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2012年 12月 19日

クルミと中近東の話

⒈クルミ
 クルミは木の実のなかでもとくに好きだ。噛んだ時の感触がパサパサしていない。しっとりした噛みごこちが好きで、ケーキはもちろん、ふだんざっと作るホットケーキにだって入れてしまう。
ハンバーグ材料を見ながらクルミやらなにやらいろいろいれてミートローフも好みだ(ただし、家族からは普通のでいいと言われる。保守的な食が好きなのばかりだ)
また、我が家のカレーはひき肉とニンジン、玉ねぎのみじん切りが中心であとは冷蔵庫の週末棚卸しで残ったナスやら生姜やらもいれてしまう。でも欠かせないのは最後に投入するくるみとレーズンだ。
これだけは保守的な家族にも定着させてしまった。

そんなふうでクルミには思い入れがある。

 また、木材としてのクルミ材は落ち着いた深い色で家具材としても頑丈で味わいがある。
落ち着きのない生活をしているが、クルミ材の書棚だけはリビングで落ち着いた存在感をもっているのだ。

2、胡桃

世界史の中で教わったもので今だに自分の中に残っているものがある。
まだ、自分が何をしたいのか、何が好きなのかも分からない時に、おやっ?とかはてな?と思った事は案外覚えていて、後々その?から何かが繋がり交叉しているうちに、これが見たかったんだというものにぶつかることがある。

クルミは「胡桃」と書くのは誰もが知っている。
「胡」は唐の時代、国際都市であった長安では「ペルシア」を意味した。
様々な民族が歩き回り色糸な言語が飛び交う中、シルクロードを越えてやってきた胡人は交易品を市場に広げる。胡弓の音色に胡姫の舞、市場には胡麻の香り、いやがおうにも想像力が高まり、ぐうっとペルシアへ思考は漂ったものだった。

かの有名なアラビアンナイトには、「開け〜、ゴマ!」という呪文がある。これを絵本で見ていた頃、この呪文は、本当はアブラカダブラ~的な意味のない呪文であって、日本の子どもにわかりやすいように日本にあるゴマという言葉をあてたのではないかと漠然と思っていた。
ところが、大人になってアラビア語をやってみたら、なんと、「イフタフ ヤー スィムスィム」と表された呪文が、「開け~、ゴマ」そのものであることを知った。
「そうだったんだ〜!そのまんまだったんだ〜、ウヮーィ、ごまだ」
と、いい大人が帰り道に奇妙に心はずんで帰った。
うん?ゴマ、つまり胡麻、やっぱり中近東モノだったんだと、あらためて
「胡」の文字の力を知る。文字一つで文化文物の伝播にいきつく。

胡桃とペルシア 
 胡桃はしかし、ペルシアというより、日本の山にもあり、世界に見られる。特にペルシアという意識にはならなかったのだが、ある時、ペルシアとのつながりが一気に感じられた。

 それは、クルミの殻の力だ。
クルミと中近東の話_c0067690_754859.jpg

くるみのからから抽出した色素による茶色がこの色だ。あの薄い色の殻からこんなに深い色が生まれるんだと驚いた。
クルミと中近東の話_c0067690_6474977.jpg

    胡桃はペルシア絨毯の大事な染料にもなっていたのだった。

クルミと中近東の話_c0067690_6371516.jpg

イランの絨毯博物館の絨毯の一部右下にその色がある。

クルミと中近東の話_c0067690_6373445.jpg

上から下がっている毛糸玉の中の茶色、これがクルミ色なのだ。

「胡」はやはり'ペルシア'につながっていた。
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by miriyun | 2012-12-19 07:07 | Comments(16)
Commented by 谷間のゆり at 2012-12-22 10:20 x
くるみは祖母が信州の人だったので、子供の頃から馴染んでいました。尖った所を金槌で叩いて割れた中の縮れた物を最初に見た時の印象が今でもあって、チョコレートやさん(諏訪の方)でチョコレートの衣を着た胡桃を、直ぐに胡桃と判ったことで親しくなりました。
長野に行く列車の窓から、胡桃の木を見つけると祖母の胡桃を割る姿を思い出しました。
Commented by 霧のまち at 2012-12-22 10:46 x
小さい頃 私は大きな胡桃の木の下で育ちました。 家の前に
一本あったのです。 実もいっぱい採れて 指先はその渋で
黒くなりました。
私も大人になって旅するようになり、胡の付くものがイランなど
中東から来たと知って 見方が変わった思いでした。
胡瓜ひとつでも そうなのですからね~。
Commented by miriyun at 2012-12-23 08:11
谷間のゆりさん、信州には胡桃が多いですね。
列車の窓から胡桃の木を見つけるって、よほど見慣れた人でないとわからないのではないでしょうか。
胡桃を割ったときの実は不思議な姿で印象的です。
Commented by miriyun at 2012-12-23 08:15
霧のまちさん、胡桃の渋って強いんですね。指が黒くなるほどとは思っていませんでした。
そうすると染料にもなることがわかってきます。
日本で慣れ親しんだものを他の国で見かけて、
つながりがあるとわかるとすごく印象的ですよね。
Commented by ぺいとん at 2012-12-23 10:38 x
わたくしが胡桃の実を初めて見たのも長野でした!懐かしいです。 

まさかあの殻が木に生っているとは思ってもいませんでしたが、丸い実は衝撃でした。 
未だにあの果肉はどんなものなのかかじってみたいです。 
口がチョコレート色に染まるでしょうか?
Commented by miriyun at 2012-12-23 13:49
ぺいとんさん、丸い実から胡桃や銀杏を想像するのって難しいですよね。
最初ほんとに?とびっくりした覚えがあります。
Commented by jasmine-boo at 2012-12-31 15:08
こんにちは。
「イフタハヤーシムシム」
某日本人学校のPTAの広報紙のタイトルでした。
後でアラビア語を習ったときに意味を知ってびっくりでした。
最近ではテレビのNHKアラビア語講座で、このオマジナイは戦場カメラマンの渡辺さんがよく使っていました。

子供の頃、実家にくるみの木があったので、実を食べられる状態にまでお世話するのが楽しかったです。
できたら、家の前の平らな石の上に乗せて、手頃な石で割って食べます^^生っぽいのでつまようじでほじくり出して食べてました。
くるみ色で染めるときれいなブラウンですね。
我が家にブラウン系のペルシャ絨毯(たくさんの種類のブラウンです)があるのですが、それにもくるみが使われているのかしら・・・・・?
Commented by miriyun at 2013-01-02 22:14
jasmine-booさん、PTAの広報紙のタイトルとは、それは驚きますね。
一回アラビア語で聞くとなんだか忘れられない呪文になります。
日本語よりもこれはアラビア語がぴったりだと思ったものです。
ブラウン系のペルシアでしたらきっとそうですね。
ペルシア絨毯の色と文様も大好きです。
Commented by moccosan at 2013-01-05 15:32 x
明るいこのちゃ色は、胡桃が原料で染められてるんですね。
ほっこりとした色合いでかわいい色ですね。
Commented by petapeta_adeli at 2013-01-05 15:33 x
胡桃がこんなに濃い色に染め上がるものなんですね。

かなり昔に金沢の料亭で蟹の殻のリサイクルで女性だげに
膝掛けと言ってもお弁当を包むのに丁度いいふきんを
頂いたことを思い出しました。
地球上に元々あるものだから環境を左右せず、地球に野菜く
無駄のないのが一番です。
Commented by chai at 2013-01-05 15:33 x
胡桃はホントにお役立ち木の実ですよね。染料、食料、木は家具にと。天然素材で染めた糸は色褪せないし上品な色ですよね。
Commented by miriyun at 2013-01-05 15:34 x
moccoさん、ウールはこの色を表すのにとても良い素材なようで、
いい色になってます。
やはり、自然素材はいいものですね。
Commented by miriyun at 2013-01-05 15:34 x
ソーニャさん、カニの殻で!
身近なものを捨てずに工夫してみる・・・やはりそうした精神の中から
いろいろな美しいものが生まれてきたのでしょうね。
Commented by miriyun at 2013-01-05 15:35 x
chaiさん、本当に良い木です。
家具材としても落ち着いた風合いのでる木ですし、もちろん食べ物としての優れた点もたくさんあり、大好きです~!
Commented by 谷間のゆり at 2013-01-05 15:37 x
染色は女学校(古いですね)の時に理科の実験でやっただけですが、母が無地の布で絞り染をしていたのを見ていただけですが、興味が有ります。
胡桃の殻が茶色の染料になることは初めてしりました。
Commented by miriyun at 2013-01-05 15:39 x
谷間のゆりさん、絞り染め、ありましたね~、
染にもいろいろな方法があるようで、
材料の面白さ・方法の多様さなどおもしろさがあり、いずれも気になります。


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