2014年 06月 28日
武田流流鏑馬には鎌倉派と熊本派があるらしいが、鎌倉で見ているので、載せているのは武田流鎌倉派流鏑馬ということになる。 流鏑馬は「式の的」と言われる豊穣を願うものがある。弓矢の的としてよく使われる五色の同心円の的を射るものと杉板を射るものがある。 そしてこの二つの式の的を終えると、その時の参加者の中から成績の良かった射手(つまり、その日的を射落とした射手)がえらばれて、「競いの的」を行う。 「競いの的」は素焼きの土器を2枚合わせた中に小さく切った五色の紙を入れたものを吊るす。ごく小さな土器であるため式の的より一気に的が小さくなる。 競いの的「かわらけ」を射る 一射手の流れを見てみよう。 右端の小さな丸があるのが的の土器。両側からひも状のもので吊るしてあるので安定していない。 射手は矢を放った。 この時の距離は5~9m位だという。射手の好みとタイミングによって異なる。 馬の進行方向に対して射手は顔を残し加減にして、矢の行方をみており、命中を確認している。 (この顔を残すというのが、実はフィギュアスケートを見ていた結果わかるようになった。意外な所に役だった) 射手は、もうこの時点で次の矢に右手をかけている。 一瞬あとには自分の正面にきたのだが、その時には矢は半分まで引き抜きかけている。 さらに次の一瞬にはもう矢を抜いていた。 二の的はすぐそばであるから、的に当てるどころか矢をつがえるだけでも難易度高すぎの早業である。 もっとも、手綱をもたずに脚力だけで馬を扱い、自分の姿勢を揺らさないように保つだけでどれだけの修業を積むことか・・。 瞬間 馬が俊足なので、早めに矢を射ないと通り過ぎてしまう。どこの一瞬で勝負するかの見極めはカンとしか言いようがなさそう。 やはりこの射手も結果は黙視している。馬はと言うと、馬は見物客の歓声によって成功を知り、ますます頑張って走るそうだ。馬も深い。 写真としてはこの一瞬の斜めっぷりと、馬の脚の疾走感と関節のまげ具合がツボっている。 カメラでの瞬間 カメラでの瞬間を考えた。 高速のものをある一瞬で止めて撮るというのは、カメラでは容易なことだ。 ところが、昨年初めての流鏑馬を見て、瞬間を止めて撮影してみて思った。 流鏑馬にはこの撮り方は向かない! *流鏑馬と速度について考えてみた。 ◆一直線に疾走する馬 ◆その上の射手はもちろん馬に運ばれているのだが、馬とは異なる方向への首や頭の動き、腕の動きをしている。 ◆射られた矢は馬の進行方向とは異なる角度に対してほぼ水平にひょうと放たれる。 ◆一方、的のそばの介添え役や見物客や背景の木は静止状態だ。 ◆的も静止状態だが、当たったときはパキーンと割れて、いろいろな方向に飛び散る。 これをシャッタースピードを速くして、全て止めて撮ってみたらペタッとした面白味のないものになってしまった。 動きのあるものを題材にしていながら、どちらへ動いているのかもわからないような画像。 鎌倉武士の文化、流鏑馬の本質はこんなペタッとした写真では表せないと思ったのだった。 だから今年は、ブレてもいいから動きをあらわすことをテーマにした。 上は射手に、下は馬の方に合わせていたつもりだが、「競いの的」になったころには腕が重く、ますますスピードについていかれなくなっている。 動きのあるものの中でも流鏑馬はとくに難しいと思わされた。 それでも昨年のよりは鎌倉の武士の文化に近づきたい思いが出せていたらいい・・・。 ↑ 一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります 人気ブログランキングへ
by miriyun
| 2014-06-28 13:07
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Comments(4)
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tsurukame_ko at 2014-06-28 23:39
生き生きとしたお写真!迫力満点で息を呑みます。
そしていつものことながら、文章に引き込まれ わたしもその場でいっしょに見せていただいたかのような 高揚感に包まれました。感謝 いいなぁカッコイイナァ惚れちゃうなぁ 最後のお写真の、ただ前を見て駆ける馬の力強さと 的を射る人の、全然前を見ていない、的へ視線に惹かれます。 そして、その一つ前のお写真の 背景は流れていてすごいスピードだとわかるのに くっきりと抜き取られた人馬一体の姿も好き。 鹿の皮のように見える衣装にも興味津々です。
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流鏑馬が大好きですがまだテレビで見ただけです。
殊に最初の矢を放って次の矢を後ろ手に抜いて番えるしぐさが大好きです。 馬も好きなので、観客のどよめきに気を良くする表情が想像できます。 馬の飾り、射手の衣装も良いですね。 居ながらにして流鏑馬を楽しませて頂きました。 今朝は寝坊しないで再放送の(こころの時代)しっかり拝見しました。 土曜日1時から2時までEテレで再放送があるので、友人にも知らせました。
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miriyun at 2014-06-30 04:33
tsurukame_koさん、鹿皮も衣装の上にあって存在感が際立っているものの1つです。
じっくり見ていただきありがとうございました。 馬はやはり大きくて重くて地響きがあるし、 速い馬ほど迫力がすごいです。 そして、それを足でがっちりと抑え込んでコントロールする 射手もとても渋くてかっこいいですね。
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miriyun at 2014-06-30 04:43
谷間のゆりさん、流鏑馬は鎌倉時代においては
普通に武士たちの素養であったものです。 衣装の味わいと射手や馬への賞賛など出来るだけ感じ取れるような写真にしていきたいと思っています。スピード感が命の競技でもあります。 でも、現代では馬に走らせる場所とを確保できなければ やってみることさえかなわないものです。 個人でなかなかやれるものではないので、うっかりするとこの流鏑馬と言う文化さえなくなってしまいそうな危機感を感じます。 |
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