写真でイスラーム  

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2007年 12月 27日

赤はなぜ盛り上がるのか?

1, タイルにおける赤はなぜ盛り上がっているのか?

簡単に言えば、赤は溶けにくいからだ。

赤が酸化鉄を含むからである。他の釉薬は銅が関係している。銅の融点は1084.4 ℃だが、ケイ素や石灰と混ざると融点が低いほうに合わさっていく。だから実際はずっと低い温度で青も緑も平坦になる。しかし、酸化鉄Fe2O3 はこのくらいの温度では全く溶けない。融点は1,538°C なのである。
したがって酸化鉄は均一な微粒子となるまで加工され、その後絵付けに用いられる。この粒子の大きさで赤の発色度合いが異なってくる。
 赤は溶けないので、その上に透明釉がかけてある。それが溶けて上から固めていると考えたらいいだろう。
〔参考〕以下のページを参考にした。
     Wikipedia 「酸化鉄」 「銅」
     「トルコ青とトマト赤」 寺井良平 寺井ガラス技術事務所

2,更に鮮やかに色と柄は進化していく
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緑と白・青・赤がそれぞれ鮮やかだ。
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青の発色が際立つ。五弁の花にうっすらと紫が匂いたつ。
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そして、6弁の花が咲き誇る植物の力を感じさせるタイル。

 この6弁の花以外にも、トプカプには何十枚かのタイルで1つのデザインを表した大作があるのだが、なにしろ色とデザインが込み合いすぎて、それが狭い部屋にこれでもかというくらいにぎゅうぎゅうに詰め込まれていて、豪華というより、この部屋にはいたくないというのが感想だった。自分なりにきれいだなと思うこの小花模様までとしておきたい。

3,トルコタイルに流れているもの
  1514年のチャルディラーンの戦いでオスマン朝がサファビー朝に勝って以来、たくさんの植物文様056.gifも職人もペルシアからトルコへ流入した。
 そのペルシアの描画力と、中国の陶磁器の影響トルコのチューリップ力(チューリップデザインはトルコにとってひとつの力だと私は思うのであえてチューリップ力といわせていただく)があわさってトルコのタイルへとなっているのだと思う。 

4、優れたタイルと大雑把な仕事
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 小さなたった一つだけのニッチをハレムの中で見た。落ち着いた色合いだが、狭い中に植物の枝葉、ヒヤシンス・チューリップの華麗な表現が見られる。
 しかし、部屋の主の突然の注文だったのだろうか。ニッチの中は、上のほうに突然模様合わせをしていないタイルを適当に切ってつなげている。

 トプカプではなぜかこのような大雑把な仕事があって驚かされる。だから、せっかくの芸術品がきれいに見えないことさえある。また、目地の処理があまりきれいでないこと、タイルがそろっていないことなども目に付く008.gif
 しかし、ここがハレムであることがそれに対する答えかもしれない。
タイルを制作する仕事は工房で職人がじっくりと手ぬきのいない仕事をする。だが、ハレムの部屋に事前に何度も入れるわけはない。おおよその大きさをききそれにあわせて作る。するとどこかでタイルはぴったりと収まらなくなりその分は切らざるを得なくなる。

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 前出の緑の部屋の4隅の曲線ペンダンディフの見事な職人技に対して同じ部屋の下部の違和感。それは何だろう。葉模様のタイルで全部飾るはずのところに花瓶をと突然いわれて無理に押し込んだのではないだろうか。
 
 ★こういう模様を入れたいという気持ちと抜かりない仕事とどちらを優先するかということになるのだが、トルコ宮廷ではどちらかというと完璧な仕事よりも好みのものを入れることのほうが優先されたのかもしれない。

 そうとでも考えないと、トプカプの優れたタイルがハレムの中でかなり粗雑な入れ込み方をしていることの説明がつかないのである。
・・・*・・・*・・・*・・・*
 優れた技術とやっつけ仕事が同居している不思議な空間、ハレムのタイルのお話はこれにておしまい!
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by miriyun | 2007-12-27 11:19 | トルコ | Comments(0)


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