2011年 04月 30日
かって旅をした中央アジアで最も印象に残った街はと問われれば、迷いなくウズベキスタンのシャフリサブスと答える。 シャフリサブスはティムールの生まれ育った街である。サマルカンドの南に80kmほどであり、数字だけ聞けば車ですぐだろうとおもってしまう。 だが、ここはタフタカラチャ峠を越えていかなければならない。 夜中の峠越え 夜にタフタカラチャ峠越えのバスで行った時の話。バスでサマルカンドの街を出たときにはもう暗くなっていた。街の街灯があるうちはいいが、街を出る検問を通り越すともうそこには街灯も道路用照明もない。ただ、二すじのバスのライトがわずかに道路を照らす。月でも出ていれば周りの様子がわかるのだが、あいにく月もない。しかも車内灯もつかない。何も見えない状態では寝て過ごすしかない。乗客はそれぞれに眠る。 しばらくねむってからだが、危険信号を体の奥からゾゾ~ッと感じて目覚めた。揺れが激しいだけでなく、真っ暗闇なのにスピードを出して大きくカーブしながら進む。周りは見えないが傾斜が激しい山道であることはわかる。わずかなバスのヘッドライトの先を見ようとするがほとんど何も見えないほどその光は暗闇の中で頼りない。ごくたまに対向車が来た時にそのライトの先を見ると道路が見えなくなる時がある。道幅がすごく狭いのだ。バスは道路のぎりぎりのところをスピードを出したまま走っている。 暗闇のジェットコースターに乗せられたようで凍りついていくが、手を握り締めてこの時間を耐えたのだった。 昼の峠 この街を見た帰りはまたサマルカンドまでこの峠を通る。今度は昼間なので、果たして自分はどんなところを通ってきたのかが初めて分かる。 バスの上の岩を見上げればいつ落ちてきてもおかしくはない状態。 岩は寒暖の激しい差によってひび割れていく。そんな特色ががどの岩にも表れている。 標高1600mのところまで来てシャフリサブスを臨めば峠の岩山を越えた先のはるかなる土地である。 断崖の下にうねる道、放置されたままの断崖。車が一台通っていた。 その赤い車に注目すれば、この峠の道と岩山の関係がよくわかる。岩が落ちたら不運と思うしかない情景だった。これはバスに乗っている自分たちも全く同じ立場だ。 シャフリサブスからさらに南のアフガニスタンに入れば、このような峠ばかりで珍しくもないだろうが、このような峠を暗闇の中を行くのはもう経験したくないものだ。 ここをヘッドライトだけでずっとハイスピードで運転し続けたドライバー、腕がいいのか、度胸があるのか。 ~~~~~~~ ◆ここを若きティムールもサマルカンドを目指してたびたび歩いたことだろう。この峠を越えると、シルクロード随一のサマルカンドのオアシス地帯が見えてくるのだ。 高いタフタカラチャ峠の上からサマルカンドを臨み、あるいは故郷のシャフリサブスの先のカブールやヘラートを考えたとき、征服者としての思いがふつふつとわいてきたであろうことは容易に想像される。 ⇒ ⇒応援クリックお願いします。
by miriyun
| 2011-04-30 10:05
| 中央アジア
|
Comments(2)
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petapeta_adeliae at 2011-04-30 12:33
岩のヒビは寒暖の影響もあるんですね。
岩の形をよく見てみると反対側からだるまタタキで 押し出された様な形のものもありますね。 これだけの岩肌なのネットも落下防止のものが 全く無いのもウズベクスタンの民族の潔さ?でしょうか。
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miriyun at 2011-05-01 08:30
ソーニャさん、岩は熱せられて膨張し、冷やされて収縮しを繰り返すと
もろくなりやすいです。岩の質にもよりますが、 ここの写真で分かるように亀裂が入りやすい岩なのでこれは危険ですよね~。 だるまたたき状態の岩もいつかは落ちるのでしょう、こわいです~! |
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