2008年 09月 10日
野町和嘉の世界に2時間ほど溺れてきた。 ◆野町和嘉さん・・・25歳でサハラに入って以来、世界の辺境の地を歩きつづけ、そこに生きる人を見つめてきた写真家だ。 この写真家の写真を始めて見たのは、トラックのホロよりも高くサハラの人々が人も家財も満載している衝撃的な写真であった。そしてアルジェリアのオレンジ色の強烈な砂漠だった。 今思えばこの頃から砂漠を意識し始めたのかもしれない。潜在意識の中に埋め込まれたといっていい。なにしろ名前も知らない頃の写真を今でも鮮明に覚えているのだから。写真展『祈りの大地』を見てはじめてあのときの写真が野町という写真家によるものだと気づかされた。 そして今はまた、20年後のサハラの写真はまた深みを増して見せてくれる。 ↑ 写真展の雰囲気 *ほんのさわりだけをご紹介させていただく。 1.メッカ 30年にわたる写真家人生の中で最も印象的なのは、地上94mのミナレットの上からみたメッカの祈りの光景だという。 ありとあらゆる方向から祈りのエネルギーが一点の集中しているさまだった。この作者の感じた感動は写真にもきちっと写しこまれて、私たちの前に提示されている。一人ひとりの姿まで写しこまれ、一人ひとりの祈りが大きなうねりとなっているのだと感じさせる。単なる平面の写真とは思えない表現力を感じさせられるのだ。 2、ナイル スーダンの牛を飼う人々の写真、シルエットのように浮かび上がる村の情景、忘れえぬ情景であり、人間とは本来こういう生活をしていたものかと、原点を見つめた。 マラリア蚊を避けるには牛糞をいぶすしかない村、そのいぶした煙と体中に灰を塗りつけた人の織りなす茫漠たる光景にうめく・・・・・。 3、蜃気楼の世界 果てなく続くまっすぐな砂漠の地平線。そこに264頭のラクダキャラバンがすすむ。何気なくキャラバンの写真ね・・・と通り過ぎてはいけない。 自分でも蜃気楼の現象が気になっていくつか撮っているので蜃気楼であることはわかった。 キャラバンの上に見える浮いたところが蜃気楼だ。そして、手前にキャラバンに沿って川のごとく水が見えるのも蜃気楼だというのだ。そこにキャラバンの影が写る。同じ蜃気楼でも自然の不思議と現実のキャラバンの情景を合体させて、目の前にさらりと絵巻ものを広げるかのように展開してくれた。キャラバンさえも蜃気楼の一部ではないかと幻惑される。 ◆伝わりくるもの 写真はただその前に立ち、感じとるという見方もよい。 しかし、自分はどうしてもそこからいろいろなものを読み取りたくなる。そうしたときに野町作品は、それぞれについているキャプションがよい。2行ほどに簡潔にまとめて、その中に伝えるべきものを間違いなく盛り込んでいる。芸術の中にはあまりにも短くイメージだけの題名をつけてあるものも多いが、野町作品は、人が見たこともないもの・聞いたこともない場所がテーマだったりする。これにはどうしてもキャプションが不可欠であり、それとともに伝わりくるものを感ずることができる。 野町氏は雑誌で写真エッセイを書いている。野町氏の写真エッセイは被写体を深く理解し、それを歴史学者のように深く、詩人のように情感を持って語る。 ・・・・・・・・・・被写体の重みを知るものの言葉なのだった。 ⇒ ⇒応援クリックお願いします。
by miriyun
| 2008-09-10 07:19
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Comments(4)
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JOE
at 2008-09-10 07:37
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作品はお見せできないが、雰囲気だけ
Zannen. Kikaiga Areba Mite Mitai Desu.
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miriyun at 2008-09-11 06:55
ジョーさん、写真家はそれぞれ自分なりの事象へのせまり方が異なるように思います。日本国内で室内での女性などの撮影で名を上げた人がシルクロードを取ったものがありましたが、全く感動がありませんでした。伝えるべきものが根底にないことがあるのかもしれません。
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at 2008-09-12 20:24
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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miriyun at 2008-09-14 19:38
ワ~オ、すごいです。最後の一枚というところがステキ!ラッキーな月なのですね。テープや画鋲で貼ったあとがないものですね。飾れますね~。私も駅ポスターをいただいたことがあります。
野町さんいかがでしたか?遠いので大変ですね。 |
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