2006年 05月 03日
ローマ数字をつかったローマ帝国の遺跡のモザイクを読もう。 1.ローマ数字クイズ 次の3つの中で、ローマ数字(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ~)が実際には使えないものは何だろうか? ①筆算 ②時計 ③携帯電話 ↓ 正解は後記の③にあります。 2、ローマ数字の基礎編 ローマ数字はアルファベットの大文字そのものである。エジプトのヒエログリフやメソポタミアの数字は、数字として認識しやすいので壁画などに含まれていても、数字とわかる。 しかし、ローマ数字は大文字の I が一、Vが5というように、全くのアルファベットなのだ。 しかも、羊飼いが羊を数える時に1頭ごとに I を II III と書き足して行き、5頭ごとに異なる文字を入れたということで I I I I V I I I I X と1~10までを表現したことから始まったという。そのうち、 2 を II 、 3を III、 4を IIII または IV (5より1少ない) 5を V、 6を VI (5より1多い) 7を VII 8を VIII 9を IX (10より1少ない) 10を X と、あらわすようになった。 すると20は XX 、 30は XXX 、35は XXXVとあらわすようになる。 その他の文字数字の意味は、次のようになる。 I V X L C D M 1 5 10 50 100 500 1000 ****特色***** ① この上の位のあらわし方もあるにはあるが、もともと文字数の少ないアルファベットで無限の数字を表すのは無理があったようで複雑なあらわし方であったり一定でなかったりする。だから、現在は4000以上の数を実際にこの数字を使ってあらわすことはないという。 ② 10ではなく5という単位で文字を変えている。そして4と6のあらわし方から5または10分の一以内のの数字が左にあった場合はもとの数から減算する。右側にあった場合は加算するというルールが見て取れる。 ③ 最初のクイズの答え ・アの筆算・・・書いて見てください。どうやって掛算とかするんだ?・・・という状態になってしまう。つまり字数が多くなって始末に困ってしまうのだ。古代ローマでは専用のそろばんがあったようだが、筆算は厳しい。 ・ウの電話・・・ローマ数字には「 0 」 がない!だから、080-とか044とか無理なのだ。 『0』の発明はインドでアラビア経由でヨーロッパへ、のちに日本へと伝わった。 *イの時計にはローマ数字がよく使われている。何しろ1~12(I~XII)まであればいいわけだから、時計にはあらわしやすい。現在では最も利用頻度が高いので、この文字を時計数字という言い方さえあるくらいなのだ。 ************* 3.ローマ数字を読もう 次の数字をよんでみよう。 1、XXXIX 2、CCCLXV 3、MMVI 4、MMMDCCCLXXIV もう少しで下のようなローマの時代のものが読めるようになる。 ≪答≫ 1、XXX(30)+IX(9)=39 2、CCC(300)+LX(60)+V(5)=365・・・一年の日数 3、MM(2000)+VI(6)=2006・・・今年の西暦なのだ 4、MMM(3000)+DCCC(800)+LXX(70)+IV(4)=3874 と、まあこんな風にここの表す数字を加算していくことによってあらわすんだ。 特に4の問題の MMMDCCCLXXIV に注目! ↓ 長い!これがアラビア数字との違いなのだ。また、計算をやりにくくしているものなのだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 4、実践編・ローマ数字入りモザイク石碑を読もう! 次にローマの残したモザイクから何が書いてあるか数字だけ読み取ってみよう。 ・ここまで読まれた方はもう充分に読めるので、ぜひお試しあれ。また、これが何を表すものか想像力豊かに、どうぞ! ← チュニジア スファックス出土 (色分け加工はmiriyun) *この中で1~2行目につながる(ピンクの輪の中は人の名前)である。 (黄緑の数字)年 (青の数字)月 (オレンジの数字)日 (水色の数字)時間を表している。 *そして、上にはオリーブの小枝の絵 ・・・・・・・下には、ヒナに餌をやる親鳥の絵がある。 ★答え ・名前はクリスピナ、またはクリスピーナ・・・女性と思われる名だ。 ・数字は、黄緑・・・・8年 青・・・・・10月 オレンジ・・・24日 (ふつう、4は IVだが12世紀になってもIIIIとも書いたと記録に残っている。) 水色・・・・・・6時間 ・それに、平和のオリーブ、親鳥の姿 ★ここからは、想像力を使って・・・・ 『クリスピーナ、ほどほど裕福な家の娘、 8年10ヶ月24日と6時間を生きて、そして亡くなった。 親は嘆いて、その愛を、もっと育てたかったという思いを、鳥のヒナを育てる絵に、 安らかな眠りをオリーブの小枝に託して、モザイクの墓石(または棺)をつくった』 (6時間と細かく書いた点に親の切ない気持ちが伝わってくるような気がするのだが・・・) ≪注≫数字部分の読みはこれで確かだが、絵の解説は私の想像と独断による。 ☆こうやって、見ていくと古い時代のことも生き生きと見えてくる。 それが楽しみで、古い文字や数字を読んでみたくなる。 ↑ 一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります
by miriyun
| 2006-05-03 19:22
| 数字・文字
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
記事ランキング
タグ
高橋大輔・フィギュアスケート(345)
季節の風物・日本の光景(317) ★アラビア書道(153) ◆イスタンブル歴史紀行(142) UAE(ドバイ・アブダビ・シャルジャーなど)(139) シリア(86) イエメン(85) ◆料理とお菓子と(85) 本田孝一氏Web作品展(63) トルコ(63) ◆時の話題(62) Fuad Kouichi Honda(58) チュニジア(51) ◆ラクダ(50) マレーシア(49) ◆砂漠・砂漠化・砂・蜃気楼(47) イラン(ペルシア)(44) ヨルダン(43) サハラの情景(43) アラビア語のカリグラフィー(38) ペトラ遺跡(37) ◆各地のモスク・廟・メドレセ(35) 港ものがたり(34) 文様の話(植物文様・動物文様・組紐文様など)(34) 鳥(クジャク・ハト・カモメ・シラサギ・ダチョウなど)(32) ◆子どもたち(32) アラブ・チャリティー・バザー(30) イスラームの工芸(エブル・テズヒーブ・金彩・装丁)(29) オスマン帝国外伝(29) ◆砂漠の植物・その他の植物(28) ◆衣生活*民族衣装(27) ★ライオン紀行(27) 植物の話(葦・ザクロ・綿花・桑・オリーブ・ひまわりなど)(26) モザイク紀行(26) サラディン(26) 王ヶ頭ホテル・美ヶ原(25) ◆世界の家のつくり・材料(25) アル・マハ・デザート・リゾート(25) ◆人々と暮らし(24) 日食・月食・星・虹・幻日・ブロッケン現象・サンピラー(24) アブダビ(23) 絨毯・キリム(23) ウズベキスタン(サマルカンド・ブハラ・タシケントなど)(23) ◆国際協力(JICA・青年海外協力隊・NGO)(23) ◆象嵌(貴石・大理石・貝・金属など)(22) ◆ペトラ特集(22) クローズアップ人物(22) レバノン(21) ◆古代エジプト(21) タイル(21) ◆馬・牛・ロバ・ヘビ・家禽(21) 東京ジャーミー(モスク)(21) 桜(21) オリンピック開会式・他(20) ◆光の技・朝景・夕景(19) シェイク・ザーイド・モスク(19) ナツメヤシの話(19) 映画と史実・撮影地・エピソード(18) ◆ワディ・ラム特集(18) クイズ(18) ローマ帝国(17) 世界のフルーツの話(17) 水生植物(睡蓮・蓮など)(16) ◆レイクパレス(16) イマーム・モスク(16) 猛禽類(鷹・ハヤブサ・梟・鷲)・鷹狩(15) 東日本大震災(15) エジプト(14) ◆ミニアチュール(14) 航空写真(14) ◆飲み物(お茶・コーヒーなど)(14) カンボジア(14) デーツ(13) ミマール・スィナン(シナン)(13) サウジアラビア(12) アヤ・ソフィア(12) ◆ウマイヤドモスク特集(12) ◆トプカプ宮殿(11) トゥーラ・トゥグラー(11) アラビアン・オリックス(11) ブルジュ・ハリファ(11) 佐竹史料館(10) ペトロナスツインタワー(10) ◆結婚式・割礼式など(10) ◆古代文字(ヒエログリフ・楔形文字・ローマ・ナバテア文字他)(10) ◆水の話・水道橋・貯水池(10) ★刺繍・布・織りの世界(10) アラビア書道の年賀状・カード(10) ダマスカス(9) 熱気球の旅(9) 浴場・風呂の話・テルマエ・ハンマーム(9) ◆暦・古天文・科学(9) パピルスの話(9) ◆日本との関連(9) モスクのつくり(ドーム・天井・ミフラーブ・ミンバル・絨毯他)(8) プロカメラマンの話&写真展(8) ◆オアシスとその周辺(8) ミナレット(マナーラ)(8) 武士の文化(8) ◆タージ・マハルとアグラ城(8) 最新のコメント
お気に入りブログ
ヒンズー語ではありません。 中東イベント情報 アフガニスタン/パキスタ... イスラムアート紀行 はなももの別館 部族の絨毯と布 caff... Over the Blue アジアⅩのブログ 旅と絨毯とアフガニスタン トルコ~スパイシーライフ♪ にっと&かふぇ ギャラリーもっこ堂 アートなD1sk 前田画楽堂本舗 森の釣り人 アトリエサフラン トルコ... ツルカメ DAYS ソーニャの食べればご機嫌 - イスタンブル発 - ... わんわんぶー *********
・・・・・・・・・・
イスラームの自然や文化の写真はすべて自分の撮影したものです。ご利用になりたい方は非公開コメントにしてコメント欄に連絡用メアド等記入してください。 ▼△▼Ranking▼△▼ *応援ありがとうございます ◆It is prohibited to use the photograph, the image, and the illustration published in this blog without permission. ▼リンク集(エキサイト以外)▼ ◆こよみのページ ◆茉莉千日香 luntaの大きい旅小さい旅 いち子ばーばのお針箱Ⅱ 旅のミラクル 風と花を紡いで Kの庭 CROKO NOTE 地球散歩 エジプト大好きAnnyのひとりごと エジプト旅行カバン 中東ぶらぶら回想記 Asian Memories ETHNOMANIA 優しい世界の作り方。 のぶヒろぐ~漆喰について日々考える~ シンガポール熱帯植物だより+あるふぁ 実りのとき The Japanese Dubai ************* ☆日本アラビア書道協会(JACA) ☆アラビア書道とその周辺 ▼▼▼▼▼▼ ▲自己紹介▲ ☆写真・・・カメラを通すと新しい視点が与えられます。 ・TV番組や書籍に採用されています。(使用をご希望の方はコメント欄にご記入ください。) ☆文字・・・ヒエログリフ・楔形文字・マヤ数字・トンパなどにはじまった文字への思いは、アラビア書道に昇華しています。 ・アラビア書道 IRCICA国際競書大会 第4回・第5回・第6回いずれも Incentive Prizes 入選 ☆自然・・・イスラーム地域や日本の自然のささやきをひろってきます。ただし、最近はアジア・ヨーロッパなども含めて幅広く書いています。 ☆文化・・・いろいろな地域の文化比較や相互の関連を見ていきます。 ★これらが一つに重なって大きなライフワークになっています。 ☆また、スポーツの世界で稀有の芸術性を体現するフィギュアスケーター高橋大輔選手の魂の演技を見つめ応援しています。 ◆アクセス数(2006年5月ネームカード導入後のカウントで表記) 2017年 700万アクセスとなりました。 ご訪問ありがとうございます! ◆Welcome!! (2009.03.28より設置) ☆最新の来訪国等 ようこそ!(^_^)/ 183か国目マン島 182か国目セントルシア 181か国目マリ 180か国目バヌアツ 179か国目トンガ 178か国目バルバドス 177か国目キュラソー(オランダ領) 176か国目ジブラルタル 175か国目モーリタニア 174か国目ジャージー 173か国目セイシェル ▼▼▼▼▼▼ ◆こちらは自然と文化を一個人が自由に語るブログです。内容に関係のないコメントおよび販売を目的としたコメント、各種中傷、政治的発言等はこちらで削除させていただきますので、ご理解のほど、よろしくお願いします。 ブログパーツ
カテゴリ
全体 自然(砂漠・ラクダ・蜃気楼) アラビア書道 カリグラフィーを読もう サラディン紀行 Fuad Kouichi Honda ヨルダン イスラームの工芸 トルコ 絨毯・キリム シリア 東京ジャーミー(工芸) イラン(ペルシア) 日本の中のイスラーム 食べ物・飲み物 中東について レバノン イスラーム全般 写真館 中央アジア 数字・文字 チュニジア エジプト その他 インド U.A.E. 文様の伝播 マレーシア サウジアラビア 日本 動植物 カンボジア 空・太陽・月・星・雲 未分類 以前の記事
2023年 10月 2023年 09月 2023年 04月 2023年 03月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 08月 2022年 06月 2022年 05月 more... 検索
外部リンク
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||