写真でイスラーム  

mphot.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2025年 12月 24日

「砂漠の嵐」(A tempest in the desert)・・・アラビア書道作品 

A Gallery of Arabic Calligraphic Works of Fuad Kouichi Honda
   ≪本田孝一氏Web作品展≫・・・ アラビア書道家・本田孝一氏の作品を紹介する特集

 

「砂漠の嵐」(A tempest in the desert)・・・アラビア書道作品 _c0067690_01173811.jpg
 ↑ 画像の上で一回クリックしてください。大きくして見ることができます。
(You can click this photo to see a larger image.)


Web作品No.57
 「砂漠の嵐」(A tempest in the desert)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  
・内容:Qur’an
 『コーラン』アッ・サジダ章 全章
    Quran chapter32 As-Sajdah
・書体:ジャリ―・ディーワーニ―書体
    Diwani Jali
・大きさ:縦172cm×横367cm
・材質/技法:(文字)レタリングゾル Lettering Sol
       (彩色)アクリル絵の具 Acrylic Pigments
・制作年:2025年
・撮影: M.Kobayashi
    
                                                                                                                                                                                                      
◆作者コメント
 かつてサウジアラビアの砂漠に調査で入っていた時、「砂漠の嵐」に遭遇したことがある。

 2月の初め、ネフード砂漠に近い地域でキャンプして地名収集作業に従事していた頃。真夜中3時ごろだろうか、突然大砲の音のような雷鳴が大地を揺るがした。私たちは一斉に飛び起こされる。まもなく大粒の雨がテントをたたき始め、それとともに突風が物凄いうなり声と共にテントに襲ってきた。テントには5,6名の隊員がいたであろうか。テントは、レジャーのキャンプで使うようなビニールでできたものではなく、現地人(ベドウィン)が使うものと同じような厚い布でできた一辺が5メートルくらいある四角の大きなテントだったが、雨と風はお構いなしに襲ってきた。みるみるうちに雨は激しくテントの中の地面に流れ出てきた。

 私たちはあわてて調査の資料や器材などをベッドの上に上げたり、てんやわんや。ベッドは簡易式の金属製のベッドであったが、あっという間に私たちが寝ている下でごうごうと濁流が流れ始めた。そのうち風も強くバタバタとテントを揺るがし始める。そんな状態が30分くらい続いたであろうか。次の瞬間ものすごい音とともに一陣の強風がテントを襲ってきた。中にいる私たちは暗闇で何が起きたかわからない。また次の瞬間、テントの支柱がふわぁっと抜けたように感じたかと思うまもなく、テントそのものが糸の切れた凧のように空中に竜巻とともに吹き飛ばされてしまったのである。
 私たちはただ呆然とそれを見送るだけ。私たちは、今度は吹き付けてくる大雨と強風にもろに曝された。自分の身体が吹き飛ばされるのではないかと必死にベッドの鉄柱にしがみつく。私たちにできることはベッドの毛布に全身を包んで真っ暗な暗闇の中で嵐がおさまるのを待つだけ。夜明けまではあと1時間くらい。その時、実は毛布とは何とありがたいものかと実感させられた。頭からかぶっていた毛布は、(それはベドウィンたちが使っているのと同じ厚い羊毛の毛布だったが)ざあざあ落ちてくる雨にも耐え、一時間たっても身体までは水がしみ込んでこなかったのである。

 夜が明けて、嵐もおさまった。私たちはまだ薄暗い中、恐る恐るあたりを見回したが、近くにあったベドウィンのテントは一つも見当たらず、みな吹き飛ばされてなくなっていた。ただ目についたのは、いまだ囂々と音をたて砂丘から落ちてくる幾筋もの濁流だけ。
 私たちはすぐに自分たちのテントを探しに行った。車であちこち30分も探し回った末、ワーディー(涸れ河)の岸に泥の中に、くちゃくちゃに丸めた紙屑のように半分くらい埋まっているのを見つけた。辺りを見回すと目を覆いたくなるような光景が広がっていた。
 ワーデイーの下流のほうで泥水が堆積した中にラクダや羊が何匹も埋まっている。それらはまるで逆立ちをしているかのように足だけを空中に出して、もがいたまま泥に埋まっていた。  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 あれからもう半世紀くらいが経つ。しかし私の頭の中には時々あの時の嵐の轟音が鳴り響いてくる。
今回「砂漠の嵐」と題して作品を作ったのは、私の中の「嵐」を鎮めるためであったかもしれない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  




                                                                                                                                                                                                           
                                       
                                                    
                                               一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります   
   

by miriyun | 2025-12-24 01:32 | アラビア書道 | Comments(0)


<< 新年あけましておめでとうございます。      パンジーの向き~寄せ植え2 >>