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2011年 03月 06日

第8回アラビア語オリンピック&アラブ・イスラーム学院卒業式式典

 3月5日、アラブ・イイスラーム学院でアラビア語オリンピックとアラビア語科の卒業式が行われた。
 この二つは、いずれもアラブ・イスラーム学院が連綿と歴史を積み重ねてきたものである。
年々、アラビア語を話す日本人が輩出され、そして、日本とアラビアの文化交流が盛んに行われる様子が感じられる、これは学院の活動を通した大いなる成果であると思う。

 自分自身は2004年の第1回アラビア語オリンピックから参加し、2005年の欠席以外はオリンピックの関係しているために卒業式も参加してきている。
 ここでは、イスラーム地域に関する文化や人々について初めての方にもわかりやすくお伝えすることを目的にしているので、この行事の紹介をしながらアラブ・イスラーム学院のことをお伝えする。

 アラブ・イスラーム学院とアラビア語     

 まず、アラブ・イスラーム学院はサウジアラビアの王立大学の分校としてアラビア語を広め、互いの文化を尊重し交流していくことを目的にしている。
 
 そのために、アラビア語においてほとんど資料代程度の金額で、日本語を交えない指導でアラビア語を使いこなすまで語学指導をするという画期的なことをやったのがここである。
 仕事の都合で通うことができないが、これがわかった初期のころから注目して参加してみたいと思っていたくらいだ。実際、夏の短期講習は参加してとても有意義であった。
 こうした学院のアラビア語教室は昼と夜の部があり所定の得点をとって2年で卒業となる。

 アラビア語オリンピックのスピーチ部門や卒業式では、年ごとに日本の文化や自分の持ち続けてきた思いなどをおおらかに楽しげに闊達なスピーチする人たちに圧倒されるようになった。
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 今回は合計25名もの卒業生が輩出され、ハーリド学院長はもちろん、サウジアラビア大使・藤嶋文部科学省国際統括官・小泉俊明政務官らの来賓によって証書が渡された。
 これからの生活や仕事の中でアラビア語や文化に接して、イスラーム地域と日本との交流に活躍していくであろう人材がここから次々と飛び立っていく。そうした卒業式の第17・18期だというのだからもう歴史になってきたと言える。
  

 アラビア語オリンピック      
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 一方、アラビア語オリンピックについては、学院性だけでなく、門戸を広げて、一般の誰でもエントリーすれば参加できる競技会である。種目は、アラビア語タイピング、アラビア書道・アラビア語スピーチ部門からなる。

 第1回アラビア語オリンピック2004年に始まっている。(2003年に学院生だけのオリンピックが開かれているが、この時は書道はまだ鉛筆書きの物だったようで、門戸を開いた現在のアラビア語オリンピックの前身だったと考えられる)
 2004年から絶えることなく発展しながら進んできて今年は第8回目となるのだ。自分としても第4回は都合で欠席しているが、他は何らかの形で参加している。3種目の中で、自分が語れる分野として書道部門の話をしていく。

 *だれでも参加できるが、エントリーは必要で、毎年12月ごろに要綱がHP上に発表される。
その年によって、書体と課題が発表される。それを見たうえで、HP上でエントリーするのだ。
 年によって書体の種類も賞のあり方も変わるので、確認を要する。
たとえば書体は初期にはナスヒー書体だけであった。次第に増えていって5書体のときもあったが、今年は4書体であった。


◆本田孝一賞とは何か。
それぞれの書体の中での順位の他、総合順位がつけられる。書体に関係なく、最も書法にのっとった書が選ばれて総合としての金銀銅賞がつけられ、そのうち金賞にあたるものが本田賞である。
 アラビア書道家、本田孝一氏の作品が贈呈されるということだ。背景の色にもこだわった本格的なものである。
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          ↑  今回の本田賞の作品と本田教授。(写真掲載の許可を得ています)

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 これはガラス反射のない唯一の写真である。
 この作品はこの時の課題、「人間は、その努力したもの以外、何も得ることは出来ない。その努力(の成果)はやがて認められるであろう。」をスルス体で書いたものである。イランの紙にさらにアクリルで加工した青を基調とした素晴らしい作品だ。

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 更にこれは、別のカメラで撮影した作品の一部であるが、これで文字のキレと色彩の豊かさがわかる。
 
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 そして、その結果がアラブ・イスラーム学院玄関内に掲示される。新しい紺地の掲示板に競技会で書かれた力作が映える。
  
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 受賞者がそれぞれの種目ごとに金銀銅賞の3名が決定すると、その競技者も残って式に参加する。その後、卒業式への証書授与後にアラビア語オリンピック受賞者が、トルキスターニ駐日サウジアラビア大使・アラビア書道家本田孝一教授・小泉国土交通省政務官らによって表彰されたのだった。
 卒業生もオリンピック受賞者もそれぞれの道で努力してきた結果であるので、本人たちはもちろん、賞を授ける側の来賓もそれを讃えてとてもいい表情をされていることが印象的だった。

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by miriyun | 2011-03-06 13:08 | Comments(4)
Commented by orientlibrary at 2011-03-07 10:01
アラビア書道やカリグラフィーに惹かれ始めたのは、miriさんのブログがきっかけでした。イスラム建築の壁面、タイル装飾が好きなのでカリグラフィーそのものは見ていて、憧れはありましたが、よくわからないので興味の持ちようもないという感じでした。こちらで東京モスクのカリグラフィーシリーズや読み方など教えて頂き、なるほど、そういうふうになっているのかと、その奥深さに感心し、保存して見せて頂いていました。その後、ますますきれいなものだなあと思い、各所で見ています。
アラビア書道を書いてみようといった試みは、日本のイベント等でも長蛇の列ができるくらいですね。このようなコンテストなど、裾野も広がっているのですね。
文化的な交流、本当に素晴らしいことだと心から思います。
Commented by ぺいとん at 2011-03-08 08:49 x
今年もそういう季節なのですね。 
学院の記事を見るたび春の訪れを感じます。 
わたくしもいつか本田先生の作品を欲しいな~と思いますが、「~その努力(の成果)はやがて認められるであろう。」と言葉通り、努力していないこの身では有り得ません。。。
Commented by miriyun at 2011-03-08 21:56
orientさん、「アラビア語のカリグラフィーを読もう」が、orientさんのお役にたつことが出来たというのはとても嬉しいことです( ´ ▽ ` )ノ
この地域に関することの中でも更にマイナーだった内容を書き始めた当時、これに関心を持つ人がいるのだろうかとおもいつつのシリーズでした。今は書いてきてよかったと思うことが出来ます。自分自身の学びでもあるのですが、orientさんの言葉に勇気をもらってまた書き進んで行きたいです。
Commented by miriyun at 2011-03-08 23:50
ぺいとんさん、アラビア語オリンピックは、そういえば、新年になって最初の方の行事で、寒い中にも春の気配があって春親と感じることが多いです。
 今回も麻布の路地を紅梅・白梅にうぐいす、そしてミモザも眺めながら学院に向かって歩きました。


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