写真でイスラーム  

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2010年 09月 23日

コーヒー(1)・・・コーヒーの発祥

 1.カフア 
 コーヒーは紅茶・緑茶と並んで世界経済上でも重要視される栽培物である。いまや、世界中に植えられて大量消費されている。産地は中南米・アフリカ・インドネシア・ネパールまで広がっている。ともするとコーヒーはブラジルとかコロンビアがもとかと思ってしまいそうなくらいに中南米では大量に生産されている。
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 コーヒーという言葉の語源はカフアだ。カフアはアラビア語である。アラビア語が語源である語句はたくさんあるが、その中の一つとして知られている。
 ちょっとわかりにくいが、カフアの木でカフアの文字をつくってみた。

 2.コーヒーの伝承 

◆コーヒーの伝承として二つある。
一つはエチオピア説・・・エチオピアのカルディ(en:Kaldi)という名前のヤギ飼いの少年が、山中でコーヒーを食べたヤギが興奮状態になることに気づいたことから発見したという説
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      ↑ エチオピアのコーヒー豆

もう一つはアラビア半島説・・・アラビアの回教僧オマールがイエメン山中に追放されていたとき、鳥がついばんでいた赤い実を食べたところ疲労が癒えたという伝説で、1258年ごろとされている。

 だが、今となってはあくまでもいずれも伝承であって、確たるものではない。
だが、コーヒー栽培と引用のルートとしては、ほぼ次のような流れになる。

 エチオピアのアビシニア高原⇒イエメン⇒オスマン朝がイエメンを支配。アラブ各地でカフアと呼ばれ飲料広がる。トルコではカフヴェと呼ばれ、カフヴェハーネ(コーヒー店)で飲料されるようになる⇒1683年オスマンの第2次ウィーン侵攻⇒ヨーロッパに広がる⇒オランダがコーヒーをセイロン島・ジャワ島へ、フランスが西インド諸島へとそれぞれコーヒーを移植し栽培に成功する。以後プランテーションとして中南米やインドネシアなどで大量生産的に栽培。 ・・・きわめて雑駁だが、主な流れだけ書きとどめる。

 さて、いまでこそ、キリマンジャロとかブルーマウンテンとか世界各地の地名が着いたコーヒーブランドがあるが、アラビアコーヒーの最初のブランドはモカであった。それはイエメンのモカというところから出荷されるコーヒーのことだった。
    
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          ↑ イエメン イッブのモカコーヒーの豆 (のからか?)
*イエメンではコーヒーが手間をかけて香り高くつくられ、出荷するときに外皮をはずすなど気を使ったので、素晴らしいコーヒーであったという。その反面、イエメンで聞いたのは輸出用に豆のいいところはつかってしまい、そのため、地元民はそのはいだ豆の皮と規格外の豆を炒ってコーヒーとして飲用するのだという。
 その割合が今はどうなのか、味は豆コーヒーに匹敵するのかなど知りたいものだ。

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コーヒーの実は最初きみどりで次第に赤く、最後は黒ずんでくる。
 これは最初はそのままかじったり、薬として煎じたりという使い方があったが、焙煎されるようになったのは15世紀ごろだろうといわれている。

 3.コーヒーの飲用の論争・見解・洗礼!? 
  現在も知られているように、覚醒作用が若干あるため、薬学の進んだイスラーム地域では薬としても使われた。宗教学的には飲用を進めていいものかどうかということについては各宗教とも論争があったという。
 
 イスラームでは、論争が長くあったが、1454年アデンの法学者、ジャマールッディーンがイスラム法学上の見解で合法と判断して以来、やがて飲用しても構わないという見解が主流となって、それ以後広がっていった。

 キリスト教側では、1605年、当時のローマ教皇クレメンス8世が、それまではイスラームの飲料として知られていたコーヒーに洗礼を施しキリスト教徒も飲用することを認めた。(この項は、Wikipediaを参考にして簡単にまとめた)


 4.『私の名は紅』では・・・ 
 政治的には・・・
強大な為政者が国を治めて入る中で、庶民が勝手に集まり好きなように世間話をしたり、当然のごとく知識人が集まり政治に対する批判もするような・・・そんな格好の場が、トルコのカフヴェハーネやコーヒーハウスであったので、たかがコーヒーの店なのだが、あからさまに禁止した場合や、胡散臭い場所としてにらまれた時もあった。
 その例は、ノーベル文学賞受賞のオルハン・パムクの『私の名は紅(あか)』にも、オスマン朝における世情の一つとして描写されている。

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by miriyun | 2010-09-23 15:02 | Comments(10)
Commented by chai at 2010-09-23 23:11 x
カフアの文字お洒落すぎます。miriyunさんのセンスに脱帽です。
100万アクセスのコメントですごいと思いながらキーをたたいていたら思わず力が入り1つ零をつけすぎてしまいました。お間抜け読者ぶりを露わにしてしまいました。お恥ずかしい・・・。
Commented by yumiyane at 2010-09-24 00:24
私は、エチオピアだと思っていました。
最初から嗜好品として愛飲されていた訳ではないのですね。
「私は紅」2回読みました。最初はサスペンスの筋を追って、2度目はイスラムの文化の変遷と言葉の美しさを読むため。
確かに、写実主義の脅威と同じくらい、カフェでコーヒーを飲む文化も恐れられていたようでしたね。
Commented by miriyun at 2010-09-24 08:01
chaiさん、過分なお褒めをいただいて・・。でも嬉しいです。
手書き文字を追い求めているうちに、
PCではこの手の文字をつくるのが好きになりました。
Commented by miriyun at 2010-09-24 08:04
yumiyaneさん、そういえばパムクをよく読んでいらっしゃったのですよね。
それにしてもあの大長編を2度も読む!・・・・わたしにはその根気はありませんでした。
Commented by petapeta_adeliae at 2010-09-24 20:43
>出荷するときに外皮をはずすなど気を使った
このサービス精神は日本的ですね。

>地元民はそのはいだ豆の皮と規格外の豆を炒って・・・
結構こちらの方が美味しいのかも知れませんね(笑)
Commented by miriyun at 2010-09-24 23:55
adeliaeさん、聞いた話なので現在もそうしているのかとかは不明ですが、ある一時期はモカというのは、世界が憧れ、なんとしても買い付けたいと思ったコーヒーだったようです。
 日本でも米を一年分脱穀しておいて食べるのと、」食べ終わるころに次の分を脱穀して食べるのとでは雲泥の差があるといいます。
Commented by kiwidinok at 2010-09-26 14:29
miriyunさん、「カフア」の「カ」の発音は難しいですね。アラブの人たちでさえ「アフア」と簡単に発音するようになったというのを聞きました。

モカの記事を読んでいたら、井上陽水の「コーヒー ルンバ」で頭の中がいっぱいになり、ぜひとも極上の「モカ マタリ」を飲んでみたくなりました。また、カルダモン コーヒーもまだ未経験なのですが、カルダモン コーヒーはお砂糖を入れなくても美味しく飲めるものなのでしょうか?
Commented by miriyun at 2010-09-26 16:14
kiwidinokさん、カルダモンコーヒーはお砂糖を入れなくても大丈夫です。中東の人は飲み物にはどっぷり入れますが・・。
 アラビアごの一部の発音は日本ではきたないとされるのどの奥からはき捨てるときのような音がありますね。
Commented by mitra at 2010-10-04 16:39 x
私も、カフワの文字を基にしたデザイン、とっても素敵だと思いました!しびれました!
で、エチオピアのヤギ飼いの少年の話は知っていたものの、その少年の名がカルディだったということに反応!
そうか、カルディ・コーヒーファームの名前は、そこから採られていたんだな~と、トリビアです。
Commented by miriyun at 2010-10-07 05:34
mitraさん、文字と写真は私の永遠のテーマなので嬉しいです。
こういうのをつくる時って難しいことは考えないで無心になってつくるので、粘土細工か砂遊びの子どものようです。
カルディ、そういえばどこかできいたようなと思っていました。コーヒーに関することは地名やエピソードや道具などたくさん関連しているものがあります。
なにか一つのものを見つめてみると、そこから世界が広がってきます。


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