写真でイスラーム  

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2008年 05月 18日

ジャンビーア持つ心

 ☆ジャンビーアをなぜ、持つのだろうか。
  
1. 男子の誇り 
 イエメンを紹介するのにいつも武士と比較してきた。刀を扱うことに関しても、武士とイエメン人の感覚は近い。貧富に関わらず背筋を伸ばし、堂々たる態度でいる。そして、腹部にジャンビーアを下げていることを誇りとしている。
ジャンビーア持つ心_c0067690_1054165.jpg

 そして、カメラを向けると、老いも若きも自ら近寄ってきて撮らせる。この人たちも俺たちこそサナアを代表しているといわんばかりの入り方なのだ。ちょっとまにあわなかったがkの時右からおじいさんもカメラに入ろうとしてきていた。ごめんね、おじいさん!
 でもどの人もカメラの前でピタリと静止姿勢をとり、静かな視線をこちらに向けるのでいい写真になる。右の青年はずいぶん若そうだが落ち着いた雰囲気を出していた。

 ある時、カメラに興味津々の子どもらを追い返してしまう人がいた。珍しくカメラ嫌いかと思いきや、彼は自分が服装を整えてポーズを撮り俺を撮れといってくる。そんなこともあるくらいその姿を誇りにしている。
 逆に、以前に紹介したようにサウジアラビアに出稼ぎに行く時には、ジャンビーアの持込は禁止されている。仕方なしに家にそれを置いて出かけるのだが、本人の腹部の心もとなさはもちろん、見送る側からもその背が丸くなり寂しげなのが伝わってくる。

2.成人の証し
  イエメンの習慣では男子は12歳で一人前。ジャンビーアも12歳から身に付けるという。体が小さいので、子供用のジャンビーアもある。

* 日本でも数え年15で元服が行われた。元服をすることで髪も結い上げ、幼名から大人の名をもらい、武運長久を祈る儀式を行った。これによって一人前の男として重要な責任と義務を負い、社会の仲間入りを果たすことになる。戦場にも出ることになったのである。

◆ここで、TVを見損なった人にどうしても紹介したい画像がある。
ジャンビーア持つ心_c0067690_13505579.jpg
サナアの町のある人物が息子と一緒にジャンビーア職人の店にやってきた。かれは大きくなってきた息子に大人としてのジャンビーアを買ってあげるのだ。実際にからだに当ててみて親も子も話が弾む。

そしていかにも満足げな父の表情。





ジャンビーア持つ心_c0067690_13511844.jpg
 そして、彼は息子に言った。「頼られる男にならなくちゃな。」
周囲の人には「ようやく跡取りができました」という。
彼の頭の中では長男が生まれたのが跡取りではなく、一人前といってやれる子の姿になって初めて跡取りができたと感じているのだった。そして共に帰っていく。
          (2点の黒枠の画像と話、下記のイエメン人の言葉はNHK探検ロマンを引用)


 これだけなのだが、「成人になる」ことって何なのか、十分に感慨を持たせられた。


3、ジャンビーアを持つ心
イエメン人曰く、ジャンビーアは男として成人としての象徴だけではない。

ジャンビーアを身につけたときから、
 一人前の男としてこの町や家族を守っていくんだという意識を持つことなのだという。
 
そういう心意気でジャンビーアを持っているから、中身が刃を引いたものであろうと堂々とした姿と自信に満ちた姿になるのかといたく感じ入ったのである。   
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by miriyun | 2008-05-18 11:37 | Comments(2)
Commented by orientlibrary at 2008-05-19 00:07
この番組、録画して見ました。イエメン、サナアよかったです。高層の家の屋上から見る街の景色、最高でした。
ジャンビーアについても、作り方や意味などが具体的で、とても伝わってきました。サナアの人たちが誇りを持って街を愛して暮らせる日々がこれからも続くことをを願う気持ちになりました。
Commented by miriyun at 2008-05-19 03:39 x
Orientさん、イエメンのよさがジワ~ッとわかる番組でしたね。
 人との絆が大事にされているのがわかりました。

 この番組があることに気付くのが遅くて、最後のジャンビーア関係しか見れませんでした。他も見たかったのですが・・・、すごく残念でした。


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