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2009年 08月 11日
A Gallery of Arabic Calligraphic Works of Fuad Kouichi Honda ≪本田孝一氏Web作品展≫・・・ アラビア書道家・本田孝一氏の作品を紹介する特集 ![]() ( ↑ 作者の許可を得て掲載しています) Web作品No.18 『青の方舟』 A Blue Ark ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ・内容:「私の家の人々を例えれば、それはノアの方舟のよう。 それに乗った者は救われ、乗り遅れた者は溺れる」(ハディースより) ・書体:ジャリー・ディーワーニー体、上の丸い月の部分はファーリスィー体(ナスタアリーク体) ・大きさ:縦59cm×横108cm ・制作年:2009年 ・材質/技法:(文字)レタリングゾル・ドローイングインク、(彩色)アクリル絵具 ・撮影条件:展示場所での撮影。(2つのスポットライトがあたる中で、色味が正確にあらわせていないことをご承知おきください。) * (転載等は固くお断りします) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 先日の、横浜のアラビア書道作品展に講師作品として出品していただいたものである。作品展も無事終了したので、書の意味とともにご紹介しよう。本田孝一氏の作品のWeb上での紹介の18作目である。 ◆時空を旅する 『青の方舟』 ◆ 空に溶け込みそうな幻想的な方舟である。 まずは、書にしたがって右から見ていく。 ![]() 舟形に沿って線ではなく色使いで形をあらわす。 さらにそこに明るく淡い色をたてに入れたことで、方舟自体が浮遊しているような雰囲気をかもし出す。 その絶妙な色の変化と塗りの方向性にため息の出る美があらわされている。 ![]() はじめてみたとき、この作品の持つ透明感に惹きこまれた。なぜ、これまでと大きく印象がことなるのか。 それは文字そのものに注目してわかるものだった。いつもの黒だけの墨ではなく、ドローイングインクをも使ったことによる透明感が、文字の重ねの美しさとともに、軽やかさを出していたのだ。 また、この書体の特徴である装飾点が青黒の色だけでなく白で入っていることによって軽やかになっている。 また、文字の上ではきっちりと一定の形の中に納めるジャリー・ディーワーニー体ではあるが、そこからデザインとしてあえてラーやワーウの足を、舟の櫂(かい)のごとく出している。これによって、私たちはノアの方舟のイメージにさらに近づくことができる。 ◆この書の中で、とくに驚嘆した部分について もう一度最初の全体像の船底に当たる部分を見ていただきたい。基底部にあるヤーやファーの文字からの線が長く長くのびて次々と左へと進んでいく。 墨が途切れることもなく、これだけかけるものなのか?また重なってしまうこともなく同じ幅の線が並ぶ。これはアラビア書道経験者ならわかる難しさで、どんなに素晴らしい筆を選んでも決して書ける線ではない。 ![]() さて、こうして優雅な弧を描いた5本の長い線が どこに?収束していくのか。 ☆もちろんアッラーにである。 5本の線が一つに収束し、ついと空高く伸び上がったかと思うと、そこから斜めにアッラーが美しい姿であらわされている。 言葉の意味としても、伝説の物語としても、そしてアッラーに昇華されていく点もすべてが合わさって舟となり、 それが時空への旅立ちをしている・・・そんな作品であった。 <追記>アブラハム・ノア・モーゼ・イエスらは旧約聖書に載っているだけでなく、イスラームにおいて預言者とされる。したがって、いずれもアラビア語名になって、コーランやハディースにそれらの話が出てくるのだ。ちなみにノアはヌーフ نوح という。 なお、作品中のヌーフは舟の右から三分の一くらいの所の上に四角い点が一つあるこれがヌーフの最初の文字の点である。 ⇒ ⇒応援クリックお願いします。
by miriyun
| 2009-08-11 06:25
| Fuad Kouichi Honda
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Comments(14)
素晴らしいです!
アラビア文字に書道があったり、絵になったりって、こちらのサイトを訪問するまで、知りませんでした。 トルコのモスクで見ても、ふ~ん というだけで。 でも、この透明感と流れの美しさ。ふわりと浮いた感覚。まさにmiriyunさんの解説のとおりで、私もため息が出ました。 実物はどんなにすてきだったのでしょう。 先日、旅行社主催の「アラビア語を学ぼう」という、ほんの短時間の講座にでてきました。 今まで、訳わかんない!だったものが、すこ~し解けて楽しかったです。 miriyunさんのページを見る目が、ちょっとだけ進歩したかもしれません(笑)
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まあ、なんと美しいアラビア書道!・・・と眺めるだけの私でしたが、miriyunさんの詳細な説明を読み、目から鱗の連続です。
確かに、意図的に長く引かれたワーウやラが、船の櫂のように見えますね! そしてなんともいえない独特の透明感。 時空を超越した美を文字でこれだけ表現できるとは、脅威です! アラビア文字は奥が深いなあ。
ひとつひとつの字の行く末がアッラーになる。なるほど素晴らしいデザインですね。
アラビア書道の筆はどんな筆なのでしょうか。確かに水彩のように重なった部分の透明感も美しいです。これが絵ではなく書であることが驚嘆です。 ノアの方舟というより、月夜に浮かぶゴンドラのようにロマンチックな雰囲気ですが、文字の意味はシビアなものですね。 ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
アッラーに導かれるヌーフの方舟。
いつかわたくしも導かれてこの作品にお目にかかれますように!!!
うつせみさん、アラビア文字とアラビア書道の世界にようこそ!
透明感と流れを感じていただき、うつせみさんとアラビア書道との出会いの場になれたことをとてもうれしく思います。 アラビア文字は何種類もの書体があり、モスクではスルス書体が多いとか、特色があります。模様にしか見えなかったものが、目が慣れるにしたがって文字だとわかるようになります。 もうすぐ行かれるシリアもアラビア書道の達人がたくさんいる国です。 シリアもヨルダンも見切れないくらいの見どころと歴史が詰まったところです。楽しんできてくださいね。ダマスカスのウマイヤドモスクでは是非、地元の人のように大理石の床に座って眺めてください。モスクというものの本来のどこの人をも受け入れる寛容と、神聖視するのではなく、生活の一部としてさりげなく入ることができる雰囲気・・・・これらが最もわかるモスクといえます。
mitraさん、自分の感じるままに書かせていただいている文なのですが、お役に立ててよかったです。
ジャリーディーワーニー書体は一定の流れとルールに沿って書くもので、装飾点が多いものです。とても文字の並びや組み立ても難しいものです。 ましてやこの作品のように、作品についての主題を持って、それを文字だけで書き、絵よりもイメージがせまってくる・・・こういうデザインに私も圧倒されたものの一人です。ですから、鑑賞のための見方を書くにあたり、きちんと書けるか心配だったので、少し時間をおいてから書きました。 どんなものでも知ってみると、なるほどと思えるものです。アラビア書道についても「なるほど」が増えるといいと思っています。
yumiyaneさん、アラビア書道の筆は竹ペンを削って先端を斜めカットして作ります。墨は普通の墨でもインクでもいいのですが、ピタッと紙につけて太さも細さも出していくので、文字に切れがあります。流れがあります。
> これが絵ではなく書であることが驚嘆です。 ・・・・そうなのです、アラビア書道芸術、また、一歩すすんだようです。
鍵コメ様、アラビア書道見ていただきありがとうございます。
また、丁寧に各連絡先をいただきうれしいです。 だいぶ先にはなってしまうのですが、大事に保管させていただいて、使わせていただこうと思います。 ありがとうございました。
ぺいとんさん、ヌーフの方舟・・・そうでした!、書き損なっていました。
ノアと書きましたが、アラビア語ではヌーフです。 ノアでは作品のなかから探せませんね。本文中に解説を加えさせていただきます。 また、ぺいとんさんが是非この作品を見る機会がありますように!
初めまして
kの庭のななさんのリンクから伺いました。 アラビア文字の作品に圧倒されています。 ひまわりの生涯の画像にも。 ウクライナ模様に惹かれて始めたブログで、思いがけない美しさに出会える事に感謝です。 こちらに出会えて、楽しみがふえました。79歳女性です
谷間のゆり様、ようこそおいでいただきました。
アラビア文字の作品をお楽しみいただきありがとうございます。 感性が豊かな方に見ていただき、とてもうれしいです。 また、花が咲いたあとをたどったページについて、「ひまわりの生涯の画像」といっていただき、感激です!お花がきっと好きな方、いろいろなものをいとおしく見つめていらっしゃる方なんだろうと感じました。 こちらは、イスラム地域の文様・細密画・工芸や自然・人々のぬくもりなど、メディアがあまり伝えないイスラームの良さを写真を通して多くの方に知っていただこうとはじめたブログです。どうぞよろしくお願いいたします。
↑のアル・ファーティハだけでなくご紹介いただいた作品の多くがIAMMの所蔵になっているのですね。
この作品もそうなるのでしょうか。 そうなればとても嬉しいですが反面、わたくしの個人蔵にもなってほしいです。
ぺいとんさん、先日、本田先生の作品が15点、IAMMに収められました。また、来年も作品が収められることになっています。現在まだ別館が建築中なのではないかと思うのですが、いつから展示になるかは未定です。でも、あの美術館は展示もしっかりしているので、いい展示になるだろうと期待しています。
この『青の方舟』はまだ、所有者が決まっていないので、ぺいとんさんの個人蔵になる可能性はあるわけです。これはいいですよね!こうした空間構成はたまらない魅力があります。 |
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