2011年 09月 12日
1.伝説の生物 実在の生物の中にも伝説の中でしか存在しない生物がいる。マンモスもサーベルタイガーも、そしてエレファントバード(学名エピオルニス)と呼ばれるかってマダガスカルにいた世界最大であった鳥もいた。更にエジプトからモロッコにかけての北アフリカにいたバーバリライオンなど、伝説になってしまった生物のほんの一部である。マンモスなどは気候の変動などで致し方ない滅亡だったかもしれない。 だが、バーバリライオンのようにまれに見る大きさで、200kgの体躯、胸までずっと続くタテガミあり、「百獣の王の中の王」に値するような生物はどのようにいなくなったのか。 バーバリライオンは見事な姿であっただけに人間の力の象徴として狙われ続けた。ローマ帝国時代に生け捕られたのをはじめ、現代においては銃を持ったハンターによって次々殺され、生存領域が狭まっていった。最後は20世紀初頭に最後の1頭が殺されてしまった。 20世紀まで生存していた生物が絶滅したのは明らかに人類が手を下したものであり、他の要因は少ない。なぜもっと保護できなかったか、これからもこうした状況が続いてしまうのか、人類の責任として考えるべきところである。 2.伝説の存在になりかけた 同じように20世紀に絶滅危惧種に指定された生物は多く、多かれ少なかれそういった生物は絶滅への道を歩んでしまう。 そういう伝説の存在になりかけた哺乳類の話をしばらく続けたい。 絶滅種の枠に足をかけて、しかもそのページが閉じられてしまうところであった。 その名はアラビアン・オリックス この夏、長年気になっていたその動物を見に行った。その動物はいったん、野生絶滅(Extinct in Wild)に分類された生物だった。 かってアラビア半島全体に広く分布し、アラビアには存在することが当たり前であった。だが、銃を持ったハンターによってかってない勢いでその個体数が激減した。目的は食用もあったが娯楽としての乱獲が主たる原因だろう。1972年には野生の個体数がわずか6頭である絶滅危惧種の代表的な生物になってしまった。 こうして、これは大変だと見守るうちに、1972年の内に最後の野生種がとうとうオマーンで射殺されて野生種は絶滅したのだった。→1972野生種絶滅 だが、 その生物は今、保護区とはいえ野生の状態で生存している。私たちは動物園以外でも野生の状態で生きているアラビアン・オリックスを見ることができる。 そこまでに至る様子を書き表すとともに、どうして今、野生種が存在するのかを語り、それとともに絶滅種の保護について考えてみたいと思う。
by miriyun
| 2011-09-12 10:44
| 動植物
|
Comments(8)
Commented
by
谷間のゆり
at 2011-09-12 10:56
x
アラビアン・オリックスの姿は何時見ても神秘的です。
絵だけで見たら、美化された物としか評価されないでしょうね。 大分前に、ドイツの女性写真家が撮った、アフリカの原住民確かウバかヌバという種族にオリックスの様な青年が居たことを思い出した。
0
Commented
by
miriyun at 2011-09-12 11:22
谷間のゆりさん、オリックスに似た青年、合ってみたいです~!
不思議な色と顔のオリックス、気になる存在です。 下書き状態の文をうっかり載せてしまっていて、失礼しました。 申し訳ありませんが、その時のコメントをこちらに移させていただきました。
Commented
by
jumeirah
at 2011-09-12 22:21
x
アラビアン・オリックスを見た事があります。
12年前にドバイでデザートサファリに行った時に、ドライバーさんが見つけて教えてくれました。 とても美しい姿で砂漠に一頭だけで佇んでいました~ ☆ 大変珍しい動物で見られた事がラッキーだとか~ 絶滅危惧種の、そんな貴重な動物に会えて良かったです。(今、思えば)
Commented
by
Hiroe
at 2011-09-12 23:30
x
Commented
by
ジョー
at 2011-09-13 04:51
x
Commented
by
miriyun at 2011-09-13 08:17
jumeirah さん、12年前という事は今以上に出会う事が貴重なことだったと思います。
砂漠にあって鮮烈な白さは忘れ難い思い出になったことでしょう!
Commented
by
miriyun at 2011-09-13 12:21
Hiroeさん、調べてみると思っている以上にウシ科の動物って多いのです。
印象的な動物です。千と千尋の顔なしのイメージがありますよね。
Commented
by
miriyun at 2011-09-14 06:37
ジョーさん、絶滅ということはとりかえせないことですね。
どんなことも取り返せないようなことはなくしていきたいものです。 |
アバウト
カレンダー
記事ランキング
タグ
高橋大輔・フィギュアスケート(345)
季節の風物・日本の光景(317) ★アラビア書道(153) ◆イスタンブル歴史紀行(142) UAE(ドバイ・アブダビ・シャルジャーなど)(139) シリア(86) イエメン(85) ◆料理とお菓子と(85) 本田孝一氏Web作品展(63) トルコ(63) ◆時の話題(62) Fuad Kouichi Honda(58) チュニジア(51) ◆ラクダ(50) マレーシア(49) ◆砂漠・砂漠化・砂・蜃気楼(47) イラン(ペルシア)(44) ヨルダン(43) サハラの情景(43) アラビア語のカリグラフィー(38) ペトラ遺跡(37) ◆各地のモスク・廟・メドレセ(35) 港ものがたり(34) 文様の話(植物文様・動物文様・組紐文様など)(34) 鳥(クジャク・ハト・カモメ・シラサギ・ダチョウなど)(32) ◆子どもたち(32) アラブ・チャリティー・バザー(30) イスラームの工芸(エブル・テズヒーブ・金彩・装丁)(29) オスマン帝国外伝(29) ◆砂漠の植物・その他の植物(28) ◆衣生活*民族衣装(27) ★ライオン紀行(27) 植物の話(葦・ザクロ・綿花・桑・オリーブ・ひまわりなど)(26) モザイク紀行(26) サラディン(26) 王ヶ頭ホテル・美ヶ原(25) ◆世界の家のつくり・材料(25) アル・マハ・デザート・リゾート(25) ◆人々と暮らし(24) 日食・月食・星・虹・幻日・ブロッケン現象・サンピラー(24) アブダビ(23) 絨毯・キリム(23) ウズベキスタン(サマルカンド・ブハラ・タシケントなど)(23) ◆国際協力(JICA・青年海外協力隊・NGO)(23) ◆象嵌(貴石・大理石・貝・金属など)(22) ◆ペトラ特集(22) クローズアップ人物(22) レバノン(21) ◆古代エジプト(21) タイル(21) ◆馬・牛・ロバ・ヘビ・家禽(21) 東京ジャーミー(モスク)(21) 桜(21) オリンピック開会式・他(20) ◆光の技・朝景・夕景(19) シェイク・ザーイド・モスク(19) ナツメヤシの話(19) 映画と史実・撮影地・エピソード(18) ◆ワディ・ラム特集(18) クイズ(18) ローマ帝国(17) 世界のフルーツの話(17) 水生植物(睡蓮・蓮など)(16) ◆レイクパレス(16) イマーム・モスク(16) 猛禽類(鷹・ハヤブサ・梟・鷲)・鷹狩(15) 東日本大震災(15) エジプト(14) ◆ミニアチュール(14) 航空写真(14) ◆飲み物(お茶・コーヒーなど)(14) カンボジア(14) デーツ(13) ミマール・スィナン(シナン)(13) サウジアラビア(12) アヤ・ソフィア(12) ◆ウマイヤドモスク特集(12) ◆トプカプ宮殿(11) トゥーラ・トゥグラー(11) アラビアン・オリックス(11) ブルジュ・ハリファ(11) 佐竹史料館(10) ペトロナスツインタワー(10) ◆結婚式・割礼式など(10) ◆古代文字(ヒエログリフ・楔形文字・ローマ・ナバテア文字他)(10) ◆水の話・水道橋・貯水池(10) ★刺繍・布・織りの世界(10) アラビア書道の年賀状・カード(10) ダマスカス(9) 熱気球の旅(9) 浴場・風呂の話・テルマエ・ハンマーム(9) ◆暦・古天文・科学(9) パピルスの話(9) ◆日本との関連(9) モスクのつくり(ドーム・天井・ミフラーブ・ミンバル・絨毯他)(8) プロカメラマンの話&写真展(8) ◆オアシスとその周辺(8) ミナレット(マナーラ)(8) 武士の文化(8) ◆タージ・マハルとアグラ城(8) 最新のコメント
お気に入りブログ
ヒンズー語ではありません。 中東イベント情報 アフガニスタン/パキスタ... イスラムアート紀行 はなももの別館 部族の絨毯と布 caff... Over the Blue アジアⅩのブログ 旅と絨毯とアフガニスタン トルコ~スパイシーライフ♪ にっと&かふぇ ギャラリーもっこ堂 アートなD1sk 前田画楽堂本舗 森の釣り人 アトリエサフラン トルコ... ツルカメ DAYS ソーニャの食べればご機嫌 - イスタンブル発 - ... わんわんぶー *********
・・・・・・・・・・
イスラームの自然や文化の写真はすべて自分の撮影したものです。ご利用になりたい方は非公開コメントにしてコメント欄に連絡用メアド等記入してください。 ▼△▼Ranking▼△▼ *応援ありがとうございます ◆It is prohibited to use the photograph, the image, and the illustration published in this blog without permission. ▼リンク集(エキサイト以外)▼ ◆こよみのページ ◆茉莉千日香 luntaの大きい旅小さい旅 いち子ばーばのお針箱Ⅱ 旅のミラクル 風と花を紡いで Kの庭 CROKO NOTE 地球散歩 エジプト大好きAnnyのひとりごと エジプト旅行カバン 中東ぶらぶら回想記 Asian Memories ETHNOMANIA 優しい世界の作り方。 のぶヒろぐ~漆喰について日々考える~ シンガポール熱帯植物だより+あるふぁ 実りのとき The Japanese Dubai ************* ☆日本アラビア書道協会(JACA) ☆アラビア書道とその周辺 ▼▼▼▼▼▼ ▲自己紹介▲ ☆写真・・・カメラを通すと新しい視点が与えられます。 ・TV番組や書籍に採用されています。(使用をご希望の方はコメント欄にご記入ください。) ☆文字・・・ヒエログリフ・楔形文字・マヤ数字・トンパなどにはじまった文字への思いは、アラビア書道に昇華しています。 ・アラビア書道 IRCICA国際競書大会 第4回・第5回・第6回いずれも Incentive Prizes 入選 ☆自然・・・イスラーム地域や日本の自然のささやきをひろってきます。ただし、最近はアジア・ヨーロッパなども含めて幅広く書いています。 ☆文化・・・いろいろな地域の文化比較や相互の関連を見ていきます。 ★これらが一つに重なって大きなライフワークになっています。 ☆また、スポーツの世界で稀有の芸術性を体現するフィギュアスケーター高橋大輔選手の魂の演技を見つめ応援しています。 ◆アクセス数(2006年5月ネームカード導入後のカウントで表記) 2017年 700万アクセスとなりました。 ご訪問ありがとうございます! ◆Welcome!! (2009.03.28より設置) ☆最新の来訪国等 ようこそ!(^_^)/ 183か国目マン島 182か国目セントルシア 181か国目マリ 180か国目バヌアツ 179か国目トンガ 178か国目バルバドス 177か国目キュラソー(オランダ領) 176か国目ジブラルタル 175か国目モーリタニア 174か国目ジャージー 173か国目セイシェル ▼▼▼▼▼▼ ◆こちらは自然と文化を一個人が自由に語るブログです。内容に関係のないコメントおよび販売を目的としたコメント、各種中傷、政治的発言等はこちらで削除させていただきますので、ご理解のほど、よろしくお願いします。 ブログパーツ
カテゴリ
全体 自然(砂漠・ラクダ・蜃気楼) アラビア書道 カリグラフィーを読もう サラディン紀行 Fuad Kouichi Honda ヨルダン イスラームの工芸 トルコ 絨毯・キリム シリア 東京ジャーミー(工芸) イラン(ペルシア) 日本の中のイスラーム 食べ物・飲み物 中東について レバノン イスラーム全般 写真館 中央アジア 数字・文字 チュニジア エジプト その他 インド U.A.E. 文様の伝播 マレーシア サウジアラビア 日本 動植物 カンボジア 空・太陽・月・星・雲 未分類 以前の記事
2023年 10月 2023年 09月 2023年 04月 2023年 03月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 08月 2022年 06月 2022年 05月 more... 検索
外部リンク
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||