2007年 10月 09日
☆星見の塔へ 真夜中、 テントから一人外に出たとたんにクラクラした。 でも見ないようにして、やろうと思ったことをまずやるという一念で星見の塔へとほのかな明かりの街路灯を頼りにむかった。塔はがらんとした中に幅の広い階段がある。まとめて何人もの人が階段を上り下りできる広さがある。ぐるりぐるりと巡って、屋上に出る。2~3人もう来ている人がいた。後からも一人、二人と入れ替わってやってくる。 しかし、いつもにぎやかな欧米系の人も声がでない。自分も声が出ない。真っ暗だから互いの顔もわからない。人がいることが、動く気配とその人影の部分に星が見えないことだけで察知できる。 「Oh!、満天の星よ!」天に向かって、心の中で叫んだ! 「私は満天という意味をわかったつもりでわかっていませんでした。」 満天というのは空いっぱいの星・・・でもそれは日本なり、どこの国でも地上に光がある状態で見たイメージ、空は上にあり、頭の上の空に星がいっぱいある。 これまでそういうイメージだった。 そのイメージと今ここにある星とどこが違うのか。 地上の明かりが皆無に近い状態であるため、はるかな地平線までぎっしりいっぱいの星が見えるということなのだ。 星は頭の上で輝くばかりでなく、地球は丸いのだから真横にも斜め下方向にも輝くのだった。 幸い砂漠は無風のため、砂が舞い上がることもない。澄み切った静かな空気と雲ひとつない(砂漠では当然だが)空――そのすべてが見えるのだ。南南西の地平線から北北東の地平線にかけて広がる天の川はで~んと頭の真上を通り彼方へとのびていく・・・天の川という語句を知らない子どもでもこれを空の川というであろう。さんざめく無限の星。星座は星が多すぎてわからない。 すべてとは360度?、いやどう表現したらいいのだろうか?首をまっすぐの立てたまま体をゆっくり一回転させたなら、すべてが見えるのか?いや、顔を斜め上に上げてもう一回転したらすべてが見えるのか?それでも見切れない。真上は寝転がらないと見つめきれない。 天を見て圧倒され、そのための無言。誰一人声を上げることなく、塔から降りる時に初めてホーッとため息をつく。黙っていても、どこの国の人でもわかる共感の時であった。 ☆ テント前で 塔の上に持っていった一眼レフは、役ただずのおもちゃを持っていったように、違和感があった。見た瞬間、この空を撮影なんて無理だと思ったのだ。 テントに戻って、しばし呆然とした時を過ごした。その後、この機会にわずかなりとも試してみようと、気持ちを奮い立たせてテントの前にでた。相変わらずの降る様な星々に圧力を受けながら、カメラを向けた。 愕然とした!! 「広角レンズってこんなもんかー!」 以下、自分の心象風景を上の娘に語って描いてもらった(感謝!) 広角レンズは空のほんの一部しかとらえなかった。天の川の幅をとらえることもできないほど小さい範囲だ。残念だ、この写真はモノにならないと理解した。せめて冷静になって、カメラが捕らえられる空の範囲はどのくらいか測ってみることとした。 〈読者の皆さん、興味があったら是非一緒にやってみてください。〉 具体的にどんなモノなのか? まず、自分の握りこぶしを空に高く差し出して自分の目でそのこぶしを見る。そのこぶしにおさまる程度の空。これがカメラにおさまった広さだったのだ。壮大な全天の中で、それがどんなに小さくて虚しいものか? では、そのこぶしにおさまるほどの小さな画角にかろうじて写しこまれた星を見ていただこう。 クサールギレン、こぶしの大きさ分の撮影である。 握りこぶしの大きさ分の空を、星なんて撮影したことのない素人が撮影してこれだけの星がある。満天の星は、まさにクラクラするほどの星だった。 尚、娘に描いてもらった絵はとてもきれいだったが、日本のイメージでやはり星は頭の上という感じにできている。 せっかくの絵なのに、凝り性の母は現実に近づけるべく、加工版を作ってしまい、きれいな絵ではなくなってしまった。 娘よ! ゴメン、許して! どうしても地平線まで星がいっぱいなのをあらわしたかったんだ。 どうぞ夜空の星をみてください!応援ありがとう
by miriyun
| 2007-10-09 23:06
| チュニジア
|
Comments(12)
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peque-es at 2007-10-09 23:26
お嬢さん、絵が上手!
地平線まで星がぎっしり、そのイメージを、言葉や写真で伝えることのできない miriyun さんのもどかしさが伝わって来ます。 スペインの北のガリシアという所で、一度「星の雨」が降るという夏の夜に、庭に寝っころがって星見(?)をした事があります。どういう現象なのか、流れ星が幾つも幾つも、続けて落ちる夜があるのですね。毛布をかぶってヒタスラ上を向いて寝てたんですが…田舎だったので空は暗いんですが、砂漠と違って木や物陰があるんですよね、どうしても… 星の王子様って、確か砂漠に現れたんですよね?
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私の中での満天の星空はアブシンベルと、ハワイ島のマウナケアでの「星観測ツアー」なのですが、記事を拝見していると、なんだかそれよりももっとすごいような気がします。ここでも砂漠に行けば同じ空が見れるのかな・・・・
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yokocan21 at 2007-10-10 18:30
ひゃ~、360℃の星空☆、想像するだけでドキドキしてきます!miriyunさんの言葉に表せない~という気持ち、わかりますよー。
誰か芸術家の人がおっしゃってた言葉、「その光景に感動したのなら、それを写真に撮ろうなんて思わずに、思い存分その光景を楽しんだ方がいい。側らしい景色はいつまでも脳裏に焼き付いているから。」って。まさに、これですよね。 トルコでも田舎に行けば、満天の星空を楽しめるんですけど、やっぱり家や木などがあって、このようにはいかないです...。わぁ、私も一度体験してみたいなぁ、360℃の星空!
絵がかわいい^^たりないくらい多くの星を体感できたのですね~
miriyunさんの増やしっぷりが素敵です♪ 声一つ出さないというのがなんとなく分かります。私も360度ではないけれど雪が降るように散らばった星をみて、口あけてしばらく見上げてました(笑)私も見てみたいなぁ。。。
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orientlibrary at 2007-10-10 22:04
お嬢さんとの共作、とってもわかります。書き足したかった気持ちも、、
とてもとても伝わる絵ですね。 私もモンゴルで地平線までの星を見るまで、星は空にあるものだと思っていました。天の川の星の一つ一つまで見えて感動しました。 星を見ているだけでも飽きないですよね。 それにしても「星見」って素敵な言葉!
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miriyun at 2007-10-10 22:20
pequeさん、絵を褒めていただきありがとうございます。私も長野のペンションに泊まって山の中から人工衛星が飛ぶところや流れ星を見たことがあるんです。だから星がいっぱいというのもそのくらいに考えていたら、ほんとに”クラクラ”するくらいだったのです。表現できないもどかしさわかっていただいて、スゴ~ク嬉しいです!
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miriyun at 2007-10-10 22:23
baguさん、それこそ砂漠の多いところなので光のないところなら見えますよ。いつでもみれそうでいいですね。ただ、エジプトの砂漠はあまりにも奥地に行くと地雷が埋めてあるのでご注意を!
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miriyun at 2007-10-10 22:29
yokocanさん、確かにその通りでした、ほんとに。
塔にもカメラを持っていったのですが、私は何ということをしているの?というかんじでとても違和感がありました。 心と体にしみこませてくればいいんですね。 それにしても、人が大勢いるキャンプ地であり、ホテルであるところがこれだけ光を抑えた努力・・・たいしたものでした。
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miriyun at 2007-10-10 22:39
Azukiさん、本当にどの国の人も全く声を発しませんでした。この自然の驚嘆すべき美しさの中では誰もがそうなるのかもしれませんね。
今回ばかりは好きな写真ではお手上げでした。絵がすごく助けになりました。
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miriyun at 2007-10-10 22:41
星は空にあるものだと思っていました・・・そうです。その通りなんです、Orientさん、だから、地平線まで星がびっしりなんて想像さえできなかったのです。
人間の目はカメラよりずっと優れているのですが、その目でも一部しか見えないものだというのがわかったのですが、どうしても表現したい。・・・頼んだ絵になって表されました。意外なところで親子コラボ・・・、これいいかも~と思っちゃいました。
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ahirunoko724 at 2007-10-11 01:07
お嬢さんの絵、力作ですね(笑)。きっと、かわいいらしいお嬢さんなのでしょうね。
大阪から沖縄へ向かうフェリーの上、ヨルダンのワディ・ラム、が私のこれまでのMake a wish tourでしたが、チュニジア南部、もう一度行かねば、と思っているところです。
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miriyun
at 2007-10-11 07:14
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ahirunokoさん、ありがとうございます。娘にいっておきます。
ワディ・ラムでは、私の場合は月齢を考えていなくて失敗!月見になってしまいました。でも、あそこは景色だけでも素晴らしいですね。 |
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