がまだ分かりません。 miriyunさんの写真を見て、知人たちと重なりました。 早く、空爆だけでも収束してくれればいいのに、と祈らずにはいられません。 シリアのテレビを見ています。 空港は瓦礫。外国へ通じる幹線道路もボコボコで、車が通るには大変だと思います。海も封鎖されてます。 ビラをまかれても、何かしらの伝手がある人でなければ、国外へ脱出するのは大変だと思います。 CNNはイスラエル側から撮った映像で、本当は民家も瓦礫の山になっているところは写していません。 どこまで、壊したらイスラエルは侵攻を止めてくれるのでしょうか・・・
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miriyun at 2006-07-27 23:44
SuuSuuさん、まだお知り合いの安否がわからないとのこと・・・心痛みます。無事にどこかに非難していてくれることを祈らずにはいられません。
レバノン情勢・・・当事国がやめようとせずそれを大国が認めている。これは納得できない行為です。 ところでシリアのテレビはどのサイトから見られているんですか?知りたいですね~。
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suusuu
at 2006-07-28 15:13
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シリアのテレビはNetじゃないんですよ。
知人のとこに、でっかい衛星アンテナ(直径1.2mくらい^^;)が付いていて、中東の衛星チャンネルを受信してます。それで見てます。 国連の人が死んでも非難しないって、おかしいですよね。。。 イスラエルは、攻撃続行を閣議決定しましたね。中東戦争を再び始める気なのでしょうか!?
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miriyun at 2006-07-29 08:53
SuuSuuさん、ごれんらくありがとう!シリアの情報はやはりなかなか知れませんね。そんな中で衛星チャンネルを視聴しているのはなかなかすごいことです。でも、ほんとにいいニュースが聞きたい!!
イスラエルのレバノンへの正規軍によるテロについては、日本のマスコミの報道ぶりは杜撰の一言。特に、我々と同じ隣人としてのレバノンの人々の暮らしぶりは、わかりません。miriyunさんの記事に裨益するところ大です。たまに伺います。
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miriyun at 2006-08-14 22:57
renqingさん、言葉も数字も意図を持って操るとどうとでも影響を与えられるようになってしまいますね。その辺について熟練している国に対して、私たちのメディアは残念ながら子どものようです。
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