写真でイスラーム  

mphot.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2006年 05月 21日

ナスレッディン・ホジャの笑い

 中東の笑いの世界について
1、まずは次のブログを紹介させていただく。
  中東ぶらぶら回想記・・・「ニュースのお時間です」は最新のニュースが独自の視点で語られていて、中東情勢 について読み応えがあるので、おすすめだ。また、笑のつぼが異なることや、ジョーク・ エジプトのノクタなど最近楽しませてもらった。
 
 *エジプトのノクタではサイーディーが主人公として登場してくることが多いらしい。日本でも、落語なら八っつぁん、とかよく使われる名がある。頓知なら一休さん話とかが有名。


2、そういった楽しい話はどこの国でも何かしらあるのだろうが、かなりの国に翻訳されて読まれ愛されていると思われるのがナスレッディン・ホジャだろう。

 トルコの頓知話なのだが、ナスレッディン・ホジャは1208年、トルコ・アナトリアの中央部のシブリヒサールの町の近くのホルト村に生まれたという。のちに、アクシェヒールに移り住み、一生のほとんどをすごすことになる。幼い頃から頓知に富んだ子どもであったらしいが、年をとるほど味のあることを言ったというのだ。1284年になくなったということなので76歳という当時としては長寿であったわけだ。

☆ホジャの小話とはどんなものか。
     ーーーーー 心づけーーーーーー
ナスレッディン・ホジャの笑い_c0067690_233775.jpg
 ホジャはハンマームにいった。みすぼらしいなりをしていたので、風呂番たちはホジャをいい加減にあしらい、ちっぽけな石鹸と、やぶれた手ぬぐいをよこした。
 風呂を終えてから、ホジャは一人一人に金貨を配った。風呂番たちはびっくりした。ていねいにもてなせば、もっとたくさんの心づけをくれたかもしれない。
 次の週、ホジャはまたハンマームにいった。今度は、風呂番たちはホジャをスルタンでもきたかのように丁寧にもてなした。マッサージをしてもらい、香水を振りかけられた後で、ホジャは、風呂番たちに使いでもない小さな銅貨を渡してやった。
 一同がっかりしているところで、ホジャはしたり顔で言った。
「こいつは、この前の時の分じゃ、この前渡した金貨は、今日の分じゃ!」

      ーーーーーー 重荷ーーーーーー
ナスレッディン・ホジャの笑い_c0067690_2333442.jpg
ホジャは、市場で袋いっぱいのジャガイモを買い、袋を肩に担ぎ、ロバに乗って家路に着いた。しかし、途中で出合った友人が声をかけた。
「ホジャ、片手で袋を担いで、片手で馬の手綱を取るなんて大変じゃろ、なぜ、袋をロバの背に背負わんのかね?」
「ロバはわしという大きな荷物を運んでいるんじゃろうが。それ以上負わせたらかわいそうじゃから、わしが、荷物を運んでおるんじゃ」   
          (小話・絵ともイスタンブルで購入の『ナスレッディンホジャ小話集』)より引用
          

☆上は見た目で判断する人々・人物そのものを見ない人を笑い飛ばしている。
下の重荷は、どの世代でも無心に笑えるロバもの。

 ホジャのお話の笑いには、このほかにもいろいろな笑いがふくまれているが、人をおとしめるものではなく朗らかに笑い、苦しい生活の民衆を励ますような笑いだ。だからこそ、時代を超えて長く伝えられてきたのだろう。

 トルコにはホジャにまつわる銅像や記念のものが当然多いのだが、下の銅像は他の国のものである。 
ナスレッディン・ホジャの笑い_c0067690_2335960.jpg

 これはウズベキスタンのブハラ(ブハーラー)、ナディル・ディワン・ベギ・モスクの前の公園にあったかなり大きな銅像。すると少なくともウズベキスタンの人にとって馴染み深い人物なのだろう。

 もともと東から西へと移動してきたトルコ民族であるので中央アジアから東はトルコ語(又は類似点の多い言語)が思った以上に使われている。例えば、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン、ウズベキスタンや中国ウイグルなどである。
 
 以前に、東京ジャーミーでであったウィグル自治区からの留学生は、トルコ系の人たちとは不自由なく話せると言っていた。 するとこのホジャの話もシルクロードの各地に知られている可能性が高い。

 工芸や建築のほかに、こうした話も文化の伝播の一つなのだ。
 
興味をもったら一日一回ポチッとお願いします。


by miriyun | 2006-05-21 02:35 | 中東について | Comments(6)
Commented by SuuSuu at 2006-05-23 13:35 x
ついこの前、この銅像見てきました。
一緒にまわっていた方がトルコ語を話せたのですが、トルコ語で値段交渉などしていました。共通の単語などが多いみたいですね。
アラビア語と同じ単語も結構あったので、アラビア語もいけるかな?と思ったのですが、こっちはやっぱり通じませんでした^^;
Commented by アリーマ at 2006-05-24 18:41 x
拙ブログを再々ご紹介いただき、ありがとうございます。
しかし、ホジャさんの像があったとは驚きです。

よろしければTBいただけませんか?
Commented by miriyun at 2006-05-25 08:31
SuuSuuさんもご覧になりましたか。あちらこちらを見て関連が出てくると面白いですよね。
 アラビア語使えそうで使えない・・・ほんとにその通りだと思いました。
Commented by miriyun at 2006-05-25 22:12
アリーマさん、さっそくTBと思って昨日からやっているんですが、やり方がわからないで、先ほどさわっていたら、自分のところに自分の記事をTBしてしまいました。お粗末もいいところで・・・。そういえば、これまでTBってやってないんです。時間はかかりますが何とかしますのでお待ちください。
Commented by アリーマ at 2006-05-26 03:14 x
ちゃんと着てます。大丈夫ですよ!
ワタシもこれができるようになるまで一年かかりました。
ご心配なく。
Commented by miriyun at 2006-05-30 19:19
どうなるかと思いました。どうもTBがわかったのかというと不安ですが、ひとまずいってよかったー。ほっとしました。


<< 白瑠璃の椀とペルシア      単位になったイナゴマメ >>