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2006年 03月 06日

馬の模様のサドルバッグ

 サドルバッグは馬やロバなどの背にかけて物入れにするバッグだ。背中を中心に振り分けの荷物いれになっている。 表は華やかににぎやかに好みの柄をいれ、裏は平織りで頑丈なヤギの毛を使うことが多い。
    ↓シラーズ産のサドルバッグ・・・馬の体側の左側にかける
馬の模様のサドルバッグ_c0067690_1482525.jpg
  
    ↓馬の体側の右側にかける
馬の模様のサドルバッグ_c0067690_1483936.jpg


 このサドルバックは全面キリムではなく。表側の2つのパネルはパイルを絡めた絨毯織りになっている。パネル部分以外は、平織りで緑や赤で織られている。緑地の平織りと深い赤のパイル部分の対比や手触りの違いがおもしろいサドルバッグ・・・つくり手が楽しんつくっている。

 上の馬の首も足もやせていて、下の馬は太っている。背景の模様も大雑把である。帯状の飾り部分は星が、下の場合はてに7つ並んでいるが、上の場合はたてに8つつくってしまったために一部文様がくっついてしまっている。つまり、この絨毯部分は図案なんていうものはなしで思うままに織った絨毯ということだ。 
 しかし、その完全な対照でないところが面白い。その他に羊や・鳥・櫛など、生活感のある図柄でまとめられている。木のような模様は生命の木又は穀類の豊穣を表す場合がある。この図柄が小さいこととほかの図柄との並びようからすると穀物の豊穣を願うものとして捉えたほうがよいと思う。また、その意味が転じて多産を願う場合もあるという。これに櫛模様も重ねあわすと、いかにも女性がつくったのだろうなという情景が浮かび上がる。

 キリム・絨毯などは直接作製の様子を見る楽しみはもちろん魅力的で、ぜひ見たいと思ってしまう。
 しかし、それができなくってスークで買ってきただけとしても2つの楽しみがある。1つはお店の人にそのキリムや絨毯あるいは作っている地方の人たちの話を聞くことで、忙しくなければ産地や図柄・織りについていろいろと話してくれる。この話の蓄積の上でキリムについても拙い文を書かせてもらっているようなものだ。もう1つは、今回のように図柄から情景を思い浮かべること、これが私なりの楽しみ方だ。思考がはるか西に飛んで行く感じがして、ゆったりいい時間が過ごせる。 
 そういうときに、ペルシアの角砂糖(ガンド)をかじりながらチャーイを飲みつつ過ごせるとなおいい。
 

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by miriyun | 2006-03-06 13:49 | 絨毯・キリム | Comments(2)
Commented by caffetribe at 2006-03-12 17:29
ここのところの細密画におけるインドとイランの違い、興味深く拝見していました。インドについてはあまりよく解らないのですが、ムガルには惹かれます。もしタイムマシーンがあったらムガル時代は行って見たい場所のひとつです。このごろは未来にはあまり行きたいと思わなくなりました。
年のせいでしょうか?。。上のサドルバック可愛らしいですね。サドルをつけた馬の表現もユニークですが、ご指摘の帯状の飾り部分の違いは、まさに部族じゅうたんらしい面白さですね。下の少ない方はなんだかぐるぐる回って見えるのは私だけでしょうか?このあたりの、下絵なしの即興的
、何も考えていない、(手の方が動いてしまうような)無意識的部分が魅力です。サドルバックは、中でも部族らしさに溢れるものが多く収集中です。
Commented by miriyun at 2006-03-12 22:00
そうですね、手作りのものの良さを見ているとなおさら、過去のはつらつとした清新な文化がおこってくるときに立会いたい気がします。
 サドルバッグの柄・・可愛いといっていただいて嬉しいです。こういう袋ものって、つくった人の生活を感じさせてくれるので好きなんです。


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