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2024年 08月 29日

雲と遊んでいたんだよ

1.本田孝一氏の書きおろし
雲と遊んでいたんだよ_c0067690_05030136.jpg
アラビア書道家、本田孝一氏がガッサン・カナファーニ―の言葉を書き下ろした。
ガッサン・カナファーニ―(1936-1972)はパレスチナ文学の作家。『お母さん』という小説の中にある言葉である。

(意味)
子どもたちは死なないでほしい
かれらは、一時的にでも空にあげられたらいい、戦争が終わるまで。
それから、子どもたちは自分の家に安全に戻ってくるでしょう。
そしてその時、家族の人はこどもたちに心配して尋ねるでしょう。
あななたちは何処にいたんですか?
子どもたちは、朗らかに言うでしょう。
僕たちは雲と遊んでいたんだよ。
 
ガッサン・カナファーニの小説『ウンム(お母さん)』より


◆「約50年前にカナファーニ―がこううたっていたことが、50年後もまだ同じ悲劇としてずっと繰り返されている。
彼が言っていた幼い子たちへの心が見直されている。

人道危機が深刻化する中、今ガザで14000人も子どもが殺されている。子どもたちにとって安全な場所はなくなった・・・と、ユニセフが訴えている。

それに対して私たちは何もできないけど、
このような言葉を目にすることで、少しでも私たちがパレスチナの子どもたちに心を向けられたらいい。」

本田孝一氏は、この書への思いをこう語った。


2.雲と遊ぶあどけなき子ども
実際は戦争という過酷な場所でありながら、いったん、子どもたちは雲の上に逃しておいて、
平和になったところで子どもたちがひょっこり帰ってきて、私たちは雲の上でこれまで遊んでいたのと言う

・・・なんともメルヘンではないか?
これを読むことで一時だけでもほっとして子どもたちの笑顔を
思い浮かべることができるような・・・

それゆえ、本田氏は雲形の中にこの書をあらわし、そして雲の中に笑顔の子どもを配している。
是非この書を観賞しながら、子どもが何人隠れているか探してみてほしい。

ーーーーーーーー
紛争・戦争という逃れられない極限状態で、しかも終わりへの道筋が見えない。
それだけに一層このメルヘンが人々の心に滲みる。



3.見直されるガッサン・カナファーニ氏     
パレスチナ解放闘争という、故郷と自身の自由の追求という苦闘の中で生まれた彼の作品は、主としてパレスチナの解放闘争を主題とし、しばしばパレスチナ難民としての自身の経験にも触れたものとなっている。

中でも、短編『ハイファに戻って/太陽の男たち』(1968年)は、現代アラビア語文学の傑作の一つに数えられ、今日に至るまで非常に高い評価を得ていて、日本でも河出文庫になっている。
◆現在、文庫版解説が特別公開されている!
『ハイファに戻って/太陽の男たち』⇒ 西加奈子さんによる文庫版解説

◆季刊「アラブ」の中で、アルモーメン・アブドーラ東海大教授は、『再び注目されるパレスチナ人作家』としてこのガッサン・カナファーニを解説している。
その寄稿の中で、『ハイファに戻って』のあらすじや意味を解かれているが、その中のひとことだけ、ここで抜粋させてもらう。
    ↓
「カナファーニは、あらゆる要素が存在する物語を語ることができたが、同時に、驚きを呼び起こし、読者を過去へと押しやる知的叙事詩を提示することもできた。(アルモーメン氏の寄稿より引用)」

驚きと知的叙事詩を提示する・・・今回の書にあらわされたカナファーニの短い言葉にも、その要素がちりばめられていると自分としては感じている。





                                                                                                                                                                                                          
                                       
                                                    
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by miriyun | 2024-08-29 22:50 | アラビア書道 | Comments(2)
Commented at 2024-08-30 22:34
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by miriyun at 2024-09-01 03:45
鍵コメ様
自分の書き方があまり具体的な現実を書いていないのでわかりにくいかと心配していました。でも、鍵コメ様が「子どもたちを戦争から一旦雲の世界へ逃がす、読んでいて涙が出るほど心動かされました」という言葉を言ってくださってとても嬉しかったです。
カナファーニの小説も予約されたとか、物事に感じ、即動かれる感性と行動力に感服しました。


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