2018年 12月 15日
1.シェッザーデという言葉 トルコ語で皇子という意味。 シェッザーデ・ジャーミィというモスクがある。 以前、ミマール・スィナン(シナン)の建てた建築の一つとして書いたことがある。 皇子のためのモスクとは聞いていたが、16世紀前半にシナンが建てたということは、スルタン-スレイマンに当然関係している。 すると、皇子とはマヒデブラン妃の生んだスレイマンの長子、ムスタファ皇子かと、写真を見直してみた。 ~~~~~~~~~~~~ カーヌーニ スルタン スレイマンがメフメット皇子のためにつくり、ミマール・スィナンが1543-48年にかけて建築した旨が書かれている。 ということは、ムスタファのためではなくて、ヒュッレム妃が生んだメフメット皇子のためのモスクだった。 オスマントルコというと、後継ぎ争いを避けるため、正当な行為を継ぐ者以外、そのほかの皇子は殺してしまうという習慣が有名になっているが、スルタンスレイマンが父から跡を継いだ時はただ一人の皇子として跡を継ぐことができたので、凄惨な争いも皇子殺しもなくて済んだ。 スルタン-スレイマンは、ムヒッビーという詩人としての名をもっていたことで知られている。 政治家として法律を作り、それを通した厳格さのほかに、情熱的で、家族愛を持つ人であったようだ。 次男:メフメット皇子 次男であったメフメット皇子については、「オスマン帝国外伝」のドラマでも妹ミフリマーの行いを嘆く良心を重んずる皇子として描かれているが、スルタンが愛したこのメフメット皇子が1543年に22歳で病死してしまい、嘆いたスレイマンがシナンに銘じてモスクを作らせた。 正面は車の多い道路に面して、そのためイスタンブルとしては妙に信号機の多い場所であるが、敷地内に入ると草木の色としつらえられた小道の色が交錯する美しい庭園になっている。 長男:ムスタファ皇子・・(唯一のマヒデブラン妃の子) それから10年後の1553年、長子ムスタファ皇子はイラン遠征中に謀反の罪で処刑してしまう。 スルタンの命で処刑したので、ムスタファのためのモスクはないということになる。 3男:アブドゥラー 4歳で病死 6男:ジハンギル 病死 5男:バヤジィット 反乱を起こしたため処刑 このように6人の男児を持ちながら、スレイマンの晩年は次々と子供を失っていった。 ハンガリー遠征中にスレイマンは倒れ、最後に残った4男セリムが皇帝に即位することとなった。 セリムは第11代スルタンとなり、セリム2世と称す。 不肖・凡庸・酔っ払いといわれ、大臣たちに権限をゆだね放蕩の人生を送った。 后妃となり、自分の子を権力の座につけようと最後まで暗躍していたとされるヒュッレム、 ムスタファ皇子を押しのけて権力維持をし、ついにわが子をスルタンにした。 彼女の暗躍の結果がこれだった・・・とため息。 歴史とドラマ、今日はここまで。
by miriyun
| 2018-12-15 04:48
| トルコ
|
Comments(4)
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霧のまち
at 2018-12-17 10:03
x
前に 夢枕獏氏の「シナン」の壮大な物語を読み、感動したのですが
年月の経過とともに忘れてしまっていました。笑
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petapeta_adeliae at 2018-12-17 11:06
>正当な皇位を継ぐ者以外、そのほかの皇子は殺してしまう
>という習慣 トルコに行った時には勉強しましたが、四半世紀が過ぎて いるので、あーそういえばという記憶でした。 セリムが跡次ぎとなったのは覚えていますが、 とんだ放蕩息子だこと。 曹操の息子の曹丕の跡次ぎの曹叡を思い出します。 ムスタファ亡き後のマヒデブランのその後は? ドラマでは性格が悪いミフリマーフの成人後も 気になるところです。
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miriyun at 2018-12-21 01:49
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miriyun at 2018-12-21 01:52
ソーニャさん、
ミフリマーフはイブラヒム側を讒言していく中心で、その性格的なものを子供のころからの様子ににじませていっているのがこのドラマの良くできたところですね。 イブラヒム目線の自分としては、危い敵です。 |
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