2006年 06月 25日
広いイランには雪と寒さの厳しい山地から熱暑の地域まである。想像以上の暑さの地域の工夫にバードギールがある。 風塔とか風採り塔とかいわれる塔とその下のしくみで暑さ対策をしている。ペルシアの伝統的住宅の一つといえる。どこに多いかといえば照りつく太陽と熱風のヤズドなどイランの砂漠気候のところである。 ↑これは人が住んでいない放置されたものであるだけにつくりを確認できた。 ① バードギールは円形のもの・方形のものがある。この写真は方形。 こういう塔を作って簡単に風を取り込めると思ってはいけない。 まず風はどちらからでも吹いてくる。だからどの向きの風も取り込めるようにしなければならない。そういう意味では、やはり円形のほうがよさそうだ。 また、素直に風が下にいくわけではない。風は入ったら目の前にある出口に抜けてしまうものだ。上の写真でAやBの風は向かい側の日干しレンガの穴からそのまま出て行ってしまうのが落ちだ。 ② 風が日干しレンガのすきまから入るとそれはどう動くのか。塔の中を下からのぞいてみる。 それは塔の中は対角線上に仕切りがあり、風の道は4つに分かれているのだ。4つの面から入った風はそのまま逃げてしまうことなく、用意された4つの道で下に向かう。 ③塔の下を見ると、 風はさらに下に進んでそこから曲がって進んでいき、送風口から家の中へ入るのだ。 ただし、そのままだと車の窓を開けて熱波の地域を走るように、熱風が吹きあれる家になってしまう。当然そこには一工夫がある。 部屋の入る前に貯水層など水のあるところを風が通るしくみになっている。すると、気化熱が奪われ、風が冷たくなる。 家中に涼しい風が吹きわたる。・・・となるのだ。なお、こういった熱さの厳しいところでは夏の住居部分と冬の生活部分を分けている。夏は地下にあたる部分でしかも庭の南側にある部屋を使って日の差し込むことがない部屋で生活するのだ。 ☆ 自然の力を利用した素晴らしいしくみだと思う。ただ、ここでも水は不可欠で余分な水がなければこのしくみも稼動しなくなってしまう。 また、日干しレンガ造りであるから、たゆまぬ修復が必要なのは他のレンガ建築と同じである。 最近はこういった伝統住宅が少なくなってきているという。残念である。この風にあたってみたいものだ。
by miriyun
| 2006-06-25 13:54
| イラン(ペルシア)
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Comments(4)
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SuuSuu
at 2006-07-03 18:35
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ご紹介してくださってありがとうございます。
対角線に仕切ってあったり、壺がおいてあったり、本当に昔の人の知恵は素晴しいですよね。 私なんて、学校の理科の授業で習っても、言われなければ頭の隅に追いやってて、言われて初めて「ああ、そうか!」って感じです。。。
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miriyun at 2006-07-04 18:39
伝統的なものというのは実に理にかなったつくりをしているということに最近気づきました。ついついどうなっているんだろうと考えてしまいます。
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at 2009-02-03 22:13
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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miriyun at 2009-02-04 00:27
鍵コメントのN様
お申し出の件読ませていただきました。このあとメールでお返事申し上げます。 |
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