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2010年 03月 07日

第7回アラビア語オリンピックとアラブイスラーム学院卒業式

 毎年恒例のアラブ・イスラーム学院のアラビア語・オリンピックが行なわれた。今年はバンクーバー冬季オリンピック終盤にあたる2月27日という日におこなわれ、アラビア語科の卒業式とアラビア語オリンピックの表彰式は3月6日に行なわれた。

 1.第7回アラビア語オリンピック~書道部門      
 アラビア語オリンピックは、もう7回目を向かえ、アラブ・イスラーム学院の伝統となりつつある。参加部門はアラビア語タイピング・アラビア書道・アラビア語スピーチの3部門からなる。

◎毎年12月頃にアラブ・イスラーム学院のHP上で日時や課題が発表される。学院で学んでいる人以外の社会人・主婦・大学生なども参加できる。HPで、あるいは電話やFaxでも申し込んでおくことができる。広く門戸が開かれているのがいい。
 ここではまだ知らない人のために流れを追って紹介したい。

☆ アラビア書道の今年の課題は、『クルアーン』の雌牛の章からであった。
 「東も西も、アッラーの有であり、あなたがたがどこに向いても、アッラーの御前にある。本当にアッラーは広大無辺にして全知であられる」

◆本田教授による競技の解説があり、それに沿って競技が始まる。
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                                          ↑ 競技会場と、様々な書体を書いている様子
・1時間の中でナスヒー、ルクア、ディーワーニ、もしくはナスタリーク(ペルシア)のいずれかの書体で何も見ないで書いている。それぞれ、アンダーラインを引くための定規にカラム・インク・下敷きなどは自分で持ち込み、紙は学院が用意している。
 その中での一時間、しかも見学者が背後から見ているし、学院側のビデオ撮りの人までいったりきたりしている中でその書体を一心不乱に書いていく。参加した人たちは一時間が終わるとグッタリ疲れて退出する。
・参加人数は当日の欠席もあって14名と少なかった。書道人口の広がりに対して、参加者が一時より減っている。競技会なので暗記しなければならない点もあるかもしれない。また、国際書道展やIRCICAへの参加などが今回2月に集中したこともあるかもしれない。


 昨年からは自分もこれまでとは立場をかえて参加している。学院から審査員として委嘱されてのことだ。最初は気楽に考えていたが、本田先生・山岡先生と一緒に審査するとはおこがましい。のほほんと行っていればいいというわけにはいかない。自分が苦手とする書体など書かなくてはどこがポイントかわからないではないか。そんなわけで、オリンピック3日前からようやく4書体すべてを書いてみた。
 なるほど、ルクアははらいを注目、ナスヒーは教科書をみなやっているわけだから、それぞれの形がきちんとできることを求められるだろう。もちろんアッラーは大事だ。そしてアインの頭のカーブを見ようなど・・・それぞれの書体についてポイントを自分の頭に整理して臨んだ。
 もちろん、書なので全体の流れが大事であるし、文字そのものは基本に忠実であとは自分らしさや文字の並び、どこを伸ばすかなどの選択に工夫があってもいい。

 1~3位をあらわすポストイットを持って厳正に審査する。今年はディーワーニーが接戦で経験のある人が集まった感があった。ただ、以前のようにデザイン的に思い切った並べ方をする人もなく順当に2行書いている人ばかりだったので比較しやすかった。
 それにしても、年々書道に技量が上ってきていることに驚かされる。

 日本で唯一の競技会であり、参加者は緊張感を持って練習できる。やったという充足感はある意味、爽快でもあると思う。
 各書体1~3位、そして本田賞の該当者の名をメモし、来年度により多くの人の参加があることを願いつつ審査を終えた。 


◆昼食
 競技への参加者も見学者もここでは軽食が供される。
アラブの雰囲気・食に興味のある人は是非こうしたイベントの時に参加されるとよいのではないだろうか。

 
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学院のシャワルマはいつもおいしいが、今年はとくにおいしいと本田先生・山岡先生もいっておられた。
スイーツやピザもおいしく、アラブにスイーツはなくてはならないものだとここでも思わされる。

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花とそしてサウジアラビアの乾燥デーツがたくさんおかれた部屋でしばし歓談する。
アラビアコーヒーからはカルダモンの香りがして、疲れた精神が癒される。

◆競技の結果
 スピーチコンテストのあと、帰るころには正面玄関から受付への通路に各競技の結果が発表されている。

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 ここまで、待って帰宅される出場者もいれば、学院からの連絡が来るまで知らない人もいる。それもドキドキだろう。

 2、卒業式&表彰式
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  卒業式はアラブ・イスラーム学院長のお話から厳粛に始まった。

 アラブ・イスラーム学院はそのの歴史の中で、きちっとアラブ通を増やしている。今回は32名もの卒業生を出す。アラビア語を通してここで会得したものが、日本とサウジアラビアの交流の元になっていって欲しいというのが、主催者、そして来賓の願いである。

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  恒例になっている先生と卒業生の場内一周の様子。ここに写っているのはアラビア語の先生方。

◆卒業生代表の言葉は口調がはっきりとしていて堂々たるもので、その言葉も卒業しこれからのアラブと日本の間に立っていくものとしてふさわしい内容であるし素晴らしかった。また、司会をされていた方は金賞を撮った方でスピーチも自分の趣味をもとにして文化を語りこちらもまた優れたスピーチであった。

◆アラビア語オリンピック表彰
3部門の金賞から銅賞までのメダル授与と書道については金賞受賞のナスヒー書体を書いた方に恒例の本田賞、すなわち本田教授のオリジナル書道作品が授与された。これを励みにさらに精進される方が増えていくことだろう。

◆最後に
 1973年のオイルショックで突然アラビアに興味を持った人がいて、アラビア語を学びにどっと人がアラビア語を学びにカルチャーセンターなどに押し寄せ、オイルショックの石油不足の大変さが過ぎ去ってしまったらあっという間に熱が冷めてしまったという話を本田教授からうかがった。それに対して、今こうして着実にアラビア語を学び、立派にスピーチをし、司会をするような人が増えている様子に熱い思いがよぎった。
 思えば初期の人は何もないところからアラビア語を学び、現地を歩き単語帳をつくり、次の世代が辞書をつくりをしてきた、そしてサウジアラビアの学院がこうして積極的に乗り出してきてアラビア語を話せる人材を育成していることは何と日本ーアラブ間の相互理解に心強いことだろう。
 学院長・来賓の挨拶にもあったように、これらの人たちの前途にアラブとの友好関係に携わるような未来が開けることを心から願っている。   

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by miriyun | 2010-03-07 15:06 | Comments(4)
Commented by yumiyane at 2010-03-10 15:12
カルダモンの香りのするコーヒー、というところに反応してしまいました。
私は今は匂いがなくなってしまいましたが、こういう写真と一緒に想像すると、鼻ではなく、記憶で匂いを感じるような気がします。
miriyunさんもここの卒業生さんなのですか?
そうそう、サヘル・ローズさんが、4月からのNHKハイビジョン新番組地球ミッション、でキャスターをされるようです。頑張ってほしいですね。
Commented by miriyun at 2010-03-12 02:10
yumiyaneさん、サヘルローズさん情報ありがとうございます。
どおりでサヘルさんの検索が多かった理由がわかりました。
 香りと記憶、そういう風に瞬時に思い出すことがありますね。
Commented by mitra at 2010-03-17 14:26 x
miriyunさんがネット復帰されていることに気付き、早くコメントを入れたったのですが、またふらりと家を空けていたため、すっかり遅くなりました。復帰、嬉しいです。また充実の記事をあげていってくださいね。楽しみにしています。
さて、学院のオリンピック。懐かしいな~。かつて私、ここのスピーチに出場したことがあるんです(笑)。写真に懐かしい先生たちの姿を発見したりして。
miriyunさんは、審査委員としてご参加!すごいですね。
そ実力の一端はこちらで拝見させて頂いてますが、何事にも時間をかけて精進なさるmiriyunさんの努力の成果ですよね!いつか、学院でお目にかかる機会があるkしら…なんて、想像しています。それにしても、アラビア語オリンピックの書道部門が、こんなに過酷(?!)な競技だったとは!
Commented by miriyun at 2010-03-19 08:02
mitraさん、こちらでスピーチされていたのですね。すれ違ったり、すぐお隣でシャワルマのお食事をしていたのかもしれません。ほんとにこの世界は狭いものです。
学院の先生たちも気さくな方が多そうですね。私も初期の頃からここで習えたらと望んでいたのですが、遠いので仕事をしているうちは実現しそうにないです。
でも、オリンピックはすっかり定着して、アラビア語に関心のある人にとって大事なイベントになっています。この発展振りがたのもしいですね。


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