写真でイスラーム  

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2006年 09月 23日

◆ミニアチュール工房を訪ねて

 ウダイプールの王宮の近くにあるミニアチュール工房を訪ねた。

 ふつう、細かな作業をするとしたら、作業する場所はどのようにするだろう。
 まず、机とイスをしっかりしたものを用意し、新聞を敷こうか。その上に筆洗いの水、鉛筆・消しゴム・絵の具、パレット、定規、鉛筆、そして蛍光灯、とくに細かい作業用に虫眼鏡、あっ、絵を描くための資料も欲しいかな・・・・と想像するだけでもう頭の中の机上はいっぱいになってしまう。

 ★工房は部屋は昼間なのになお薄暗かった。窓は少ない奥の部屋だからだ。このくらい暗ければ、煌々と蛍光灯をつけるものだと思い込んでいたが、ここでは5人ほどの画家が、机もなくただ床に座り、床の上に画板に貼り付けた用紙を置き、その上にかがんで描いている。
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 この暗さで細密画を描くなんて、日本人には考えられない。しかし、画家たちは何の不便も感じないのか、黙々と筆を動かす。疲れると適宜くつろいで休む。この写真の奥の人も休んでいる。

★まず下書
 鉛筆葉使わない。直接細い筆で描いていく。迷いなく建物や人物が黒い墨で入れられていく。
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★彩色
 次に彩色と加筆が行われる。色をつけながら微細な部分の墨入れもしていくのだ。線を描くのも定規などは用いず一気呵成に引く。
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↑ この筆、先端が独特のカーブをもち細部を書きやすそうだ。この筆はミニアチュールの世界だけなのか?
 観光客が手に入れることができるのは、こういう工房でパターンに沿った絵だが、もし特別なデザインのものが必要なら、時間をかけてデザインしてもらうことになる。

☆もちろん王宮のミニアチュールは特別注文であり、装飾と記録の役割を兼ねている。
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 ・・・この船と宮殿は離宮、現在のレイクパレスをあらわしている。 登場人物が多くて細密度が高いのは王宮のミニアチュールならではである。
                                                                                                                                                                                                           
                                       
                                                    
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by miriyun | 2006-09-23 01:07 | インド | Comments(4)
Commented by orientlibrary at 2006-09-24 10:45
自分がムガル好きなせいで、すぐに一色に考えてしまいますが、ウダイプールはラージプート、マハラジャの世界ですね。あのあたりヒンドゥーとイスラムのミックスが独特の濃密な美の世界を作っている感じがします。
細密画も色が華やかでインドらしいきらやか感がありますね。衣装や光景や建築や風俗など、さらに時代や地域など、この中にものすごい量の情報が織り込まれている、、見方を知っていけば、映画一本分くらいの情報量をよみとれるかもしれない。深くて楽しいですね。
Commented by miriyun at 2006-09-24 11:48
細密画は地域で色が異なってきます。もともとラジャスタンの一般の人の服装がいろ鮮やかで明るいことも影響していると思います。王宮も明るい色が多いですし、湖もたくさんある。みどころも多い。王権は安定していた。美しい細密画ができる条件が整っていますね。
Commented by maririn at 2006-09-25 19:45 x
なんとも驚きです細かく繊細な技術日本人は便利さをまず考えばんたんな体制で準備してから始めるに対しそちらではそこにあるものでやるのですね、、、便利さよりもなによりも筆で描くものに集中しているのでしょうか
でもその薄暗さでは、、目が悪くなりそうですね床でそのまま描くなんて体も柔らかそう、、ヨガされてる方も多いのではないでしょうか
Commented by miriyun at 2006-09-26 20:36
マリリンさん、どんな条件でも書こうと思えばできるものかと感心してしまいます。それと、イスラムアート紀行さんによると、どうも細密画というのは昔から、そういう条件で、つまり明るくしすぎることなく書いていたようなんです。いろんなことに日々驚かされています。


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