染付けタイルとファイアンス・モザイクの比較
 タイルにはいろいろな手法があるが、同じ模様を異なるタイル技法で作るとどんな雰囲気になるのか、以前から興味があった。そしてなんとイマーム・モスク表門にその例を見出すことができた。

 表門に絨毯模様のタイルの装飾があることは以前に述べたが、その壁の続きは広場に向けて90度折れ曲がって壁が続く。

      入口の左側     ↑         入口の右側   ↑
 
 右側の壁と左の壁の文様を比較すると同じ図案であった。文様のごく細部は変えてあるところがあるのだが、基本デザインは同じなのだ。それなのになぜか印象が異なる。
 上の写真は大きな壁を下から見上げ、しかも一方には日の光がさんさんとあたり、他方は完全に陰となり撮影条件が異なる。しかし、それだけではなく雰囲気がとても同じ文様と思えないほど違うのだ。これはタイルの技法による違いだろうか?

 ★左右の壁の模様の同じ部分を見てみよう。


 ☆Aは、『絵付けタイル』であり、20㎝ほどの正方形タイルに模様を描き焼き付ける。もちろん、壁全体のデザインであるから、全体図を、パソコンのグリッド線を入れたかのように割りつけ、それを職人が一つ一つ絵付けしていくのだから、これはこれで手間がかかる。極細のらせんも描けるのがBより優れた点だろう。
 やわらかみと明るさがあり、特に黄色はいやみなく軽やかさを出している。輪郭線は弱く、離れてみるとぼやけることは否めない。(ただし、上の画像のボケは腕が悪いため)

 ☆Bは『ファイアンス・モザイク』あるいは『モザイク・タイル』といわれる。デザインに合わせて単色タイルをタイル専用のノミで細かく刻む。何色もの色タイルの刻んだものを模様のとおりに並べてうめこんでいく。
 Aより太い線で表すのでかたさ・重さを感じさせることになるが、文様はくっきり鮮やかに浮かび上がり、しかも長持ちするという長所がある。
 ペルシアでは文字も模様も柔らかな線が好まれ、柔らかな曲線による構成が多いのだ。しかし、この建築を見る限り、その難しさを乗り越えて絵付けタイルと同じ曲線を、より確かに力強くあらわしている。

★ 左右対称が当たり前のイスラームにあって、なぜ、左右の壁を同じ手法で行わなかったのであろうか?弛緩の制約か、費用の問題か、わからないことも多い。

★ 異なる技法で左右に配置してくれたおかげで同じ図柄での比較が可能となり、特色をとらえやすかった。 たとえ、デザイン上は同じであっても技法によって線の強さや色あいの違いが出てくるため、目に飛び込んでくる時の印象はかなり異なってくるのだ。

★ それにしても、この技術にいたる歴史と職人の高度な力に驚かされる。

興味をもったら一日一回ポチッとお願いします。
by miriyun | 2006-04-28 09:17 | イラン(ペルシア) | Comments(0)
名前 :
URL :
削除用パスワード 


<< テレビ番組によるイスラーム都市カイロ イエメンの人々 >>