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2006年 03月 19日

サラディン(3)…伝記&サラディン紀行

 サラーフッディーン(以下、サラディンと記す)について、最も信頼できるのは、イブン・シャッダード(1145-1235)の『サラディンの伝記』といわれている。イブン・シャッダードはイラクのモスル生まれで、若くして副教授として教鞭をとっていたが、後にサラディンに仕え軍事裁判官として助言もしたという。サラディンの没後もアレッポで裁判官をしていた。

*サラディンと同時代に、しかも身近にいた人物が書いたのだから、後の世の人が書くよりずっと信憑性がある。もちろん、一緒にいたことによる身びいきを差し引いたとしてもだ。
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←サラディン(後世になってからの想像の肖像)

 さて、その『サラディンの伝記』によると、サラディンは、1137年又は1138年(イスラム暦532年)イラク中部のタクリート(現ティクリート)で生まれた。父はクルドの貴族でアイユーブ・ブン・ジャジーといい、タクリートのワーリー(代官)であった。
 しかし、サラディンの誕生のころ、父は失脚してタクリートを出る。アイユーブは以前に戦場で命を救った相手であるモスルの君主イマード・アッディーン・ザンギーに弟のシールクーフとともに仕えることになった。父はバールベクの町の代官となってサラディンは9歳までこの町で成長する。父は気高く、寛大で、りっぱな人物であり、また尊敬すべき司令官でもあった。

*のちに、サラディンはアイユーブ朝をおこすのだが、その名前は父の名(もちろん、自分自身の名前の一部でもあるが)に由来する。
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     ↑バールベク サラディンは大いなるローマ遺跡のある町で育っていった。
 9歳になったとき、主君としたザンギーが暗殺されてしまったため、アイユーブ一家はまた、リストラ状態となりダマスカスに行く。そのとき、サラディンは第2回十字軍のダマスカス攻撃に遭遇している。

 1152年(イスラム暦546年)、サラディンは14歳でムスリムの成人の時をむかえ、父のもとをはなれ、アレッポ(ハラブ)の叔父アサド・アッディーン・シールクーフに仕えた。この叔父はのちに「シリアのライオン」と異名をとった人物である。サラディンも叔父もその時のイスラム君主に仕える傭兵なのだ。ただし、才能あふれる極めて優秀な傭兵といえる。

*アサドはライオンという意味なので、そのままの異名なのだがよほどの勇将だったに違いない。そういえば、シリアの前大統領もアサドだった・・・。

 叔父は甥のサラディンをアレッポ城のザンギー朝の君主のヌール・アッディーンの御前につれていって挨拶させる。ヌール・アッディーンはサラディンを迎え入れ、イクターを授与した。

イクターとは、君主から騎士に与えられる分与地をいう。イクターの保有者は地租(ハラージュ)・人頭税(ジズヤ)などのイクター収入を用いて軍事奉仕をする義務が生ずる。イクターは用益権だけが与えられるものであって、私有地として子に財産として譲ることはできない。

 アレッポのヌール・アッディーンは優れた政治家で勇猛な戦士でもあった。この配下でサラディンは知恵と戦略・十字軍へのジハードの大義ということを教わっていった。
            ↓アレッポ城(ヌール・アッディーンの居城)
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     ↓城門への橋・・・橋の下部にいる人に注目すると、橋の大きさがわかる
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父はダマスカスの知事となり、このあと、サラディンはダマスカスで青年期を過ごす。
 しかし、ここまでのサラディンは知事の子でありながらめだたない青年であったらしい。

 そのサラディンがいよいよ戦場へ駆り出されるのが十字軍の攻撃に弱り果てたエジプトのファーティマ朝からの要請であった。サラディンは叔父にしたがってついていくことになる。

 しかし、彼には夢にも思わない展開が待ち受けていたのだ。(続く)

  ≪参考にした講義文献・HP≫
   ・ 佐藤次高教授の講義資料とメモ   ・ 『イスラム事典』平凡社
   ・ 『イスラム世界』世界文化社      ・ 『人物世界史4』山川出版社
   ・ 『世界遺産』講談社      ・Webフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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by miriyun | 2006-03-19 15:40 | サラディン紀行 | Comments(2)
Commented by qkygh at 2006-03-21 19:11
う、う、うおおおおおお!

生殺しですか!

とうとう十字軍と闘うぜ!って時に、し~ゆ~ねくすとうぃ~くですか!

・・・分かりました。
録画予約して、待ってます。

ちなみに、ぼくが録画予約すると、ナゼかいつも見たい番組じゃなく、野球中継になるんです・・・というわけでぼくは今、心からおびえています。次、miriyunさんのBlogを覗いた時、野球Blogにマジカルチェンジしとったらどないしよう・・・

というアホ話はともかく、続き、楽しみにしています!
Commented by miriyun at 2006-03-22 14:24
qkさん、自分の確認のための地味なお話なのに、映画のように楽しみにしてくださってありがとうございます。ご期待に沿える内容になるかは自信がありませんが。野球にはならないようにしますので、どうぞよろしく!


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