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2018年 05月 11日

ナツメヤシの樹液Legmi(2)

1.チュニジアのレグミ(لاقمي)~ナツメヤシの樹液について
 ずっと以前にチュニジア南部でであったヤシの樹液のジュース(Legmi)について書いた。

読者の方々からパルミラやインドでも在ったというコメントをいただいたのだが、それ以外には知られておらず、あまり情報がないので、掘り下げることもできないでいた。久しぶりに気になって調べてみたら、さすがに情報の時代である。中東各地からの動画を伴ったレグミ情報が見られるようになっていた。

 それによると、ナツメヤシの樹が十分にたくさんあるような地域で、ナツメヤシの頂点にあたるところの枝元を切り落とすとそこから樹液があふれてくる。そこにつぼなどを縛り付けて流しいれる。その際、ヤシの最高地点で作業するので、もちろん採取は簡単なことではない。一日に最低でも2回~数回にわたって上り下りしなくてはならない。

今回動画で確認すると高いところで採取するのでそれらの壺(地域によって大小や丸型細型違いはあるが)を持ってヤシの木に登り採取してくるのだった。
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↑ チュニジア・ガベスの動画より

そのツボを上げ下げしている様子が見られる。

私が見たのはタタウィン郊外でもヤシ畑の下にツボが置かれている様子だった。
それがその当時描いたイラストの壺だった。
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               ↑ 以前にかいたイラストを再掲

ここは車で通りすぎてしまったのだが、この後のクサールギレンという砂漠の中のキャンプ地で早朝に勧められて飲んだ。
樹液はコップに入れると乳白色で、気温が低めの早朝にとって飲むと純粋に甘くてきりっとした味わいのジュースで実に飲みやすくておいしかった。
お世辞でなく、心からおいしいとチュニジア人ドライバーやガイドに伝えた。

 ところが各地の話ではお腹の調子を崩す人もいればおいしさが今一つという人もいる。やはり完全なる衛生状態を保ったものではないものであるということで注意は必要であることと、もう一つの理由があった。
 なぜか、このナツメヤシの樹液は樹から採取されると間もなく1~2%のアルコール成分ができて、それが2時間で4%、72時間で12%となり、四日後には酢酸発酵が進み過ぎて飲めなくなるという信じられない速さで発酵していくのだ。勝手にワインになり、更に酢にまでなってしまう。

 長持ちさせて市販することもできない発酵度合なのだ。自分は実はアルコールアレルギーがあるので、アルコールを感じていたら、全く飲めないはずなのだ。だから本当に目の前で採取したばかりの樹液をグラスに入れて持ってきてくれていた。だからまったく発酵していない状態でジュースとして飲めたのだということが分かった。もしこのとき朝起きるのが遅くて、もしアルコールになり始めたのに出会っていたらて飲めなかっただろうし、いい印象は残らなかったたかもしれない。

2.ナツメヤシの樹液をとると、実はならない
約1か月の間、一日に数リットル採れるというから植物の力はすごい。ただし、今回いろいろな国の資料を読んでみて分かったのは、このように樹液を得るために切っているナツメヤシは実をつけないということだった。やはり樹木にとっては過酷な状態なのでとても実を成らせ、熟させる力は残っていないわけなのだ。

だから、中東全体で貴重な食べ物・栄養源・保存食になるナツメヤシを飲むためだけに使ってしまうことはできない。わずかしかナツメヤシがないところではわざわざ切ってしまうことはしない。だが、その地域にナツメヤシが数百本もあるようなヤシ農園なら、一部を選んで樹液採取専用の気にすることも可能になる。

だから、レグミを採取するのはナツメヤシが大量にある地域ということになる。
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                     ↑パルミラの動画より
パルミラも名前からしてヤシの木があるという意味の街名であるからヤシの木がどっさりある。それも比較的背の低めの気があるからチュニジア南部やパルミラのヤシは樹液が採りやすい。あるいは大きくなる種類でも生長点を切っているので大きくならないということも考えられる。

セネガル・アルジェリア・インド西部などナツメヤシの大産地ではこのようにレグミをとる習慣があるということが分かった。

なお、イスラームの地域での酒という問題がある。だが、あえて醸造所をつくるわけでなく、樹液をとるとジュースからみるみる酒になり酢になるものなので、余り管理できるものではない。時間の経過とともに色も乳白色から黒ずみ、味も刺激のある飲料に変わっていくという認識なのかもしれない。

 酒を飲んでいると言われても、誰かがチェックしに来るころには酢になっていそうだ。


                                  
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by miriyun | 2018-05-11 15:16 | Comments(2)
Commented by Lunta at 2018-05-11 18:14 x
樹液を飲むと言うのはロシアなどでも白樺の樹液を飲むそうですね。
ヤシの樹液については高野秀行の「イスラム飲酒紀行」という本にチュニジアのオアシスで男たちがヤシの木陰で夜中に酒盛りをする話が出てきますが、それがきっとこのジュースが発酵したもののことですね。
ほっとけばすぐにお酒になってしまうとは、酒飲みにとってはまさに天の恵みでしょうね。
私は飲まないので朝一のジュースがいいですけど。
Commented by miriyun at 2018-05-12 15:30
Luntaさん、
ロシアの白樺の樹液、うわ~、どんな味なのでしょうね。甘い実のなるヤシは最初から甘いだろうと想像できましたが白樺派全く想像できません。
高野秀行さんの本をご紹介ただいて、すごく興味深いです。チュニジアのヤシ畑なら間違いなくこれのワインですね。なんだか、長いこと気になっていたことが皆さんのおかげでするするととけてきた感じがしています。


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