2009年 12月 03日
魂の絵・・・「広島生変図」 平山郁夫画伯が12月2日、亡くなられた。 平山郁夫・・・その名を強く意識するようになったのは広島にはじめて行ったときだった。 誰もが訪れる広島平和記念資料館。そこの地下1階のホールのようなところに、オレンジ色の炎に包まれた広島の町があった。 その紅蓮の炎にも驚いたが右上に不動明王が炎につつまれながらも端然と存在し、広島の再生をかすかに予感させる絵があった。正確には陶板画といい、これは本来の日本画を高精細の写真としてとり、それを陶板として焼き付けるものである。 この絵・・・「広島生変図(しょうへんず)」は広島県立美術館が所蔵するのだが、より多くの人に見てもらうことになる広島平和記念資料館には陶板画として飾られたのだった。 学徒動員で被爆、避難途中で広島市全域が燃えるのを呆然と見つめたという。原爆症を患い、生死の境目を歩んできた。画壇で認められてからも平山氏は長いこと原爆図は描かないでいたという。 しかし、とうとう広島の紅蓮の炎をただ残酷なものと描くのではなくて、不死鳥が飛び立つように再生をイメージするという願いを込めて描いたのだった。 ・・・魂の絵だと思わせられた。 魂の軌跡・・・仏教東漸・シルクロードの仏や人々 その後、仏教をテーマにした思いのある絵が注目されるようになる。また、シルクロードを取材・スケッチしながら見てまわり、多くのシルクロード作品を手がけてきた。 ![]() 我が家の内窓にこんなポスターが貼り付けてある(下の赤いのは自分の撮った写真を置いている)。平山氏の作品展が終了後、ポスターをなじみの額屋さんから貰い受けたものだった。 もとより、シルクロードに砂漠にひきつけられていた自分にとって、平山氏の絵は気になる存在ではあった。 青い絵が多い。シルクロードのラクダ、人からイスタンブル・法隆寺まで書き尽くしていた。 夜空のシルエットは印象的である。顔料を大量に用いた空の色は美しいが沈んでいる。そこに人間がいて生活している、あるいはラクダが歩き続けている。 そういった営みや命がそこにあるという感覚を、輪郭に沿って外側の夜空に向かって金を刷く方法で表していた。 世界の文化遺産を残すことに尽力した人であり、国際交流部門ではマグサイサイ賞も受けた人物だ。 そして何よりも命・生命力・そして文化のもつ力を丹念にあらわしていった人でもあった。(合掌) ⇒ ⇒ご面倒でしょうがポチッと応援よろしく!勇気づけられます ![]()
by miriyun
| 2009-12-03 23:08
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Comments(8)
穏やかな、でも意志のある笑顔が印象的な方でしたね。
人当たりもとても柔らかな方だと聞いています。 最後までお元気だったと周りの人に思わせたようですが、ご本人の努力はいかばかりだったでしょう。精力的に命を全うされ、出来ることはなんでも実行なさいました。 寂しいですね。
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とても素敵な絵ですね!下のmiriyunさんの写真も気になります。。。
あの。。。私事で申しわけないのですが、諸事情でblog(plus+)を移動させることになり、新しいblogを作っています。新しいblogでもリンクを貼らせて頂いてもよろしいでしょうか?すみませんm(_)m
yumiyaneさん、原体験があり、平和な世の中への強い思いのあるところに生まれてきた作品群だと思いました。筆のタッチは激しくなく落ち着いた筆運びなのですが、シルクロードと仏教伝来を表したもの熱い思いを感じる時がありました。
広島に生まれ、鎌倉に暮らし、yumiyaneさんがおっしゃるようにできることを精一杯やっていかれたということがせめてものことです。
hiroさん、自分も作品づくりには気持ちから入り込んでいくほうなので、部屋もこうして砂漠シリーズや夕日シリーズのものを置いていることが多いのです。
新しいblog開設されるのですね。リンクはもちろんかまいません。ありがとうございます。
テレビのニュースでも大きく報じられてましたね。
私も旅の雑誌などでアジアや中国の特集があったときよく平山氏が紹介されているのを拝見してましたので、本当に残念ですし、ご冥福をお祈りしたいと思います。 それと、miriyun さんが何度か記事で紹介されているサヘルローズさん、益々ご活躍されているようですね。今朝もTBS系で9時25分から数分の短い番組ですが、「暮らしのレシピ」で自宅の絨毯が紹介されてましたね。来週も登場ということで楽しみです。
asiaxさん、 アジアの旅を思うとき、いろんな方の脳裏に思い浮かべられることが多いように思います。それほどシルクロードを描いてこられた方ですよね。ほんとうに残念に思います。
サヘルローズさん、活躍されているんですね。情報をありがとうございます。その人自身がもつ歴史と共にその後の活躍が気になります。 ![]()
平山氏の作品を直接鑑賞する機会は、結局一度しかありませんでしたが、青を基調としたその画風には、強く魅せられました。
被爆者という立場から、様々な想いを経て筆を取られたであろう原爆の絵には、魂が宿っていますね。 いつか平山氏が愛したシルクロード沿いの砂漠を旅したいという思いが、募ります。 Mitraさん、平山郁夫さんが手がけた寺の襖絵は実物を見たわけではないのに驚かされました。やはり画家が表現するのに精神性は大事ですね。 そしてやはり被爆体験は画家であってもなかなか昇華して描くには時が必要だったのです。 |
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