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2006年 03月 05日

ペルシアのミニアチュール

 ペルシアの物語や歴史はミニアチュールにあらわされることが多い。その物語の中に「シャーナーメ(王書)」とよばれる話がある。その中の王はどのような雰囲気で書かれているのかを見てみよう。ムガルの王とはどこが違うだろう。
 
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↑ 『The Shahnameh of Ferdosi』 Soroush Press より細密画の一部を引用

 この絵の物語をひも解くと、次のような一場面がここにあらわされていると思われる。

 ペルシアを善政で700年おさめたジャムシード王の治世にかげりが見えた頃あらわれたのがザッハーク王。ザッハーク王はジャムシード王を中国の海辺まで追いつめて殺してしまう。こうして、ザッハークはペルシアの城・財宝・王冠ばかリでなくとジャムシード王がいつくしみ育てた二人の娘、シャフルナーズ姫とアルナワーズ姫もとらえてしまう。ペルシアの王族の血を引くファリードゥーンがザッハークの王座を奪うべく宮殿に入り、二人の姫を救い出した。 
 ↑『ペルシアの神話』 岡田恵美子 筑摩書房 を参考にまとめた

 
  ・ミニアチュールは、まず遠近法を使わない。
  ・写実的に書こうとしているのではなくはなく、美しく描こうとしている。したがって、必ずしも実在の植物や天幕や絨毯の柄を描いてはいない。
  ・手の表現が弱い。
  ・金を使ってメリハリをつける。
 このような特色がここでもあらわされている。ファリードゥーンという王が中央にいるが、手の表現は弱く感ずる。しかし、背筋の伸びた姿に風格がただよう。

 さて、インドのミニアチュールとのふでづかいの細かさを比べてみたいが、上の絵はプリントされた本なので、拡大するとドットの集合体になってしまうだけで、筆の運びや細さは見えない。

 そこで、実際のミニアチュール(細密画)を見ていくことにしよう。クリックするときれいに大きく見える。↓
c0067690_314034.jpg

 この絵はらくだの骨に描かれたものである。ポロの様子を描いたみやげ物の一種である。シャーナーメのために描かれた風格ある絵と違って』顔の表現がまだまだという気がするが、筆の細かさは確認できるだろう。
 インドと同じ定規を使って見ることにしよう。
c0067690_1074739.jpg

 絵の筆遣いだけを見るならば、インドで目だけを書いていた1.3㎝の範囲で人物と馬の一部を描いている。しかも、この馬は白馬ではない。薄いぶちが入っている。0.4mm以下の幅のぶち模様なんて書けるものではない。
インド以上に細かい描写がペルシアで現在もなされている。



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by miriyun | 2006-03-05 02:50 | イスラームの工芸 | Comments(4)
Commented by miriyun at 2006-09-17 06:04
無精庵さん、文様についての考察、興味深かったです。ミニアチュール・アラベスクもお役に立ててよかったです。
Commented by at923ky at 2006-09-17 06:41
無精庵こと、やいっちです。トラバだけして挨拶せず、失礼しました。
画像がいいし、着眼点が素晴らしい。
とても参考になりました。生かしきれたとは言いかねるのが心苦しい。
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2006/09/post_e769.html

Commented by ぺいとん at 2006-10-30 01:10 x
miriyunさん、こんばんは。このコメントがお目に止まるかどうか・・・。 
今、オルハン・パムク氏の「わたしの名は紅」を読んでいます。 
miriyunさんにお会いできて世界が広がったと確信しています。もし、お会いできないでこの本を読んでいたら面白さも、楽しさも、興味も半減していた事でしょう。感謝しております。ありがとうございます!!!!!
Commented by miriyun at 2006-10-30 21:33
ぺいとんさん、。私の書いているものがお役に立ってよかったです。そういっていただくと嬉しいです。でも、こうしていろんなことにコメントしてくださる方とのよい交流のおかげで書けているんだとも思っています。ペイトンさんともお会いしたこともないのに親近感が湧いてきます。これからもどうぞよろしく!!


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