2014年 11月 09日
人が飛ぶということは、人間の叶わぬ夢でもあり、それだけに人々の宗教の誕生と共にいろいろな形で飛ぶイメージが生まれてきた。 オリエントでまずゾロアスター教で、精霊としての有翼像が現れ始めた。 1.オリエントでは・・・パサルガタエの有翼像 ◆パサルガダエ イランの古代遺跡、パサルガタエはキュロス王の宮殿と墓と思われる巨石のあるところ。 その一角に風雨にさらされ続けているのに、今なお鮮明なレリーフがある。 これは、キュロス王の墓といわれる。2世紀を経てからアレクサンダー大王がここを訪れ、中をあけさせている。そして、上は有翼人物像である。紀元前6世紀に人に翼がこれほどはっきりと表された。 ◆ミーラン このような有翼像は東はミーラン(中国の新疆ウイグル自治区に位置する遺跡群)にまで見られる。仏教寺院の壁画からは、古代ローマの風格を持った3世紀の有翼像が出土している。 2.雲文様と羽衣で飛ぶ インドで仏教が誕生してからは飛ぶのに中国からの雲文様に乗って飛ぶもの、羽衣をたなびかせて自己浮遊するものまで、いろいろな形で飛天がシルクロード上に現れる。 飛天とは一般的には、仏教で諸仏の周囲を飛行遊泳し、礼賛する天人をいう。仏像の周囲(側壁や天蓋、)に描写されることが多い。 ◆敦煌 ラピスラズリ特集でも載せたが、莫高窟の飛天の壁画。 ◆法隆寺 1947年の火災で焼失してしまっているが、飛ぶ姿がもう洗練されている。翼ではなく衣で飛んでいるかのようになっている。 ◆東大寺大仏殿では 大仏の座す蓮の台(はすのうてな)、その花弁の一枚一枚にこのような線刻がなされている。 雲の上にのっている姿が描かれている。 奈良の大仏は3度も焼け落ちており、聖武天皇のころから残っているのは大仏のひざ下やこの蓮の台ぐらいだ。つまり、東大寺の大仏はほとんど江戸時代再建だが、この線刻は8世紀中ごろに作られたものといえる。 大仏の膝元は高くて見えないので、蓮弁の1枚分だけ同寸大のレプリカがつくられ、一般客に見える位置に置かれている。 ◆平等院 阿弥陀仏の後ろの壁に立体としてつくられた天人。雲と衣のたなびきが美しい。 実際にはシルクロード上で交錯し、互いに影響を与えたであろうものだが、雲と衣で飛ぶことを表すのは仏教とともに東へ、翼を大天使ミカエルや天からの使いジブリールなどが見られるようになるのは西になっていった。 日本では、雲と衣のたなびきで動きがあらわされており、優れた表現が多いので、鑑賞する上での楽しみにもなっている。 ↑ 一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります
by miriyun
| 2014-11-09 11:12
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Comments(6)
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jasmine-boo at 2014-11-09 15:33
雲と衣のたなびきがいいですよね。
以前にも書いたかもしれませんが、実家がお寺なんですけど、子供のころ、正座をさせられ、長く退屈な仏事の間、欄間の天女に無言で話しかけていました。 なんだか空の上に連れて行ってくれそうな気がして・・・・・雅楽のBGMも読経に交じって聞こえてきそうな・・・・。 で、睡魔に襲われ、こっくりやって注意されるのでした^^
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miriyun at 2014-11-10 12:27
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miriyun at 2014-11-10 12:30
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petapeta_adeliae at 2014-11-10 22:57
空を飛びまわるというと羽衣と西遊記が
まっさきに浮かびます。 いつの時代も空を飛ぶことが夢で、飛行機、航空に 結びついたんでしょうね。 近所の幼稚園の年長さんがTVを見て空を飛べる気になり、 2Fから風呂敷首に巻いて飛び降りて大騒ぎになった ことがありました。
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miriyun at 2014-11-16 22:06
ソーニャさん、そういえば孫悟空も雲に乗って飛ぶのですよね。人の思いのどこかでいつも飛ぶように言ってみたいという気持ちがあるのかもしれません。
ちなみに小学校の頃、1か月ほど、自分で飛ぼうとして屋根の高さまで飛んで落ちて夢から覚めていました。ww |
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