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2020年 07月 27日

月光かり・陽光かり~イメージ写真

1.月光かり   

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この一年間で世の中はすっかり変わってしまった。簡単にはそのころに戻れないことを誰もが感じ始めている。

それでも、ちょうど一年前、横浜アリーナで開催された「氷艶2019~月明りの如く」は今でも鮮やかに残っている。

・源氏物語をもとにした雅な衣装に身を包みながら、スケートのスピード感ある殺陣はいうに及ばず。

・狩りの場面がなんとも見事。狩りは王族や武人のたしなみとして古今東西幾多の演劇や絵画、時には絨毯の絵柄にさえ表されてきたこれほど優雅な狩りの場面は見たことがない。軽快な音楽とともに母親違いの若き兄弟、のちの帝(ステファン・ランビエール)と光源氏(高橋大輔)が競い合う。弓を回転させながら滑り、そのまま弓を構え獲物に向かって矢をうがつ。広いアリーナの一面とアイスリンクを彩るプロジェクションマッピングは場面を森の緑に染めて一体感を成し、その中で森の中をゆくキツネや鳥を射止める。その様がなんとも鮮やかで心躍る場面であった。

・平原綾香さんのひろがりと温みのある声で歌い上げ、また物語を語る。宮本亜門さんが最初から平原さんの声によるナレーションを考えていたというのは素晴らしい。すべての役者さんや歌手やアンサンブルさんの気持ちが入り込んでできた舞台、その中で高橋大輔はセリフを話して役者デビューを果たした。

・動きとセリフと表情でいたずらっ子のような若者を表し、物語の進展とともに憂いをたたえた大人になっていく。
年上の藤壺を追い、おずおずと彼女の前で舞いながら一途な思いを表し、藤壺の手に頬を寄せる。その手に触れることができてからは気持ちは高揚し、一直線に彼女を求める若者の瞳の強さ。それにたじろいだ藤壺があわてて部屋に帰ってしまう。そんな心の変化をセリフと表情で表すだけでなくスケートによる舞いで表せることができる。そのすごさを最後の方で、紫の上を失ってからの、「自分は誰も幸せにできないのか!」に始まるセリフ、そしてその心を歌い上げ、さらに尽きぬ悲しみの心を慟哭の舞としてスケートで表現する。(もちろん、セリフや動きは周りの諸先輩方から教わり吸収していったものだが。)

 この慟哭の舞、そして、最後のシーンも高橋大輔でないとできないものだった。

こんな日本文化を異業種(スケーター・俳優・歌手)が集い、合宿を行って心を一にして完成させた氷艶。見た当時はあまりにも感情が揺さぶられ、文字にあらわすことなんてできなかった。ましてや関連の工芸品を作ることも、イラストに表すこともできな自分が残念すぎた。

 それでも、一周年というときになってようやく自然描写の写真をもってこの作品に寄り添ってみようと思うのだった。(一言、前置きにと思ったら長々となってしまってごめんなさい)


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「あの方は月でございます。月は夜の孤独の中でこそ美しく輝くものでございます」

このテーマが物語の奥にずっと存在している。

海を輝かす月とシルバーグリーンのムーンロードが、
この最後の言葉のイメージと重なる。
 

2.陽明かり    

この物語では、光源氏は「月」、朱雀帝は「太陽」として光輝けと言われて育つ。

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朱雀(朱雀)には母がいる。
仲の良かった弟を追い落としても朱雀を帝に推したい母がいる。
それが、この太陽にも模した朱雀帝の悲劇であり、光り輝く帝となりながらも鬱としたものを抱える。
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サンロードに照らし出される金色は快活なようでいて、どこか暗い。
戸惑い迷うような川までその先に照らし出されていた。                                                                                                                                                                                                         
                                       
                                                    
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by miriyun | 2020-07-27 16:52 | 写真館 | Comments(0)


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