2008年 10月 30日
植物に感嘆することの多いこのごろである。 ずっと前からしまいこんでいたものがある。ようやく取り出してきて壁に掛けたらいい味わいだ。 これはラフィアという。 大胆なデザイン性が、こうして壁に掛けても生きてくる。 ぐっと近づいてみれば、明らかな植物繊維であるが、パサパサしたかんじではない。 なぜなら一本一本の繊維にはわずかにつやがあり、それがこの織物を美しく見せている。 また、天然染料による染色は目に心地よい。 ←この植物はラフィアヤシという。 ラフィアは15mにも成長する、アフリカとマダガスカルを原産地とするヤシの木で、学名はラフィア・ルフィアRaphia ruffia という。 アフリカのコンゴ民主共和国にはかって豊かな土地でいくつかの王国があった。その一つがクバ王国で、ラフィアヤシから美しい織物を作っていた。他でも籠や帽子には加工されるが布に加工して、草ビロードとまで言われるほどなめらかな製品をつくるのはこの地域だけという。 ◆ラフィアのつくり方 ① ラフィアヤシに身軽なこどもがラフィアヤシに上り、まだ穂先の開いていない若い葉を採集する。 ② 葉先を20cmほど残して刃物を当てる。 ③ ある程度束になったところでまとめて一気に表皮をはぐ。 ④ 束をまとめて地表において天日で干す。 ⑤ 屋根などで干す。色を染める場合はこの束ごと黒や赤に染める。 ⑥ 地面においた機織にこの糸をかけて織っていく。 ⑦ 上下の処理をし、機から外す。 一筋のラフィアから裂いてこのような細くて強い繊維にしていく。 ◆ ここで紹介したラフィアは下地のラフィアに赤や黒に染めたラフィアで別に織ったものをパッチワークしている。裏を見るとそのパッチワークの細かい縫い目がきれいに並んでいる。 ◆ 織りの段階で、文様を織り込んでいくものもあり、その場合はやしから作ったにもかかわらずしなやかで、他にはない文様にも魅せられる美しい織物になり、これもまたキリムやスザニ同様、ヨーロッパの収集家によって集められる対象となった織物であった。 ↑ ラフィアを身にまとう人 使い道はいろいろあるが、このように腰に巻く正装用としての使い道がある。また、チェック模様のラフィアは王様階級のものだけが身に付けることを許されたものだという。 やし科の植物の有用性には知るほどに驚かされるばかりである。 ⇒ ⇒応援クリックお願いします。
by miriyun
| 2008-10-30 06:35
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Comments(4)
ラフィアのアップリケ、素敵ですね!色合いと植物繊維だからでしょうか、和のインテリアにもしっくりきそうです。
世界の美しい手仕事プロジェクトでもアフリカの布を紹介されていたようで、ほんのちょっと見せていただいただけですが、これまでまったく興味のなかったアフリカに俄然興味が湧きました。 シンプルな力強さがいいですね。
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orientlibrary at 2008-10-31 01:39
ラフィアをお持ちなんですね。さすが!
このアップリケやクバ王国の布を一気に大量に見たとき、布の海におぼれたような、地底にさまよいこんだような感じになり、乗り物酔いと同じ症状になり、ソファに横になってしまいました。 強いです。デザインが圧倒的に自由で規則性があるようでなく、ドカーンときます。 でもラフィアはじめ、アフリカの布に衝撃を受け(ちょっと大げさですが)、好きになる人も多いですね。やはり日本人の感性に響く植物の力かなあと思います。
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miriyun at 2008-10-31 22:31
luntaさん、見ていただきありがとうございます。つくりは全く異なるのですが、キリムと同じような壁の飾り方ができました。日本家屋に飾って決して浮くことのないテキスタイルといったらいいでしょうか。特に夏の飾りには文様といい素材といいぴったりです。
北アフリカ以外のアフリカのものはとくに意識していなかったのですが、このラフィアには、足が止まり欲しいと思ってしまったのでした。よいものは教わらなくても自然にわかるものですね。
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miriyun at 2008-11-01 08:10
orientlさん、
クバ王国のラフィア、いいですね~。仕事場に泊まるほどの忙しさでとうとう世界の美しい手仕事プロジェクトにはいかれなかったのですが、素晴らしいものがずらりと居並んでいる様子は写真で拝見しました。刺激を受けて、しまいこんでいた収集品を出してみたらインテリアとして大変良かったです。ただし、ちょっとシワのようなくせがついてしまっていましたが・・・。 アフリカの布はおっしゃる通りインパクトが強いでね。「布の海におぼれたような、地底にさまよい~~」、その意味がわかるような気がします。 |
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