2011年 02月 03日
クーフィー書体で99の美称 シェイク・ザーイド・モスクのミフラーブの上に注目してみよう。 ミフラーブの周りは一般的にスルス書体が多いものだが、ここではクーフィー書体である。UAEの書家、ムハンマド・マンディ・アルタミーミー氏のデザインである。 マンディ氏は自分の手元にある資料だけで見ても、少なくとも2001年度のIRCICAの第4回International Calligraphy Competition においてクーフィー部門でMention(佳作)を獲得し、 その後の第5回・第6回でもIncentive Prizesを受けている。クーフィー部門はMentionが最高位なので、まさしく、UAEが誇るクーフィー部門有数の書家ということになる。 ミフラーブのすぐ上にはこれまで見たカリグラフィーと同じく金で文字が入れられている。 白の上の金なので、細部が判読しにくいのだが、おおむね、次のような意味である。 * 「あなた方に神の美称を示します。それでその美称をもって彼(神)を呼びなさい。 彼はアッラー、彼以外に神はなし」 これを受けて、周囲に神の名が展開される。 中央には、マンディ氏らしい特色のある文字で「アッラー(フ)」とある。その真上には、文字をあえて入れていない。アッラーの上になる文字はないとしているのだろう。 右には、「アル・ラフマーン」、左には「アル・ラヒーム」がそれぞれ花の中に書かれ、いずれも慈悲深きものとしての意味を持つ。 つる草の間に花が咲き、その花の中に一つずつアッラーの特性を表わす美名がクーフィー書体であらわされ、神の名が99の花の中に記されたのだった。 この言葉にしたがって、神の名をよびなさいという。 そして、その神の美称はミフラーブのまわりの23m×50mの壁面いっぱいに表されるのだった。 キブラ壁に光るつる草 この壁の中で、とてもつる草が光っている。 遠くから見るほどに、つる草がこのキブラ壁に広がり、そのつる草が貝のもつやわらかな白色を生かした光りかたをしていることがわかる。 このモスクは、ギリシャの白大理石をはじめ、アフガニスタン方面のラピスラズリ、インドの貴石などいろいろな国の産物を使っている。 UAE特有のものとしては、真珠取りが盛んだったことからすると、この壁面や柱の光る部分が真珠貝の内側ではないかと想像される。 しかし、貝を使ったからといっても発光するわけではないからこんなには光らない。このモスクは天井と床などあちらこちらにダウンライトやフットライトその他直接光源が見えない間接照明として様々な照明が使われており、これこそが実は他のモスクにはなかった卓越したところであり、数々の技術の中で隠れたる裏主役ではないかと思っている。 この壁面の上下のライトだけでこれだけつるが浮かび上がるとは思えないので、この貝白の裏にLED、発光ダイオードの光がほのかに入っているのではないかと考えたりしている。
by miriyun
| 2011-02-03 07:12
| U.A.E.
|
Comments(8)
美しいですね。あいかわらず。さすがのデザインです。最近特に思う事が、イスファハーンイマーム・モスクに行ってみたい。
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miriyun at 2011-02-05 19:06
jivejackさん、
こういう各地の工芸の力を結集するのはシャー・ジャハーンを髣髴とさせますし、 イマームモスクのようなところは、 しみじみとアッバース帝のこだわりとセンスを感じられるのがいいですね。
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moccosan at 2011-02-05 20:57
ハイセンス!! 美しさと軽やかさと品の良さまであわせももった
独特のデザインですね~まだまだ知らないことや見た事のないものを見させていただいてうれしいです♪
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なな
at 2011-02-06 00:57
x
ここでアラビア書道について知り
miriyunさんの書を刺してみたいとかねがね思っていましたが これを見ると金糸で刺すのもいいなーって妄想しています 圧倒的な美の連続に感動で言葉を失い コメントしたくても言葉がみつからず失礼していますが 楽しみにしています
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miriyun at 2011-02-06 10:48
moccoさん、人が集まる中心であるキブラ壁にクーフィー書体ではさびしいかとも思っていたのですが、文字だけのデザインでなく壁全体がテーマの花を表していて、壁全体で人を惹きつけるものだったので私も驚きました。
遠くから見ても美しいですよね。
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miriyun at 2011-02-06 10:54
ななさん、このモスクについて最近、コメントが少なくなってきたので、あまりにも特集が続いてあきられたかと思っていました。そう言っていただけてうれしいです。最後まで続ける意欲が湧いてきました。
ななさんのすごい刺繍にしていただけたら光栄ですね。
静かな色なのに、豪華ですね。
唐草は世界中に愛される模様なのですね。
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miriyun at 2011-02-07 04:08
谷間のゆりさん、色の使い方が抑え気味にしているところがいいですよね。
これで、色が多すたらもうしつこくなってしまいます。 |
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