写真でイスラーム  

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2008年 04月 29日

カマリア窓のつくり(1)

 カマリア窓はもともとはイスラームの透かし彫りマシュラビーヤからきているという。ガラスが出てくる前は透かし彫りのまま、あるいは雪花石膏、つまりアラバスターをうすくきったものをはめ込んでいた。アラバスターは乳濁したような感じだが、かろうじて光を通す。

 しかし、現在ではほとんどガラスになっている。
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 これは通称ロックパレスのカマリア窓であるが、中央のガラスをはめ込んだ部分のほかに半円の弧の部分や下部にレリーフも見える。このように、基本は石を彫ることにあり、そこに色ガラスをはめ込んでみたということなのだ。また、この窓は建材の石や日干しレンガの幅が大変大きいために内側と外側に同じ大きさの窓があり、一対となっている。二重のはめ殺し窓といってよい。 この場合、部屋側と、外側とで同じ文様である必要はない。

 現在の透かし彫りの入れ方を見てみよう。
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   下書きを書き込み、それを彫っていく。ほりおこした唐草などに更に浅浮き彫りを施す。

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  全部彫りおわったら、ガラスをはめ込むがそれをどうやるのか不明。
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 工房の前におかれている出来上がった小さめのカマリア窓。大きいものは注文に応じてつくる。大きいものでは横幅4m以上のものもつくる。ウゥッ、重そう!

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 おいているだけではわからないが、このみやげ物用のコーナーではうしろから照明を当ててその色を見れるようになっている。こんな重いもの持って帰ることはできないと購入しなかった。だが、今はしくみを見るために購入してくればよかったと後悔している。

★ いわゆるステンドグラスはガラスをいかにくっつけてデザインにしていくかと考え、銅線を使ったり、絵付けをした。(詳しくないのでざっとで失礼!)
 それに対してイエメンでは石膏や石で作った透かし彫りにアラバスターやガラスを入れてみようかという考えで、逆の発想ではじまっていた。

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by miriyun | 2008-04-29 13:35 | イエメン | Comments(10)
2008年 04月 27日

『青の波動』 Blue Translucent Waves…アラビア書道作品

A Gallery of Arabic Calligraphic Works of Fuad Kouichi Honda
   ≪本田孝一氏Web作品展≫・・・ アラビア書道家・本田孝一氏の作品を紹介する特集
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Web作品No.16 
 『青の波動』  Blue Translucent Waves 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・内容:『コーラン』 「蜘蛛の章」41節ー69節
 Holy Qur'an, Surah al-Ankabut(The Spider)41-69
 
『コーラン』の章句は右上部からはじまり、下に降り、次に波形にしたがい上へと進む。

・書体:ジャリー・ディーワーニー体
・大きさ:縦163cm×横110cm 
・制作年:2012年
・材質/技法:(文字)レタリングゾル、(彩色)アクリル絵具
・所蔵:イスラムアート美術館蔵 /マレーシア
・撮影:M. Kobayashi
* (転載等は固くお断りします)   
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 『青の波動』について・・・・・・≪私的鑑賞ノート≫
この作品の魅力は、波動をあらわすラインにある。
           それに加えて、うねる波のごときエネルギーにある。

 「アッラーをさしおいて他の主人をこしらえたりする者は、譬えば自分の家を作り出す蜘蛛のようなもの。世に蜘蛛の家ほど危ういものはない。」(『コーラン』井筒俊彦 岩波文庫より引用)
 ここから始まり、、あやうい者たちへの警告だろうか、天と地をつくりたもうたことをくりかえし思い出させ、啓典を読み礼拝をすること、論争するときは立派な態度でのぞめ、と・・・。そして迷うものに対してゆるやかながらぐいぐい引っ張っていく言葉が続く。そして最後は、
「彼らのために奮闘する人々は、我ら自らその手を引いて正しい道を歩ませようぞ。アッラーは常に善良な人々とともにいます。」(同上記より引用) 
 
 これらの言葉が、うねり、次々と重なり、最後は穏やかに終結する、そんな雰囲気をそのまま持っているように感じられる。(注:なお、個人としての作品の味わい方の一端を紹介したものでコーランの解釈に言及するものではありません。) 

 また、このジャリーディーワーニーは密に文字と装飾点を置く書体であるだけにこれだけの長い内容を書くと調和と繊細さを失ってしまいかねない。それを調和させているのが、行間の優美で力のあるラインであろう。

 なお、この作品は波動の中にいくつものヌーンやシィーンなどふっくらと広がったつぼ型の文字が幾重にも連なるようにデザインされており、
 それがまた心地よい波動となって心の内におしよせてくるのだ。
 
 そして、右上の何もない空間があることこそが日本の感覚であり、ここでも薄紫の何もない空間が濃密な文字群をいっそう引き立てている。
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by miriyun | 2008-04-27 18:21 | Fuad Kouichi Honda | Comments(4)
2008年 04月 26日

カマリヤ窓とイスラーム装飾

 イエメンには独特のカマリア窓がある。最上階の客間になくてはならないもののようだ。
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 見晴らしの良いカマリヤ窓のあるところで集うのが男たちの習慣になっている。そうするとカマリヤ窓もないような味気ない部屋はとてもみすぼらしく見えるのかもしれない。


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 天井はトルコをはじめ北アフリカでもかなり派手に飾られている。イエメンでは天井にはさほどこだわりがなく、ただの白い天井であることが多い。

 しかし、最近では天井もイスラーム装飾のあるところもある。
ここではカマリヤ窓と天井装飾の色味を統一させて明るい感じにしている。

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by miriyun | 2008-04-26 16:13 | イエメン | Comments(8)
2008年 04月 25日

アナトリア動物意匠その2

 
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 この三頭の動物意匠は全体的なデザインを見ていきたい。

まず、中央の鹿は前回紹介したような立派な角を持つ鹿である。両脇の動物は短い角になっている。
 そしてその三頭の背景にあるループがいい。青銅であるのにねじりを入れている。このねじりだけでもオォッと思ってしまった。

  --- くりかえすが4300年前のことである。

 さらにそのループの横から、牡鹿の角のカーブを意識したようなカーブのつる草状の突起が出ている。

 これらの表現がどうということのない三頭の動物の姿を魅力的に見せている。

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by miriyun | 2008-04-25 07:13 | トルコ | Comments(4)
2008年 04月 23日

鹿に見るアナトリアの冶金技術

 アナトリアではB.C.8000年ごろから新石器時代となる、原始の芸術として粘土の小像や牛の角を神聖に扱うことがはじまった。
 B.C.3000~B.C.2000頃は青銅器時代に入る。高度な冶金技術をもち、そしてアラジャ・ホユックの王家の墓からはたくさんの金や銀を用いた宝物が出土している。

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 これは 一般に牡鹿のスタンダードと呼ばれている。(アナトリア考古学博物館蔵)
 たかさ50cmほどの青銅(ブロンズ)製であり、4本の足を乗せている台座は下から棒を差し込めるようになっている。使い道などはわかっていない。B.C.2300年

 胴体には二重円の文様が見られ、銀で象嵌されている。無駄なく簡潔に表現された肢体がすばらしい。
 
 ☆シルクロードを見回せば、なぜか古い時代、ペルシア・スキタイ・そしてこのアナトリア、いずれ劣らぬ素晴らしい動物文様があり、これらの地域の文様の感覚には現代人もかなわないと思わせる何かがある。

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by miriyun | 2008-04-23 23:01 | トルコ | Comments(10)
2008年 04月 21日

4000年の時を超えて

 これまで多くの工芸品・芸術品を見てきたが、ほんとうに良いものはこころをとらえてはなさない。

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 この透かし細工の冠は、特に心を捉えた。

 紋様は格子のなかにX字型に点描で簡素である。
      しかし、美しい。
           金という素材を、過多な装飾でにごらせないデザインだ。

何とこれはB.C.2300年、すなわち。4300年目のアナトリアのものである。

 優れたものは、時を越えて、人の心をつかむ。

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by miriyun | 2008-04-21 07:18 | Comments(6)
2008年 04月 20日

一枚の絵の思い

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この子どもたちが遊んでいたのはこの建物の上の階だった。縄跳びも行ったほど広々とした部屋で子どもらが屈託のない笑顔でいられたときがあった。

 この建物はNPO法人が1990年に建てたものであり、それぞれのこの町で住民の福利厚生の中心的役割を果たしていたのだ。したがって、度々日本からボランティアが訪れ、交流していく。
 子どもの家には子どもたちが集まり、心のケアを受けたり、歯科治療を受けたり、遊んだりしていた。

◆しかし、今朝写真を見ることができた。
参考:
写真
このasahi.comの記事
忘れられたパレスチナ難民キャンプの悲劇


ここは、レバノン国内の難民キャンプだが、50年もの歴史がある4万人の町だ。
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 この街はどこにあるのか?地図中の青文字で表した町である。

 2007年5月の記事に記載したようにパレスチナ難民キャンプが昨年来、武装組織とレバノン軍との紛争の中で 爆撃を受けて街は破壊され、人々は近隣に待避したまま衣食住に困難な状態なままである。
 難民としての立場、レバノン戦争の砲撃・同胞であったはずの過激派の異常な行動・・・いずれも一般の難民にとっては、自分たちに何ら責任のないところでおきている。悲嘆と苦悩のもとでしかない。
 
その破壊度が想像以上に激しく、一般の家はもちろん日本のNPO出資の『子どもの家』さえも破壊されたときいていた。新聞のほうで「子どもの家」の写真を見るとまだまだつかえそうに一瞬思えたりしたが、HPの写真で街としての生活基盤が失われた様子が完全に破壊されていることがわかった。

 シリア国境に近いところで、公共の設備が利用できない状態に置かれ、就学・就職・医療なども思うようにできないところであり、自治区周辺国のキャンプとしては生活しにくいところであった。閉塞感があり、将来に夢も持ちにくいながら、誠実に勤めて明るく暮らそうとしている姿が印象的であった。

 ところが、拠り所の一つである『子どもの家』が完全に破壊されてしまった。あの町に住んでいた人々は隣の町に移っても暮らしていかれるんだろうか、子どもたちは無事だろうか・・・。祈るばかりである。


◆ 一枚目の写真の子どもたちが遊んでいた階の廊下に絵が飾ってあった。
ここの青年の描いた作品である。
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                                       ( 転載禁止)
 女性と子どもが心のふるさとの町を待ち望みながら、木に寄り添う。木の葉は故郷の町の名である。明るく希望を持って待つ気持ちが表情に表される。平和の象徴の鳥が首から下げているのは各難民がそれぞれ、家から追い立てられたときに我が家の鍵を閉めた鍵であり、これは我が家へいつかは帰るという思いが込められている。

 青年は素晴らしい絵と文字をたくさん描いていた。誰もが絵を見たが、自分は彼の文字のセンスを見た。この画材やペンも不自由な中で自己流ではあるがいろいろな書体で文字を書いていた。書道ではなくて必要に応じて書いているのだが、生き生きとした文字だった。他の民族に生まれたならゆうゆう美術大学などでいかれたはずである。
 子供たちにも勇気と希望を与えていたこの絵や文字はどうなったのだろう。あの破壊され方からすると失われてしまったかもしれない。

 しかし、一枚の絵に込められた気持ちは読み取っていきたいと思う。

また、あの子どもの家には別の若者が描いた見事なペン画もあった。
   あれらの作品に発表の場はあったのだろうか、
          大勢の人に見せたい絵が埋もれ、
                  時に消えていってしまっている・・・。
 
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by miriyun | 2008-04-20 11:11 | Comments(6)
2008年 04月 19日

『讃美する地層』 The Strata in Glorification…アラビア書道作品

A Gallery of Arabic Calligraphic Works of Fuad Kouichi Honda
   ≪本田孝一氏Web作品展≫・・・ アラビア書道家・本田孝一氏の作品を紹介する特集

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Web作品No.15 
 『讃美する地層』 The Strata in Glorification 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・内容:『コーラン』 「ギリシア人の章」17節ー27節
 Holy Qur'an, Surah al-Rum(The Romans)17-27 
 
この章句は「よって、朝に夕に神を讃えよ。/天と地にあっても昼でも夕でも神に讃えあれ」ではじまる。

・書体:スルス体
・大きさ:縦170cm×横85cm 
・制作年:1997年
・材質/技法:(文字)レタリングゾル、(彩色)アクリル絵具
・所蔵:2009年、イスラムアート美術館マレーシア(Islamic Art Museum Malaysia)
・撮影:山岡幸一
* (転載等は固くお断りします)   
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆『讃美する地層』について   
 スルス体の文字を大地の下に眠る地層に託した作品である。バスマラのあとに『ギリシア人の章(またの名は、ビザンチン章)』が続く。

 イスラームでは一日の始まりは日没からであるので、こういう場合、アラビア語では「夕に朝に」と始まっている。
 日本では一日の始まりは朝からと考えるので、「朝に夕に」と表現するので、和訳ではこの日本語の定型句の書き方になっている。 
  
 地層の鈍重な色合いの中で鮮明にその文字の層を分けているのがそれぞれ青や緑・紫に近い微妙な線であり、白の線なのだ。この線が地層という難しい表現を助けている。
 そして各地層にはそれぞれ重厚な文字がどっしりとおかれて磐石の構えを見せる。


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by miriyun | 2008-04-19 12:48 | Fuad Kouichi Honda | Comments(4)
2008年 04月 18日

クイズの答&古代アラビア文字

 アラビア文字の元になったのではないかといわれる文字はいくつか存在する。イスラーム以前のアラビア半島の文字につぎのような文字がある。

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 これはイエメンに残る古代の南アラビア文字(正確には南アラビア地域で使われた古代文字)である。現アラビア文字の元になった可能性が研究されていたが、今はエチオピアの文字への影響を持った文字とされている。(アラビア文字の起こりについてはまた、後日述べる予定)
直線的で岩に彫るのもかくのも定規が必要そうだ。


 直線的な文字は現代アラビア文字の中にもある。

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 これはいつの時代も使われて今でも、盛んにデザインされる。何しろ真四角の中などにきっちり入れるには良い文字なのだ。

          クイズの答えは・・・・
                   ☆クーフィー体

意味は、ムハンマドの祝福  
読みは、バラカートゥ・ムハンマド

 あまりにも直線的なデザインなので、葦ペンや竹ペンでは書けない。定規で輪郭を書き、なかを塗ることになる書体なのである。唐草風の葉の紋様をつけたものもあり、何とおりものクーフィー体が存在する。
                        
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by miriyun | 2008-04-18 07:08 | Comments(10)
2008年 04月 17日

カリグラフィー・クイズ

カリグラフィー・クイズ
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 カリグラフィーはイスラーム地域ではモスクはもちろん、家庭の居間でも町の中でも見かけることがある。

 その中から、短い言葉でクイズを!

上の文字は
アラビア書道の中でなんと呼ばれているものだろう。 
1、4択問題
①ディーワーニー体 
②クーフィー体 
③スルス体  
④ナスヒー体 

2、中級者は、意味や読み方もお試しあれ!

答えは次回に!

◆なお、チュニジアのタイル文様がカリグラフィーの周りにめぐらされている。

 文様は、タイルに幅広の四分の一円が描かれている。その中にも弧がめぐらされている。その周辺に葉の文様が入り、いかにもこの国らしい。

 ここならではの黄色の入った軽快な色合いが地中海によく似合う。

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by miriyun | 2008-04-17 07:24 | カリグラフィーを読もう | Comments(0)