写真でイスラーム  

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2008年 01月 26日

モスク考…リュステムパシャ(5)

 ミマール・スィナン(ミマール・シナン)の建築はそこで何をするのか、何のためにつくるのか、また自分はここで何を試したいのかということを明確に打ち出しながらすすんでいるように思う。
 オスマンの主席建築家に上り詰める前は、軍人としての工廠部隊のような役目を担い、必要に応じて。戦場に橋を架け、船を作る。戦略上つくるものは簡素で役に立ちさえすれば後は捨てても灰にしても惜しむことはしない。

 主席建築家になってからは、ジャーミィなどの建築要請が殺到するが、複数の建築に立ち会いながら、それぞれでこれまでとは異なるドーム天井の立ち上げ方や装飾などを次々と試していく。

≪祈りの場として≫
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 スィナンは一回やり遂げたことにこだわるタイプではなかったようで、次々と挑戦していくタイプだ。このリュステムパシャは彼の建てたジャーミィのうち比較的初期の建築であるが、イズニックタイルを使いこなすということと、そして商店の2階に別世界をつくることをめざしたものだろうと推察される。 

 ステンドグラスとモスクランプも彼の意識の中で力学的なものと芸術的なものをそれぞれ意識しながら配していく。
 こjこに来た人が皆述べる言葉・・・ここは落ち着く。これこそは、財産家の注文主の要望で華麗に装飾しながらも、神と対話できる場所という本来の目的を揺るがすことなく作り上げた成果ではないだろうか。

 地元の商店の人々が祈りの時刻に静かにやってきて、神と対話していく。神聖な場所である。そして落ち着く場所である。旅人もここで座り込んでしまうような場所である。
   ◆モスクは神聖さはあるが威圧しない・・・。だから落ち着くのかもしれない◆

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 華麗なタイル群の中で、気になるタイルを見出した。緑と青の彩色絵タイルである。たった1枚の絵タイルであるが、中心に描かれたのがメッカのカーバ神殿であり、周囲にカーバに向かって描かれた塔がならぶ。極めて宗教的な絵タイルであり、これが最初からあったものかどうかはわからないが、祈りの場所である雰囲気はにじみ出てくる。
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by miriyun | 2008-01-26 16:04 | トルコ | Comments(6)
Commented by lunta at 2008-01-26 18:18 x
カーバ神殿の絵タイル、確かモスクの外側の壁にありましたよね。どういう意味があるのだろうと思っていました。
他のモスクにはないものなのですか?
Commented by ぺいとん at 2008-01-26 21:56 x
神聖さはあるが威圧しない 
まさにそういう場こそ自分が素直に祈れるのだとと思います。 人はどのようにして神聖ということを感じ表現できたのでしょうか・・・ 

それにしてもこの絵タイル、可愛いと思う人も多いのではないでしょうか? 
不謹慎かもしれませんがお茶目な感じやほのぼの感もあり、こういうしなやかなところからイスラームに触れていかれていいなと思います。
Commented by Azuki at 2008-01-27 05:35 x
このタイルに胸打たれました☆。☆
ため息物です~久しぶりにドキッとしました。この中の文字は場所を表しているのでしょうか。この中に世界観があってワクワクもしてきますね。素敵です。
Commented by miriyun at 2008-01-27 05:37
luntaさん、モスクはカリグラフィーとアラベスク・植物文様のみでで装飾することが多く、チューリップのように何の花とはっきり現実の花を書くことさえトルコ以外では少ないものです。ですから、題材はメッカながら珍しいです。個人のお宅にはよくメッカの写真やこういった絵が飾られていることが多いですね。
Commented by miriyun at 2008-01-27 05:47
わ~い、ぺいとんさん、絵タイルへのご感想ありがとうございます。
 描き方がかわいいですよね。
 絵を見ながら、やはりイスラームは高みに向かってあがめるのではなく、求心力としてメッカを意識しているものかと思わされました。
Commented by miriyun at 2008-01-27 05:59
Azukiさん、このタイルからいろんなものを受け取ってくださって嬉しいです。ご紹介できてよかったです。
 この時、タイルは離れた位置から小さなカメラでしか撮影できなかったのです。しかも外光によって光ってしまい、文字が不鮮明で読めないのが自分でも大変残念でした。
 


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